ソプラノ柳本幸子プロデュース ISIS スタジオAコンサートシリーズ vol.5 真夏のロシア 恋の翼は、炎の色- 憂愁と白熱のロシア民謡と芸術家達

2014年8月29日(金) 14:00 りゅーとぴあスタジオA ソプラノ柳本幸子プロデュース ISIS スタジオAコンサートシリーズ vol.5 真夏のロシア 恋の翼は、炎の色- 憂愁と白熱のロシア民謡と芸術家達

オープニング
【ロシアのクラシック音楽と民謡】
1.白鳥の湖/チャイコフスキー
2.カリンカ~花嫁さん、可愛いカリンカさんよ、私を愛しておくれ~/ラリオーノフ 
【ロシア作曲家によるクラシック作品】
3.音楽の玉手箱(煙草入れ)~オルゴール~/リャードフ
4.薔薇とナイチンゲール ~オリエンタル・ロマンス バラに恋する夜啼きうぐいすと、イスラムの物語~ /リムスキー=コルサコフ
5.私は野原の草ではなかったか? ~お父さん、どうして私を愛してもいない人と結婚させてしまったの?~ /チャイコフスキー
6.チェロ・ソナタ ト短調 Op.19 第3楽章/ラフマニノフ
7.ヴォカリーズ 作品34-14/ 〃
【ロシア民謡】
8.赤いサラファン ~結婚に乗り気でない若い娘と、娘を諭し花嫁衣裳を縫う母親の対話~ /ワルラモフ
9.ステンカラージン ~ヴォルガ河をゆくドン・コサックの頭領ステンカラージンの船とペルシャ姫の婚礼、そして悲劇~
10.なつかしきヴォルガ ~ヴォルガ河の岸部で、帰らぬ恋人を待つ娘~
11.コサックの子守歌 ~コサックの民、歴戦武勇の父を持つわが子よ、今はただ、穏やかに眠れ~
12.黒い瞳の ~たくましい黒い瞳の若者に恋をしたの、彼を胸に抱きしめたいの~
13.黒い瞳 ~黒い瞳よ、ジプシー女の燃える瞳よ、お前にさえ出会わなければ!~ /ロシア・ジプシー民謡
14.アムール河のさざ波 ~見よ、アムール河に波白く、シベリアの風たてば~
15.ともしび ~戦地へ旅立つ男と、無事を祈る女。夜霧のかなたへ別れを告げ~

柳本幸子(S)
渋谷陽子(Vc)
石井朋子(Pf)

土日仕事のため本日(金曜日)が休日。ということで25分前に到着、満員の中やっと席を見つけて着席し、開演をまちました。
感想は、「一幕の物語を見るような演出と耳が喜ぶ素晴らしい音楽に彩られた濃厚な『真夏のロシア』に魅了される」です。
まずはチェロとピアノが登場しての「白鳥の湖」。鮮やかな切れ味と豊かな響きで、有名な旋律を惜しみなく届けて、万全のスタートを切りました。続けて2人での前奏に乗せて、舞台袖から高らかな歌声が聞こえ、拍手を受けながらソプラノが登場し、そのまま手拍子になって、リズミカルな「カリンカ」へなだれ込みました。
挨拶・奏者紹介があって、2人が一旦下がり、ピアノ一台での「音楽の玉手箱」。きらきらした彩りで音楽の"魔法の箱"を開けて、輝きを引き出しました。
「薔薇とナイチンゲール」「私は野原の草ではなかったか?」では、重くどっしりとした伴奏に朗々と歌うソプラノが見事に調和して、"クラシカルなロシア"を形作りました。
ソプラノが退場し、チェロソナタが始まりました。この作曲家特有の甘美で哀愁を帯びた音楽がスタジオ内を優しく満たしました。
そして「ヴォカリーズ」。遥かなる遠き憧れと儚い望み、憂愁と夢想が交叉する切ない瞬間の陰影を歌声、低弦と鍵盤が見事に描き出し、圧倒的な名演となりました。
このあとロシア民謡が始まると、往年の"歌声喫茶"で歌われたであろう名曲たちが、次々と繰り出され、気が付けばここはもう広々とした"ロシアの大地"。居合わせた聴衆のなかには歌うかのように体を動かす方もおり、会場が一体となって懐かしい歌に耳を澄ませました。
最後の「ともしび」が終わると待ちかねたようにアンコールがかかり、再度「なつかしきヴォルガ」「カリンカ」が歌われ、それでも絶えない拍手に応えて、器楽での「白鳥の湖」が流れ出て、最後はソプラノがメロディ・オブリガートを唱和する形で感動の幕切れとなりました。
なお会場には、猪爪彦一さんのロシアをイメージさせる油彩画が飾られ、一層気分を盛り立てくれましたし、奏者の衣装・小物にも工夫が凝らされ、この素晴らしい演奏会をさらに際立だせる効果を発揮していました。
このシリーズはすでに5回目とのことでしたが、なかなか都合が付かず、今回初めて聞きましたが、独特の雰囲気漂うスタジオAでのコンサートは、癖になりそうなファンタスティックな体験として記憶に刻まれることとなりました。
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合唱団「弥彦」第33回コンサート

