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STRANGER ISLAND 原画展 2019 with 『笠原さんと広橋さん』 音楽と旅する山田貴広の世界

2019年6月22日(土) 19:00 ギャラリー蔵織 STRANGER ISLAND 原画展 2019 with 『笠原さんと広橋さん』 音楽と旅する山田貴広の世界

①The Roaring
 トルコ人の儀式の行進曲~町人貴族/リュリ
②ISLAND MAP
 みどりの思い出~クロノトリガー/光田康典
③午前二時
 はるかなる故郷~Final Fantasy 5/植松伸夫
④Cait Sithシリーズ 02/03/06/09
 アレグロ~チェロソナタ イ長調/ジェミニアーニ
⑤SUNSET MARCH
 花市場/coba
⑥おおぞらをとぶ
 おおぞらをとぶ~ドラゴンクエスト3/すぎやまこういち
⑦夜明けの翼
 空の向こう、約束の場所/天門
⑧BIG MOTHER
 虹色の衣/笠原恒則
⑨時の咆哮
 時の最果て~クロノトリガー/光田康典
⑩旅の途中
 そして伝説へ~ドラゴンクエスト3/すぎやまこういち

山田貴広(絵画解説)
広橋綾子(Cl)
笠原恒則(Cemb)

仕事を終えて、蔵織へ。開演30分前に到着。
感想は、「絵画と音楽が作り出すもう一つの世界へ、快く誘(いざな)われる」です。
今回の趣向は、山田貴広作の"STRANGER ISLAND"の原画の解説を本人が行い、それに音楽を付けるもので、展覧会の音声ガイドの解説とBGMを生でやってしまおうという意欲的な試み。
まずは絵画"The Roaring"が掲げられ、それに付けてリュリのバレエ音楽「町人貴族」より「トルコ人の儀式の行進曲」。ゆっくりと勇気に満ちた足取りで、隊商が前進し、砂漠を通る道筋が、長々と天へ伸びて、コクのある旨味を醸(かも)し出しました。続いて舞台である"STRANGER ISLAND"の"ISLAND MAP"にゲーム「クロノトリガー」から「みどりの思い出」。穏やかに打ち寄せる波が煌めき、浮遊する微粒子が太く長く尾を引いて、細やかに時を刻みました。次は画板3枚からなる"午前二時"に「Final Fantasy 5」より「はるかなる故郷」。おもむろに歩み出し、懐かしさに包み込まれて、野山を散策し、柔らかでまろやかな切なさが、一杯に押し寄せて、十重二十重(とえはたえ)に頒布(はんぷ)を編み上げました。さらに"Cait Sithシリーズ"の4作に付けたのはジェミニアーニの「チェロソナタ」から「アレグロ」。小さな欠片(かけら)が光を受けて、散(ち)り散(ぢ)りに舞い上がり、楽しげに弾(はず)んで、可愛げな身振りで喜びを表し、周辺を駆け巡りました。前半最後はカラフルな"SUNSET MARCH"にcobaの「花市場」を。華やかな明るさで彩り、邪(よこしま)な企(たくら)みを腹に据(す)えて、可笑しみを抱え込み、曲芸団の哀愁を匂わせて、陽気に囃(はや)し立てました。
休憩を挟んで後半の冒頭を飾るのは"おおぞらをとぶ"。もちろん音楽は「ドラゴンクエスト3」の「おおぞらをとぶ」。幾重にも重なる波濤(はとう)が夕暮れに映え、寂しさを呼び込んで、足早に舞い踊り、速度を緩めて、胸に沁みる調べを届けました。続いて「夜明けの翼」につけられたのは「空の向こう、約束の場所」。たっぷりと羽根を広げ、大らかに滑走し、ゆったりと暖かく包み込んで、涼やかに羽撃(はばた)きました。8番目の"BIG MOTHER"には、チェンバリスト作の「虹色の衣」。艶(つや)めく銀糸を編み上げ、白金(しろがね) の格子を張り巡らして、甘やかな装飾を施しました。クラリネットが戻り、大作の"時の咆哮"が設置されて、繰り出されたのは「クロノトリガー」より「時の最果て」。冷たい驟雨(しゅうう)が降り注ぐ中、注意深く身を隠して、こっそりと円舞し、愁いの香りを忍ばせて、緩やかに歩みを進めました。プログラム最後は"旅の途中"に「ドラクエ3」の「そして伝説へ」の組み合わせ。溢れる生命力で前進し、昏(くら)き道程(みちのり)を、光指す彼方(かなた)へと向かい、九十九折(つづらおり)の山径(やまみち)を登り詰めて、頂きで旗を振り、大空へと駆け上がりました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールはゲーム「MOTHER」から「エイトメロディーズ」。優しくにこやかに微笑んで、賑々しく終演となりました。
絵画作品を作者の解説付きで鑑賞し、それに生演奏のBGMが添えられるという贅沢な体験が、日常を縛る鎖を解きほどき、大いなる世界を垣間見させて頂いたことに感謝して、喜ばしい気分で家路を急ぎました。
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りゅーとぴあ1コイン・コンサート vol.101 「甘美な音色“オーボエ”」

