新発田フルート音楽研究会 ミュージアム・コンサート 2018

2018年4月21日(土) 18:30 蕗谷虹児記念館 新発田フルート音楽研究会 ミュージアム・コンサート 2018

ソナタ第1番 イ短調/カスッテロ
ソナタ第1番 ニ短調/ 〃
 勝俣敬二(Rn.Fl)
ソナタ第4番 ト短調/マッテゾン
 勝俣敬二、鷲尾千草、大金典夫(Br.Fl)
ラ・フォリア ニ短調/ヴィヴァルディ
 Prelude.Adagio Allegro Chaconne
 勝俣敬二、大金典夫(Fl)
アンダンテ ハ長調/モーツァルト
 浅田明美(Fl)
人知れぬ涙/ドニゼッティ
 浅田明美、大金典夫(Fl)
セレナーデ 変ホ長調/ドリゴ
 金子孝男(Fl)
リゴドン/グリーグ
スカーフの踊り/シャミナード
シシリアーノとフーガ/クラップ
 勝俣敬二、新保しげみ、小島美枝子、澤村佳子(Fl)
レクイエムと冥/福島和夫
 勝俣敬二(Fl)

笠原恒則(Cemb)
中山徹(Gamb)

だいしホールから戻り、軽食を摂って、所用を足し、バイパスを一路新発田へ。
開演25分前に到着。
感想は、「フルート音楽を歴史に沿って楽しむ趣向に聞き入る」です。
まずは講師演奏でカスッテロのソナタをルネッサンス・フルートとガンバを含む通奏低音とともに2曲。ゆっくりとくすんだ明るさで奏で、パタパタと翅を拡げて、ひらひらと舞い、悲しみに裏打ちされた羽搏(はばた)きで急ぎ、上下に飛翔して、穏やかに降下する「第1番」。柔らかな泡立ちが沸き上がり、急ぎ足で波立ちを揺らし、哀しさを緩やかに表(あらわ)して、暖かな光で駆け出し、長閑(のどか)な震えで横揺れし、速度を落として降下する「第2番」。古(いにしえ)の響きを今に伝えました。続いてバロック・フルート3本でマッテゾンの「ソナタ第4番」。抜き足差し足で歩み、一つに寄り添い、それぞれに分かれて、淡い光線を積み上げ、忙しく羽根を動かす第1楽章。角を立てて刻み、清らかに穢れを拭き取り、幾重にも響きを重ねる第2楽章。静謐な素振りでその身を切り分け、細やかに跳ねまわり、ふわふわと浮かび上がる第3楽章。入り組んだ柱で建物を築き上げました。前半最後はヴィヴァルディの「ラ・フォリア」。濃い影を纏(まと)い、泣きながら舞踊の足取りを踏み、短く発砲して、微細に網を掛け、混迷の交わりを抜けて、疾風(はやて)を吹かせるプレリュード。ゆらゆら流れる川のせせらぎを楽しみ、小さな乱気流を巻き起こし、切なさを吐息の長さで伝え、耳元の嵐を取り込んで駆け抜けるアレグロ。心の傷を慰め、クルクルと廻り込んで、ジグザクに切り込み、急(せ)き込んで、厚く塗り込めるシャコンヌ。2本の笛で熱狂を変奏しました。
休憩を挟んで後半はモーツァルトの「アンダンテ」から。ゆるりとした足取りで優しく、時に影が差し込みながらも、しなやかに綴りました。続いてドニゼッティの「人知れぬ涙」。しとしとと降る雨を受け、哀愁のため息から、安らぎへと移り行きました。次はドリゴの「セレナーデ」。甘やかに金色の帯を曳き、俊足で駆け出して、高らかに飛び上りました。4名で取り組んだ3曲は、晴れやかに行進し、一歩一歩階(きざはし)を下り、勢いよく汽笛を鳴らすグリーグの「リゴドン」。ふかふかとした生地の上をぴょんぴょんと跳ね、快いうねりで競うシャミナードの「スカーフの踊り」。遅めの息使いで、高く長く白色光を伸ばし、層を成して積み上げるシシリアーノと、混み合った交差点で前後左右に揺れるフーガ。先頭を行く統率者に寄り添い、厚く重なり合って、隊列を組み上げました。プログラム最後は福島和夫の「レクイエムと冥」。張り詰める冷徹さが途切れ途切れに息をし、三途の川の辺(ほとり)で魂を浮遊させ、爆竹を破裂させる「レクイエム」。幽遠に匂い立ち、震えながら急(せ)き込み、偏光する絶叫がやがて中空に消え入る「冥」。成しうる技を駆使し、幻の光景を具現化させて、あの世との懸け橋を描き出しました。
会場からは大きな拍手が送られ、出演者たちの熱意の成果を讃えました。
日頃の鍛錬の果実をお披露目し、果敢に挑戦する方々のアツい心に共感して、喜ばしい気分で家路を急ぎました。
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春のリサイタル 2018 ソプラノ柳本 幸子×ピアノ田中 幸治