2014年8月24日(日) 16:00 燕市文化会館 合唱団「弥彦」第33回コンサート

Ⅰ.合唱団「弥彦」の歌/栗飯原栄子作詩 青島広志作曲
Ⅱ.男声合唱と4手のピアノのための 一人は賑やか/茨城のり子作詩 三善晃作曲
Ⅲ.ゆめのはじまり/矢崎節夫作詩 三善晃作曲
Ⅳ.―ピアノのための無窮連祷による― 生きる/谷川俊太郎作詩 三善晃作曲
Ⅴ.唱歌の四季/三善晃編曲
  朧月夜/文部省唱歌 高野辰之作詩 岡野貞一作曲
  茶摘/文部省唱歌作詩者不詳 作曲者不詳 
  紅葉/文部省唱歌 高野辰之作詩 岡野貞一作曲
  雪/文部省唱歌作詩者不詳 作曲者不詳
Ⅵ.童声・混声合唱と2台ピアノのための 交聲詩曲 波/宗左近作詩 三善晃作曲
Ⅶ.であい 混声合唱と2台ピアノのための/三善晃作詩・作曲

藤井宏樹(指揮)
合唱団「弥彦」(混声合唱)
NHK水戸児童合唱団(児童合唱)
浅井道子、須永真美(Pf)

高速を三条燕I.C.で降りて、燕市文化会館へ。開演30分前に到着。
感想は、「この3日間にかける想いが詰まった合唱への熱情に胸が熱くなる」です。
1曲目はこの"お祭り"のために作曲され、このコンサートの1曲目に歌われるもので、挨拶代りの楽しい雰囲気を明るく伝えてくれました。
次は、男声合唱と連弾のピアノでの「一人は賑やか」。冒頭のハミングの雲の中から、明かりが射すようにメロディが現れ、やがて力強くも雄々しい塊りに成長し、結末へ向かってきれいに収束していきました。続いて、女声合唱での「ゆめのはじまり」。柔らかく包むように響く歌声は心なごむものでした。続くは混声合唱の「生きる」。大きな振幅のある表現、男声と女声が交叉することで生まれるうねりなど表情豊かな歌声で谷川俊太郎の味わいある詩を際立たせてくれました。
前半最後は「唱歌の四季」。ピアノが2台となり、曲によって1番が男声・2番が女声で歌われ、曲が進むにつれてそれらがブレンドされ、混声合唱の魅力を充分に引き出すものでした。さらにピアノ伴奏がモダンな響きで奏されることにより、聞きなれた唱歌を分解し、再構成して、新しい光を当てているようでした。
休憩を挟んで、児童合唱も入った本日のメイン・プログラムともいえる「交聲詩曲 波」。複雑に絡み合う曲想を見事につかんで、短いフレーズの積み重ねで攻めたり、じっくりと重厚に歌い込んだり、かと思うとブギのようなピアノに合わせて軽快に跳ねたり、最終章では歌が一つの太い流れに収束して、大きなエネルギーで終わりを迎えるなどで素晴らしい合唱とコンテンポラリーなサウンドのピアノで作曲者の世界を堪能させてくれました。
プログラム最後は、「であい」。美しく透明なイントロダクションから、徐々に盛り上がり、方々から集まった仲間たちとの邂逅の時間をいつくしむように消えていく歌に一抹の寂しさと多くの喜びが会場に満たされ、感動の幕切れとなりました。
万雷の拍手に応え、アンコールは「唱歌の四季」の番外編で「夕焼け小焼け」。出演者全員での優しい歌に「ほっとする」なごみの瞬間でした。
年に1度、合唱愛好家が全国から弥彦に集まって、練習とその成果の発表を行う形で虜なわれるコンサート。今回初めて聞きましたが、短い期間でここまで仕上げるのは大変なことですし、それが33年間も続いているのは誠に意義のあることだと感心して、帰路につきました。