2019年6月21日(金) 11:30 新潟市民芸術文化会館コンサートホール りゅーとぴあ1コイン・コンサート vol.101 「甘美な音色“オーボエ”」

オーボエ四重奏曲 K.307(ピアノ版)より第1楽章/モーツァルト
風笛~あすかのテーマ/大島ミチル
ガブリエルのオーボエ/モリコーネ
ドン・キホーテとドゥルチアーナ姫/ラーンキ
アヴェ・マリア/ピアソラ
オヴィディウスによる6つの変容より第4曲「バッカス」/ブリテン
蓮の花/シューマン
「椿姫」の楽しい思い出/パスックリ

荒木奏美(Ob)
宇根美沙惠(Pf)

りゅーと大橋を周回し、町内を一周り走って、身支度を整えてから、りゅーとぴあへ。開演40分前に到着。
感想は、「誠実で美しいオーボエの魅力を堪能する」です。
まずはモーツァルトの「オーボエ四重奏曲」(ピアノ版)より第1楽章。軽やかで明るく弾(はず)み、細やかでまろやかに刻んで、すらすらと旨味(うまみ)たっぷりに行書し、くるくると渦を巻きました。続いて朝ドラから大島ミチルの「風笛~あすかのテーマ」。ゆったりと優しく、爽やかな切なさを綴って、心に沁みる調べを届けました。次はモリコーネの「ガブリエルのオーボエ」。甘やかに蕩(とろ)ける滴(しずく)が流れ落ち、影のある憧れを奏でて、物思いに耽(ふけ)るひとときを過ごし、遙かなる希望へと眼差しを届けました。さらにラーンキの「ドン・キホーテとドゥルチアーナ姫」では、ゆっくりと抑え気味に情熱を燃やし、冷たい熱気を孕(はら)んで揺蕩(たゆた)うと、一転、楽しげに飛び跳ね、勢い良く駆ける駿馬(しゅんめ)に、荒々しく鞭(むち)を入れました。そしてピアソラの「アヴェ・マリア」。穏やかに薄日が差す日向(ひなた)に、愁いに満ちた想いを浮かべ、温もりを届けて、安らかな祈りを捧げました。ここでオーボエ一本でのブリテンの「オヴィディウスによる6つの変容」より「バッカス」。細い茎をぐにゃりと曲げ、くねくねと繋げて、細やかに波打たせ、ふらふらと千鳥足でよろけて、九十九折(つづらおり)を高みへと向かいました。デュオに戻って、シューマンの「蓮の花」。涼やかな風が吹き抜け、暖かな肌触りを残して、秘めやかな思いを募(つの)らせ、落ち着いた足取りで、歯切れよく歩きました。プログラム最後はパスックリの「『椿姫』の楽しい思い出」。ゆっくりと劇的な幕開けから、光を巻き込んで、高く駆け上がり、錐揉みで降下して、曲芸飛行を披露すると、優しく甘く円舞して、優美に振る舞い、忙(せわ)しく追い上げて、楽しげに杯を空け、華麗なる翳りを誇って、打ち付ける雨粒(あまつぶ)を受け入れ、並走する喜びと悲しみを横目で追い掛けて、愉しげに燥(はしゃ)ぎ、祝祭の喧騒に飲み込まれました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは「花は咲く」。透き通る輝きを映して、賑々しく終演となりました。
まろやかで美しい音色(ねいろ)と卓越した技巧で、暖かくも心に沁みる演奏を聞かせて頂いたことに感謝して、快い気分で帰路に就きました。