2018年4月21日(土) 14:00 だいしホール 春のリサイタル 2018 ソプラノ柳本 幸子×ピアノ田中 幸治
【第1部】
 うぐいす/武鹿悦子 詞 木下牧子 曲
 さくらさくら/日本古謡 山田耕筰編
 花/武島羽衣 詞 瀧廉太郎 曲
 砂山/北原白秋 詞 山田耕筰 曲
 五木の子守歌/熊本民謡 福島雄次郎編
 さくら横ちょう/加藤周一 詞 中田喜直 曲
 さくら横ちょう/加藤周一 詞 別宮貞雄 曲
 うぐひす~春夫の詩に依る四つの無伴奏歌より~/佐藤春夫 詞 早坂文雄 曲
 舞~六代目菊五郎に夜娘道成寺に寄せて~/深尾須磨子 詞 橋本國彦 曲
 初恋~短歌集《一握の砂》より~/石川啄木 詞 越谷達之助 曲
【第2部】
 バラとナイチンゲール/R=コルサコフ
 ポプラの林へ行ってきた~歌曲集《四つの愛のマドリガル》より/ロドリーゴ
 髪~マチネ・ポエティックの4つの歌曲~/原篠あき子 詞 中田喜直 曲
 私が死んでも~ロセッティの4つの詩~/ロセッティ 詞 木下牧子 曲
 悲歌/尼崎安四 詞 猪本隆 曲
 風を見た人/ロセッティ 詞 木下牧子 曲
 さびしいカシの木/やなせたかし 詞 木下牧子 曲
 竹とんぼに/岸田衿子 詞 木下牧子 曲
🌸 会場の皆さんと一緒に歌う 🌸
 砂山/北原白秋 詞 山田耕筰 曲
 故郷/高野辰之 詞 岡野貞一 曲

柳本幸子(S)
田中幸治(Pf)