平野佳恵(ソプラノ) 斉藤晴海(ピアノ) Lied Duo Recital Lied Duo Eveil コンサートシリーズⅠ ~うたでつなぐヨーロッパと日本~

2014年8月21日(木) 19:00 りゅーとぴあスタジオA 平野佳恵(ソプラノ) 斉藤晴海(ピアノ) Lied Duo Recital Lied Duo Eveil コンサートシリーズⅠ ~うたでつなぐヨーロッパと日本~

3つの歌/C.シューマン
 彼はやってきた、嵐と風の中を
 美しさゆえに愛するのなら
 どうして他の人に聞こうとするの
女の愛と生涯
 あの人に出会ってから
 彼は誰より一番すてき
 わからない、信じられない
 私の指にはめられた指輪
 手伝って、妹たち
 愛しい人、あなたは見ているのね
 私の心には 私の胸には
 今あなたは私に初めて痛みを与えました
歌の調べ/プーランク
 ロマンティックな歌
 田舎の歌
 重々しい歌
 快活な歌
日本のおもちゃのうた/中田喜直
 あねさまにんぎょう
 ヨーヨー
 お手玉とおはじき
 うみほうずきと少年
 竹とんぼ
 おまつりはどこ
 紙風船
「16葉の日本の詩」より/アイネム
 郷愁
 憂鬱
 夢
 悲しい心
 犬よ お願い
 今一度
リカルダ・ホッフの詩による5つの愛の歌/ウルマン
 どこであなたは全ての美しさを手に入れたの・・・
 ピアノに
 嵐の歌
 もし、かつて美しいものを創ることができていたら・・・
 おお、美しい手

平野佳恵(S)
斉藤晴海(Pf)

仕事を終えて、まっしぐらにりゅーとぴあへ。30分前に到着し、満員の入りの中、何とか席を確保して開演を待ちました。
感想は、「ドイツを始めとする欧州の風を呼び込み、ひるがえって本邦の香りも聞かせる歌声とピアノにうたれる」です。
まずは、クララ・シューマン。軽やかに飛翔する旋律たちにより軽快なスタートを切りました。続いて旦那様の登場。ロベルト・シューマンの歌曲は、浪漫派特有の濃密な味わいと少しの悲しみを含んだ愛の喜びをいっぱいに匂わせ、切なくも美しい時間を提供してくれました。
休憩を挟んでのプーランクは、勢いよく始まり、快活でフレッシュ、リズミックな変化を自在に操り、この作曲家の"良さ"を知らしめてくれるものでした。
次は日本へ帰り、中田喜直の「日本のおもちゃのうた」。この人のイメージは「夏の想い出」ですが、それを覆すような、"乾いた悲しみ"と"わずかな憧れ"を漂わす、ある意味「現代音楽的」な響きで、新しい一面を見せてもらいました。
そしてアイネム。万葉集や古今集の三十一文字(みそひともじ)のイメージを20世紀のヨーロッパの音楽で表現している歌を簡素で潔い歌いくちで表現し、一味違った風味を味わわせてくれました。
最後は、アウシュビッツの収容所での惨劇の犠牲者であるウルマンの曲。チェコスロバキアの微かな薫りを感じさせる甘美で悲痛な調べがスタジオ内に満ち溢れ、素晴らしいプログラムの締めとなりました。
拍手鳴りやまず、アンコールとなりましたが、その前に、斎藤さんのお父さんが本日誕生日ということで、「ハッピーバースデー」が歌われ、会場後ろにいたお父上に、平野さんが歌いながら花束を渡す"セレモニー"がありました。それに続き、武満徹の「小さな空」が切々と歌われ、心に沁みました。最後は、ドイツの映画音楽が陽気に茶目っ気たっぷりに披露され、この素晴らしいコンサートの幕切れとなりました。
全体として、くっきりとした歌にぴったりとピアノが寄り添い、絶妙のアンサンブルを聞かせてくれ、ドイツ、フランス、チェコそして日本の調べを快く響かせてくれた手腕には"ブラボー(ブラヴィー)"贈りたいと思います。