新潟シューマン協会第3回例会 ~シューマンと愛~

2019年6月16日(日) 14:00 内野まちづくりセンター 新潟シューマン協会第3回例会 ~シューマンと愛~

オープニング演奏
 3つの詩 Op.29 より《流浪の民》/シューマン
  田辺千枝子(S) 中森千春(Ms) 永井昭光(T) 林豊彦(Br) 田中幸治(Pf) 品田雅彦、本間優(Per)
第1部 シューマンと愛
 シューマンと愛
  林豊彦(解説)
 《色とりどりの小品》Op.99-4「5つの音楽帳・第1曲」/シューマン
  本間優(Pf)
 《シューマンの主題による変奏曲》op.9より抜粋/ブラームス
   テーマ、変奏1・2・3・4・5・15・16
 《無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ》第3番 BWV1006より/バッハ
  プレリュード、ガヴォット、ジーグ
   ※「R.シューマンによるピアノ伴奏付き編曲」をもとにしたヴェルナー・リヒター編フルート版
 《ピアノ三重奏曲》op.17 より第1楽章/クララ・シューマン
  佐々木友子(Vn) 宇野哲之(Vc) 品田真彦(Pf)
第2部 歌曲集《詩人の恋》(詩:ハイネ)
 初期稿のグランドデザイン
  林豊彦(解説)
 「きみの面影」Op.127-2/シューマン
 「ぼくの馬車はゆっくりと」Op.142/ 〃
  林豊彦(Br)
 《詩人の恋》(全曲)/ 〃
  田辺千枝子(S) 中森千春(Ms) 永井昭光(T) 田中幸治、品田雅彦、本間優(Pf) 

みなとトンネルを4往復走って、昼食を摂り、海岸道路を一路、内野へ。開演50分前に到着。
感想は、「シューマンを巡る色々な知識や歴史的背景を知り、器楽・室内楽、声楽作品を楽しむ」です。
まずはオープニング演奏として、シューマンの「流浪の民」を合唱で。曇り空の下、民衆のざわめきが急ぎ足で囁かれ、艶消しの掛かった輝きを集めて、光の筋が鮮やかに抜け出しました。シューマンに関する一連の解説の後、「色とりどりの小品」と、それを元にしたブラームスの「シューマンの主題による変奏曲」からの抜粋。「色とりどりの小品」ではゆったりと落ち着いた悲しみが短く認(したた)められ、「シューマンの主題による変奏曲」では暗がりに点(とも)る僅(わず)かな灯りが、揺らめきの中にキラリと光り、重々しく歩みながらも、時折足取りを速め、喜びを見え隠れさせて、弱く強く耀きを連ね、白く照らす月光を映して、柔らかに波打ちました。続いてバッハとの関連が語られ、フルートが登場して彼の「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番」のピアノ伴奏付きフルート版。細やかに刻み、明るく軽やかに階段を登って、チカチカと明滅するプレリュード。楽しげに小躍りし、緩やかに塗り込めて、光と影を綾なすガヴォット。掠(かす)れを伴う達筆で行書し、勢い良く飛び込んで、ふわふわとした息吹で飾るジーグ。古楽とロマン派を結ぶ接点を示しました。第1部最後はクララ・シューマンの「ピアノ三重奏曲」から第1楽章。薄く愁いを被せた明るさが、暖かな重なりを見せ、高く低く交差して、艶めきを長く引き、上品な甘さで和ませて、栗色の響きで満たしました。