10km走って、昼食を摂り、少し休憩してから、だいしホールへ。
感想は、「日本歌曲の奥深さに、興味深く足を踏み入れる」です。
まずは木下牧子の「うぐいす」から。柔らかく暖かな日差しが差し込み、艶やかに春の訪れを告げました。続いて山田耕筰編曲の日本古謡「さくらさくら」。ふつふつと水脈が沸き上がり、穏やかに光が匂い立ちました。次は瀧廉太郎の「花」。さらさらと流れ、すっと立ち上がって、優しく包みました。ここ新潟に因んだ山田耕筰の「砂山」では、冬の憂鬱な曇り空が覆い、夕暮れの悲哀を描きました。さらに福島雄次郎編曲の「五木の子守歌」になると、砕け散る硝子の破片が飛び散り、灰色に染まる憾(うら)みを綴り、ふわりと包み込んで、枝葉を崩しました。ここで同じ「さくら横ちょう」の詞につけた2つの曲の聴き比べの趣向。"中田喜直"版は哀しみを波立たせ、光明へ転じて、ゆらりと揺れると、"別宮貞雄"版では、儚(はかな)く香る気配を浮かべ、込める想いが階梯(かいてい)を登り詰めて、大きく伸びあがり、やがて静謐に収束しました。「七人の侍」等、黒沢明の映画音楽で有名な早坂文雄の「うぐいす」。無表情の面(おもて)に、微かに滲(にじ)む悲しみを湛え、すっくと立つ蝋燭の炎が揺らめいて、張り詰めた歌謡を一筆書きで認(したた)めました。続く橋本國彦の「舞」では、振袖を宙に投げ出し、幽玄の影を際立たせて、少女が鬼に変わる瞬間を切り取り、劇的な場面を演じて、一幕の物語を映しました。第1部最後は啄木の詩に越谷達之助が曲を付けた「初恋」。まろやかな切なさが拡がり、一筋の暗雲が低く垂れ込めて、大空へ舞い降り、淡い憧れを綴りました。
休憩を挟んで後半は外国の曲を2曲。砂塵舞う乾きに唐草を絡めて、暑さに裏打ちされた翳りを歌うリムスキー=コルサコフの「バラとナイチンゲール」。喜びを満開にして走り出し、陽光が降り注ぐ街路を、速度を落としつつ進む「ポプラの林へ行ってきた」。爽やかな風を吹かせました。続いて中田喜直の「髪」。鈍色(にびいろ)の衝撃が走り、息吹が色を取り戻して、滑らかに輝きに変わり、想いを大きく叫んで、穏やかに降下しました。次はロセッティの詩についた木下牧子の「私が死んでも」。響きの煉瓦を積み上げ、その間をすり抜ける声の鋭さが、高く低く上下し、ゆっくりと張りのある艶めきを放って、辛(つら)い思い出を書き記(しる)しました。猪本隆の「悲歌」では、落ち葉舞う風吹く街角で、募(つの)る思いを解き放ち、四方へと広角に撒き散らして、落着きを取り戻し、やがて囁(ささや)きへと転じました。プログラム最後は三度(みたび)の木下牧子で3曲。真っ直ぐに伸び、涼やかに灯(あか)りを開け放つ「風を見た人」。吹きすさぶ寒風を避け、お互いに親しく寄り添う「さびしいカシの木」。煌めきを鏤(ちりば)め、辺り一面に希望を散布して、喜びを共有する「竹とんぼに」。多面的な性格を鮮やかに描き分けて、本編を締め括りました。
ここで配られた冊子に歌詞を載せてある2曲を会場全員で合唱するコーナー。影を纏った春霞が漂う「砂山」。伸び伸びと懐かしさが渦を巻く「故郷」。歌う喜びを皆で分け合いました。
そして事前の告知のない曲目、即ちそれはアンコール。ビゼーの「カルメン」からのお馴染みの歌達が次々と披露されて、にぎにぎしく終演となりました。
自国の歌曲について、その奥深さを知らしめ、馴染みの少ないものに光を当てて、その良さを聴衆へ届けるこのリサイタルが、素晴らしい出来栄えで多くの人々に感動を与えたことを確認して、喜ばしい気分で、帰路に付きました。

風岡優 ヴァイオリン・リサイタル バッハのヴァイオリン独奏曲全15曲 第1回

2018年4月20日(金) 19:00 新潟市民芸術文化会館スタジオA 風岡優 ヴァイオリン・リサイタル バッハのヴァイオリン独奏曲全15曲 第1回

ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV 1021/J.S.バッハ
 Adagio
 Vivace
 Largo
 Presto
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第1番 BWV1001/ 〃
 Adaigo
 Fuga Allegro
 Siciliana
 Presto
無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第1番 BWV1002/ 〃
 Allemnda
 Double
 Courante
 Double Presto
 Sarabande
 Double
 Tempo di Bourree
 Double
ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第2番 BWV1015/ 〃
 dolce
 Allegro
 Andante un poco
 Presto

風岡優(Vn)
八百板正己(Cemb)