若手音楽家の集い~新潟から世界へ~

2014年8月17日(日) 19:00 りゅーとぴあスタジオA 若手音楽家の集い~新潟から世界へ~

●第1部
ピアノ独奏
 <<無言歌集>>より/メンデルスゾーン
  "狩人の歌" Op.19-3
  "ヴェネツィアの舟歌" Op.30-6
ソプラノ独唱
 夏の思い出/江間章子 詞 中田喜直 曲
バリトン独唱
 L'ultima canzone/チンミーノ 詞 トスティ 曲
ピアノ独奏
 バラード 第1番 ト短調 Op.23/ショパン
●第2部 オペラ・名曲ステージ
 <<セヴィリアの理髪師>>より/ロッシーニ
  "私は町のなんでも屋"
  "それは私のことなのね"
 <<カヴァレリア・ルスティカーナ>>より/マスカーニ
  間奏曲
<<ドン・ジョヴァンニ>>より/モーツァルト
  "お手をどうぞ"
<<清教徒>>より/ベッリーニ
  "あなたの優しい声が"

小林浩子(Pf)
高橋千夏(S)
山下友輔(Br)

APRICOTの後、一旦帰宅して、改めてりゅーとぴあへ。開演5分前に滑り込み。
感想は、「若さあふれる歌とピアノに楽しさとパワーをいただく」です。
まずはピアノ独奏でのメンデルスゾーン。鮮やかに切り込んだ"狩人の歌" とじっくりと丁寧に弾き込まれた"ヴェネツィアの舟歌"で快調にスタート。
続くソプラノ独唱ではこの季節にふさわしい、"遥かなる尾瀬"への思いが軽やかにかつ端正に歌われ、心が安らぎました。
そしてバリトンの登場。トスティの歌曲を切なくもたっぷりと歌い上げ、甘美な余韻も残しながら、堂々の歌声を披露してくれました。
第1部最後はショパン。この作曲者特有の美しさと激しさを充分に表現し、左手の伴奏までクリアに浮かび上がらせて、楽しませてくれました。
休憩を挟んで、第2部はオペラからの選曲。<<セヴィリアの理髪師>>では、最初にピアノだけ登場し、前奏を奏でると、ステージ袖からバリトンが歌い出し、駆け出して、正面へ。するともうそこはロッシーニの舞台。"私は町のなんでも屋"は振付を伴って、多分にコミカルに早口でまくしたてるフィガロを歌って、雰囲気を盛り上げました。そしてソプラノのロジーナが加わっての"それは私のことなのね"。小道具を使ってのデュエットは、"可愛さ"と"溢れる喜び"が詰まった魅力的な歌唱でウキウキした気分を味わわせてくれました。
次のマスカーニの間奏曲は、ピアノで優しくゆったりと奏され、落ち着いた時間を過ごさせてもらいました。
独唱の2人が再登場してのモーツァルト。伝説の放蕩者が、村娘を口説いて徐々に惹きつけていく様子を体全体で表現し、見ているこちらの方がドキドキするようなシーンを作り出して、オペラの1場面を再現してくれました。
最後はソプラノのソロ。ベッリーニが作った「狂乱の場」を、素晴らしい技巧で歌声を響かせ、我々を圧倒してプログラム閉じました。
このような見事な演奏ですから、拍手が鳴りやまず、それに応えて、アンコールが2曲。バリトンで高野喜久雄作詞・高田三郎作曲の"くちなし"。そして2人がグラスと日本酒の小瓶を持ってのヨハン・シュトラウスⅡ世作曲「こうもり」から「乾杯の歌」で、ステージからのコールを受けた客席の手拍子まで入って、にぎにぎしく終演となりました。
首都圏での才能たちを紹介してくれ、オペラへの扉を開いてくれるこの企画を含め、新潟での活動を続けてくれるピアノの小林さんの熱意と努力は大変素晴らしいと思いますし、中央高校の後輩たちへの良きお手本となるこのような演奏会が今後も開催されることを願ってやみません。