休憩を挟んで第2部は「詩人の恋」を中心に。まずは当初歌曲集に入っていて、結果的に外された2曲をバリトンで。優しく柔らかに憧れを歌う「きみの面影」。まろやかさに微(かす)かな苦味を添えて、軽やかに弾(はず)む「ぼくの馬車はゆっくりと」。浪漫の香りを伝えました。そして「詩人の恋」をソプラノ、テノール、メゾ・ソプラノのリレー形式で全曲。最初はソプラノで5曲。晴れ渡る空に薫風が吹き、甘やかに草萌える「美しい月、5月」。淡い寂しさを装い、流れる雲を追いかける「ぼくの涙から」。足早に走り出し、早口で囀(さえず)る「バラや、ゆりや、鳩や、太陽」。切なくも希望に満ちて、悦びを囁(ささや)く「きみの瞳を見つめると」。翳(かげ)りを纏(まと)い、打ち寄せる漣(さざなみ)を蹴って駆け抜ける「ぼくの心を沈めたい」。テノールに交代して4曲。重い足取りで歩み、多くの思い出が少しずつ消え去ってゆく切なさを嘆く「聖なるラインの流れ」。小石を踏みしめ、焦げ目のある溜息(ためいき)をついて、穏やかな叫びを高鳴らせる「ぼくは恨まない」。清流がさらさらと流れ、艶(つや)やかに羽根を広げて、一心に力を込める「小さい花たちが知っているなら」。細やかに震え、からからと糸車を廻して、迫り来る悲しみを耐え忍ぶ「あれはフルートとヴァイオリン」。メゾ・ソプラノが登場して5曲。緩やかに珠玉の輝きを伝え、胸に沁みる切なさを夕暮れに綴る「歌が響いてくるのを聴くと」。元気を取り戻し、歯切れよく飛び跳ねて、想いを跳ね除ける「ある若者が娘を愛した」。愁いを秘めて、儚(はかな)い希望を抱(いだ)き、黄緑色の香りを匂わす「きらめく夏の朝に」。悲しみを長く引き摺り、辺りに散らばる石を避(よ)けつつ、葬列を前に進める「ぼくは夢の中で泣いた」。晴れやかな春の日差しの中、僅かな喜びを抱(かか)え、明るい空に向かって、緩やかに羽搏(はばた)く「毎晩夢できみを見る」。再びのテノールで2曲。生きいきと活力に満ちて、立ちはだかる壁を飛び越え、ゆっくりと降り立って、光り輝く木立に寄り添う「古いおとぎ話から」。襲い来る悲劇に果敢に立ち向かい、暗く強い影法師を振り払って、悲しみを押さえ込み、大きく身を沈めるも、むっくりと起き上がって、光の粒を掴(つか)み取る「昔の忌まわしく嫌な歌」。素晴らしい歌声と伴奏が、詩の世界を鮮烈に具現化しました。
会場からは大きな拍手が贈られ、作曲家を体系的に捉え、その魅力を十二分に伝えた出演者全員を暖かに讃えました。
シューマンとそれにまつわる作曲家たちの作品をコンパクトにまとめて、聞く楽しみに、豊かな知識まで加えて、ひとときを過ごせたことに感謝して、喜ばしい気分で帰りのハンドルを握りました。