仕事を終え、りゅーとぴあへ。開演40分前に到着。
感想は、「バッハの深遠への旅路を十二分に味わう」です。
まずは「ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ」。硬質の骨組みに柔らかな肉質を盛り、天鵞絨(びろうど)の肌触りで、滑らかに奏でるアダージョ。晴れやかに階梯を上(のぼ)り、薄っすらと影を纏(まと)うヴィヴァーチェ。俯(うつむ)きながら、微(かす)かな悲しみを映すラルゴ。溌剌と前へ進み、入り組んだ繊維を編み上げるプレスト。簡潔で温暖な奏でを届けました。続いて「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第1番」。響きの諸相を塗り分け、孤高の峠道をゆっくりとした足取りで登るアダージョ。細やかなる葉擦れが囁き、傾きを成して拡がり、欠片(かけら)が舞い散って、一点に収束し、錐揉みしながら降下して、張り詰めた緊張が波打つフーガ。長閑(のどか)なる日差しを受け、温かな安らぎの時を過ごすラルゴ。急(せ)き込んで強く刻み、切迫した勢いで駆け抜けるプレスト。きりりとした墨痕(ぼっこん)で認(したた)め、鮮やかな筆致に綴(つづ)りました。
休憩を挟んで後半は「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第1番」。艶やかな音色(ねいろ)で紡(つむ)ぎ、琥珀(こはく)の色合いを映して、透徹した厳しさで身を正すアルマンダと、さらさらとせせらぎが濯(すす)ぐそのドゥーブル。涼しげな速さで、芳醇な豊かさを伝えるクラントと、急流の飛沫(しぶき)を集めて、素早く流れ去るそのドゥーブル。白色光に照らされ、ゆったりと飴色に蕩(とろ)けるサラバンドと、うねうねと柔らかく絹糸を編み上げるそのドゥーブル。生きいきと跳ね、喜びを重ねるブーレと、一筋の泉が脈々と溢れ出し、響き合う豊穣が彩りを添えるそのドゥーブル。抽象へと純化された舞踊を、豊潤に描き出しました。プログラム最後は「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第2番」。春めいた日向(ひなた)の温もりに、ゆっくりと優しく振る舞うドルチェ。まろやかに羽搏(はばた)き、すいすいと木立の中を飛び回るアレグロ。驟雨の夜の憂鬱を託(かこ)ち、愁いの帯(おび)を長く引き回し、寂しさを独(ひとり)り言(ご)ちるアンダンテ。希望の光で畳みかけ、大いなる波動を被膜で覆い、黄金の塵を見に纏(まと)って、奔流を巻き上げるプレスト。流麗で厳格に競い合い、高め合って、崇高なる彫像を築き上げました。
会場からは大きな拍手が送られ、それに応えてのアンコールが2曲。「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番」から「ガヴォット」が愉しげに、「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第4番」から第1楽章をゆったりと悲しみを湛えて奏で、にぎにぎしく終演となりました。
偉大なる作品に一人で立ち向かい、その真の価値をしっかりと伝える偉業に大いに感嘆し、喜ばしい気分で家路を急ぎました。

西新潟中央病院ロビーコンサート(第91回)  

2018年4月18日(水) 14:30 西新潟中央病院 西新潟中央病院ロビーコンサート(第91回)  

「子供部屋」より/アンゲルブレシュト
 コブ君
 私が幼い頃に
 踊ってバンブラ
 シャン ド ラ リュヌ
トルコ行進曲による6 つの変奏曲 Op.76/ベートーヴェン
アラベスク ハ長調 Op.18/シューマン
3 つの英雄的行進曲 Op.27 D602 No.1 No.2/シューベルト

堀川雅代、太田 真佐子(Pf)