りゅーとぴあ演劇スタジオ キッズ・コース APRICOT 2014 夏季公演 星の王子さま

2014年8月17日(日) 13:00 りゅーとぴあ劇場 りゅーとぴあ演劇スタジオ キッズ・コース APRICOT 2014 夏季公演 星の王子さま

原作/サン=テグジュペリ
脚本/笹部博司
音楽/野瀬珠美
美術・衣装/後藤信子
演出/戸中井三太
振付/内堀照子
歌唱指導/西潟明美
演出助手/三浦真央
<演奏>
加藤礼子(Vn)
渋谷陽子(Vc)
野瀬珠美(Pf)

入場の長い行列が収まるのを待ち、当日券を買い、満員の客席に空きを見つけて、開演を待ちました。
感想は、「APRICOTメンバー・演出・振付・衣装・音楽を含めた総合芸術の見事さに感嘆し、感動する」です。
幕が開くと、"吊り下げられた星たち"のみのシンプルな背景に原作者の影を背負う砂漠に不時着した「飛行士」が一人で歌い出し、次第に合唱が加わり、物語が進んでいきました。砂漠での飛行士と王子の出会いに始まり、"王子の星"でのバラの花との別れと地球へ来るまでの6つの星での出来事が展開し、第1幕が閉じました。
休憩後の第2幕では地球についてからのヘビ、バラの群生、キツネとの出会い、そして飛行士と王子の邂逅、水を求めての探索、井戸の発見と王子の星への帰還。そしてこの物語でのテーマ「大切なものは目に見えない」が歌い上げられ、感動の大団円を迎えました。
そしてカーテンコールでは、このミュージカルの挿入歌が2曲アンコールの意味で歌われ、喝采のうちに終演となりました。
王子・飛行士・バラの花・ヘビ・キツネを始めとするソロを歌うメンバー、きれいな合唱としなやかで表情豊かな振付でストーリーを明快に示してくれるコーラスのメンバーたち、シーンを鮮やかに浮かび上がらせるライティング、ステージ上と一体になって盛り上げる演奏のお三方、自然なバランスで生の質感に限りなく近いPA、どれ一つかけてもサン=テグジュペリの描き出す"人間の愚かさの縮図"と"人生における大切なこと"をこれほど感動的に再現することはできなかったのではないでしょうか。
このような素晴らしいステージを提供してくれたAPRICOTのメンバー、演奏、制作の方々を始めとする関係者の方々に惜しみない拍手を贈りたいと思います。

大瀧拓哉 ピアノリサイタル

2014年8月10日(日) 14:00 スタジオスガマタ 大瀧拓哉 ピアノリサイタル

ピアノのための練習曲集より/リゲティ
 第7番 ガランボロン(悲しい鳩)
 第11番 不安定なままに
 第6番 ワルシャワの秋
12の練習曲より/ドビュッシー
 第1番 5本の指のために(ツェルニー氏による)
 第6番 8本の指のために
 第5番 オクターブのために
ピアノソナタ第7番「戦争ソナタ」 Op.83/プロコフィエフ
 第1楽章 アレグロ・インクエート
 第2楽章 アンダンテ・カロローソ
 第3楽章 プレチピタート
幻想曲 Op.17/シューマン
 第1楽章 「どこまでも幻想的 かつ熱情的に演出する」
 第2楽章 「中庸の速さで どこまでも精力的に」
 第3楽章 「ゆるやかに演奏する どこまでも穏やかに保つ」

大瀧拓哉(Pf)

台風の忍び寄る昼下がり、スタジオスガマタへ。会場直後に入場し、着席。
感想は、「長岡の誇り、圧倒的な迫力と切れ味のよい瞬発力にノックアウトされる」です。
まずはリゲティ。複雑怪奇な曲想を見事に描き切り、狂暴スレスレの強靭な打鍵と精妙なタッチで作曲家の仕掛けた迷路を解き明かし、20世紀の音楽の醍醐味と仄かなハンガリーの香りを伝えてくれました。
続いてのドビュッシー。大胆に切り込んだ演奏で、スタジオスガマタの楽器の能力を限界まで追い込み、響きの可能性を極限まで追求した素晴らしい演奏でした。
前半最後はプロコフィエフ。"ソビエト"人民への手の込んだ"応援歌"を鋼鉄の強奏と穏やかな祈りを交えて提供し、大戦に相対する人々の苦難とそれを乗り越える士気を入魂のプレイで表現して、この強烈なピアノソナタを仕上げてくれました。
休憩後は、ガラッと変わってのシューマン。恋人クララへの思いが詰まった大曲をロマンティックかつ大きなダイナミックレンジで弾き込んで、ドイツ・浪漫派の濃厚な味わいを、鋭い輝きも含めて、たっぷりと奏でてくれました。
大きな拍手に応えてのアンコールは、バッハの「サラバンド」。すっきりとした目鼻立ちの演奏で、さらりと締めてくれました。
ドイツ留学の休みを使ってこのような素晴らしいリサイタルを開催してくれることは大変ありがたいことです。さらに日頃聞けないレパートリーを披露してくれて、音楽的見聞を広めてくれる楽しい時間を提供していただいたことに、大瀧さんはもとより、この企画を推し進めてくれたコンチェルトの佐藤さんに感謝したいと思います。