新潟イタリア協会オープンセミナー サロンコンサート ~PLAZA VOCE の愉しみ~

2019年6月14日(金) 18:30 ホテルイタリア軒 地下「PLAZA VOCE」 新潟イタリア協会オープンセミナー サロンコンサート ~PLAZA VOCE の愉しみ~

愛の挨拶/エルガー
エストレリータ/ポンセ
レントより遅く/ドビュッシー
ピアノ即興曲15番 エディット・ピアフを讃えて/プーランク
ラベンダーの咲く庭で/ヘス
スケルツォ/ブラームス
朝の歌 夜の歌/エルガー
エレジー/フィンジ
オペラ「ポーギーとベス」より/ガーシュイン
・一幕 酒場のピアニスト
・サマータイム
・そんなことはどうでもいいさ

廣川抄子(Vn)
斉藤晴海(Pf)

仕事を終えて、車を駐車場に置き、徒歩でイタリア軒へ。開演5分前に到着。
感想は、「ヴァイオリンとピアノが奏でる妙なる調べを楽しむ」です。
まずはエルガーの「愛の挨拶」から。柔らかに包まれた、艷やかな糸が、爽やかに頬を撫で、寄せる波に濯(あら)われて、快い涼風を吹かせました。続いてポンセの「エストレリータ」。ゆったりとした昼下がりのひとときを、まったりと伸びやかに過ごし、暖かで少し切ない瞬間が通り過ぎて、甘やかな葡萄酒の味わいを匂わせました。次はドビュッシーの「レントより遅く」。ゆらゆらと九十九折(つづらおり)の山径をうねうねと登り、頂きで光を浴びて、白日夢のような微睡(まどろ)みを届けました。ここでピアノ独奏によるプーランクの「ピアノ即興曲15番 エディット・ピアフを讃えて」。薄っすらと哀しみを宿し、微(かす)かな彩りが波打って、十重二十重(とえはたえ)に薄衣(うすぎぬ)を重ね、暗がりと日向(ひなた)を交互に映して、募(つの)る想いを投げ掛けました。ヴァイオリンが戻り、ヘスの「ラベンダーの咲く庭で」。ゆっくりと馨(かぐわ)しき香りが舞い、温かな希望の光を点(とも)して、連なる日々の鼓動を伝え、張り裂けるような胸の痛みをふんわりと届けました。前半最後はブラームスの「スケルツォ」。迸(ほとばし)る青春の翳りを刻み、熱い胸の高鳴りを響かせて、鋭い剣(つるぎ)を交わし合うと、ゆるりと宙空を舞い、柔らかな曲線を描いて、大らかに揺れ動き、押し寄せる波濤(はとう)を受け止めると、迫りくる荒海に立ち向かい、波を蹴って、飛沫を払い除(の)け、大海原へとその身を抛(なげう)ちました。
休憩を挟んで後半はエルガーの「朝の歌 夜の歌」。爽やかな明るさを振り撒(ま)き、まろやかな影が寄り添って、抑えた哀しみが味を引き締める「朝の歌」。穏やかに歩み、くぐもった美しさで飾って、安らかな眠りへと誘(いざな)う「夜の歌」。慎ましくも快い調べを届けました。続いてフィンジの「エレジー」。淡く涼やかに流れ、くすんだ光の帯が揺蕩(たゆた)うと、コク深く豊かに波立ち、艶めきを伴って、哀しみを高く広く昇華し、穏やかに和らぎを伝えました。プログラム最後はガーシュインの「オペラ『ポーギーとベス』」より3曲。愁いを弾(はず)ませ、陽気に哀愁を奏でて、賑やかに足踏みする「一幕 酒場のピアニスト」。夜の冷気が昼の暑さを贖(あがな)い、疲弊する悲しみを優しく慰めて、しんみりと子守唄を唄う「サマータイム」。紫煙が渦巻き、酩酊が溢れて、遣(や)る瀬無(せな)い時を過ごすと、一念発起して速足で駆け出し、ふらつく酔漢(すいかん)を擦り抜けて、ジグザグに走り抜ける「そんなことはどうでもいいさ」。新大陸の哀愁と喧騒を見事に描き出して、北米からの風を鮮やかに伝えました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてアンコールはハイフェッツの「シンコペーション」。明るく戯け気味で、快調に飛ばして、賑々しく終演となりました。
新潟イタリア協会のオープンセミナーが新たなる形で始動し、快い音楽を届けて頂いたことに感謝して、喜ばしい気分で家路を急ぎました。

朝からクラシック

2019年6月8日(土) 10:00 Dr.可児 朝からクラシック

ノクターン 第20番 嬰ハ短調 遺作/ショパン
子供の情景/シューマン
 第1曲 見知らぬ国と人々について
 第6曲 重大な出来事
 第7曲 トロイメライ
波のアラベスク/三好晃
「版画」から第1曲「塔」/ドビュッシー

小林浩子(Pf)

朝食を済ませ、身支度をして、Dr.可児さんへ。開演15分前に到着。
感想は、「カフェの親密な空間で聞くピアノの調べに癒やされる」です。
まずはショパンの「ノクターン 第20番 遺作」。暗くな悲しげな足取りで歩き出し、身を切るような切なさを綴って、大きく波打ち、僅かな安らぎを運ぶも、翳りはその重量を増し、重く伸し掛かって、穏やかに羽根を休めました。続いてシューマンの「子供の情景」から3曲。ゆったりと明るく歩み、朝のひとときを快く過ごす「見知らぬ国と人々について」。強くゴツゴツと弾(はず)み、前を向いて、健気に進む「重大な出来事 」。ゆっくりと微睡(まどろ)みを誘(さそ)い、甘やかな香りで辺りを満たす「トロイメライ」。浪漫が室内に溢れ出て、ふんわりと優しく包みました。次は三好晃の「波のアラベスク」。涼やかで、爽快に、花弁(はなびら)を散らせ、可憐に振り幅を拡げて、勢い良く飛沫(しぶき)を散らしました。プログラム最後はドビュッシーの「版画」から[塔」。遠くから聞こえる鐘を背に、綾成(あやな)す色彩の欠片(かけら)を鏤(ちりば)め、青銅の響きが重なって、長く続く階(きざはし)を登り詰め、輝く頂きへとその歩を進めました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールはショパンの「ノクターン 第2番」。涼やかに優しく輪舞して、賑々しく終演となりました。
土曜日の朝に聞くピアノが心を身体を癒やし、明日への活力を頂けたことに感謝して、喜ばしい気分で帰路に就きました。