みなとトンネルを4往復して、昼食を摂り、少し休憩してから、西新潟中央病院へ。開演10分前に到着。
感想は、「軽やかなピアノの調べを楽しむ」です。
まずは連弾でアンゲルブレシュトの「子供部屋」より4曲。 明朗な軽さで、可愛げに弾(はず)む「コブ君」。柔らかに優しく歩む「私が幼い頃に」。重そうでコミカルな足取りで、キラキラと囀(さえず)る「踊ってバンブラ」。珠玉の光を大切に奏で、ゆったりと波打つ「シャン ド ラ リュヌ」。快い響きで幕開けを飾りました。続いて独奏でベートーヴェンの「トルコ行進曲による6つの変奏曲」。砂煙(すなけむり)を上げて、軽快に進み、輝きを鏤(ちりば)めて刻み、緩やかに揺れて、角張ったところを見せ、大らかに揺らめいて、軽やかに飛び跳ね、忙しく駆けまわって、水面(みなも)を泡立て、始めに戻って、ぴたりと締めました。選手交代で届けられたのはシューマン の「アラベスク」。甘やかな衣を着せて、細やかに珠(たま)を転がし、少し切なげに想いを告げ、溌剌とした素振りでスキップして、穏やかに着地しました。プログラム最後は再び連弾でシューベルトの「3つの英雄的行進曲」からNo.1と No.2。晴れやかで力強い響きで鳴らし、快く綿雲が流れる第1曲。楽しげに坂道を駆け昇り、歌声を弾(はず)ませて、強弱を付け、軽快に駆け抜けて、きちんと止まる第2曲。爽やかな風を吹かせました。
会場からは大きな拍手が送られ、2人の息の合った演奏を讃えました。
入院患者さんや地域の人々への嬉しいプレゼントが今月も聞けたことに感謝して、喜ばしい気分で、帰路に付きました。

寺宵・春音

2018年4月15日(日) 16:30 宗現寺本堂 寺宵・春音

春の海/宮城道雄
ヴァイオリンとチェロの為のデュオ ニ長調/ハイドン
オブリビオン/ピアソラ
さくら/日本古謡
めぐり逢い/ギャニオン
2人でお茶を/ユーマンス

廣川抄子(vn)
渋谷陽子(vc)
武藤祥圃(箏)

だいしホールを出て、歩いて宗現寺へ。開演40分前に到着。
感想は、「曹洞宗の寺院で聞く箏と弦楽器の音色を楽しむ」です。
最初に住職様のお話があるところ、都合により司会の方の代読となり、その後演奏会へ。
まずは3人で宮城道雄の「春の海」。光長閑(ひかりのどけ)き爪弾きに乗って、艶やかな弦が、伸びやかに繋ぎ、細やかな波立ちで軽やかに弾(はず)んで、穏やかに収まりました。続いて箏が退場し、ハイドンの「ヴァイオリンとチェロの為のデュオ」。愉快で明るい調べでいそいそと歩む第1楽章。すらりと滑らかに奏で、お互いに譲り合って絡み合う第2楽章。すらすらと歌い、足取りを速め、歩幅を縮めて、厚めに刻み、可愛げに囀(さえず)って、ゆらゆらと揺れる第3楽章。本堂に響く洋風な味わいが、いつも違う肌触りを届けました。前半最後は3人に戻り、ピアソラの「オブビリオン」。気怠い昼下がりの憂愁を伝え、まったりと粘り気のある悲しみを薄く塗り込めて、丁寧に差し出しました。
休憩を挟んで後半は箏の独奏で日本古謡の「さくら」を、歌を最初に入れ、その後変奏へ。か細くも強く謡い、くっきりと仕上げ、ひらひらと花びらを舞い散らせ、細やかに刻んで、春の愁いを映しました。弦楽器2人が登場し、アンドレ・ギャニオンの「めぐり逢い」。うっすらとした懐旧の情を描き、優しい潮(うしお)が満ち満ちて、さらさらと煌めきを揺らしました。プログラム最後は「2人でお茶を」。お洒落な軽さで楽しげに踊り、にこやかに微笑みました。
会場からは大きな拍手が送られ、それに応えてアンコールが2曲。「ムーンリバー」をゆったりと、「星に願いを」を憧れを込めて奏で、にぎにぎしく終演となりました。
10周年を迎える"寺宵"のシリーズが、お寺の本堂という非日常空間で、快い音楽を提供することに感謝して、喜ばしい気分で帰路に付きました。