REVOIR 新潟市ジュニアオーケストラ教室OBアンサンブル SUMMER CONSERT 2014

2014年8月9日(土) 18:00 りゅーとぴあスタジオA REVOIR 新潟市ジュニアオーケストラ教室OBアンサンブル SUMMER CONSERT 2014

リュートのための古代舞曲とアリア/レスピーギ
プリンク・プレンク・プランク/アンダーソン
ワルツィング・キャット/ 〃
フィドル・ファドル/ 〃
弦楽セレナーデ/ドヴォルザーク

18:00開演ということで、18:01にタイムカードを切ってもしょせんは間に合わないと知りつつ、急いでりゅーとぴあへ。到着すると前半最後の曲のそのまた最後がちょっと聞けて、そのまま休憩へ。残念といえば残念ですが仕方ありません。
聞けたのは後半だけですが、気を取り直しての感想は「若い息吹がヴィヴィッドに反映された新鮮な音楽に心奪われる」です。
というわけで、そのドヴォルザークですが、ヴィオラのイントロダクションから流れ出すボヘミアの憂愁と優しさが理屈でなく、感情にダイレクトに訴えかける1楽章。緩やかな舞曲で心弾ませる2楽章。鮮やかなスケルツォとたおやかなトリオを自在に描き分ける3楽章。ゆったりと心癒す4楽章。そして大胆に切り込む序盤から大きな広がりと"強"から"弱"へメリハリのついたダイナミックレンジを持って奏でられる終楽章。いずれも旋律を明快にそして内声を確固として奏するヴァイオリン。渋いながら豊かな響きで中音域を支配するヴィオラ。分厚くヴォリュームのある低音の塊りを紡ぎだすチェロ。さらにその下を支え、ときおり決めるピッチカートがさえるコントラバス。その特徴を充分に生かしつつ、弦楽合奏として一体になって突き進む様は、さすが母体の"ジュニオケ"以来の結束力を見事に結実させ、感動の「弦楽セレナーデ」を我々に届けてくれました。
アンコールは、前半最後の「フィドル・ファドル」を、"本番仕様の安全運転"ではなく、ちょっと"暴走"気味の猛スピードで、演奏してくれて、大きな拍手とともに終演となりました。
演奏会の最後に挨拶された笛木団長さんが言われたジュニアオーケストラを巣立ったメンバーが戻ってくる場所としての"ルヴォアール"として今後も活動を続けていってほしいと思いますし、管・打楽器のメンバーも加わった大オーケストラでたくさんの素晴らしい演奏を聞かせていただけることを希望して、感想とさせていただきたいと思います。

そらのコンサート 真夏のクラシック 第四夜

2014年8月6日(水) 19:00 新潟日報メディアシップ 20Fそらの広場 そらのコンサート 真夏のクラシック 第四夜

ソナタ ト短調 BWV1020/J.S.バッハ
聖水曜日のためのルソン・ド・テネブル 第2番/F.クープラン
ルパン三世'80/大野雄二
海の見える街~~映画『魔女の宅急便』/久石譲
Stand Alone~スペシャルドラマ『坂の上の雲』/ 〃
「暁の星のいと美しきかな」BWV1 より「アリア」/J.S.バッハ
グローリアRV.589 より「神なる主、天の王者」/ヴィヴァルディ

渡辺茜(Ob、Ci)
風間左智(S)
中山徹(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
笠原恒則(Cemb)

メディアシップ そらのコンサート・真夏のクラシックも第四夜目。最終日(千秋楽?)です。いつものように萬代橋を渡って、会場へ。
感想は、「最後を飾るに相応しい豪華な編成でのバロックや現代の歌たちにおおらかに包まれる」です。
まずはいきなりのバッハ。時計仕掛けの精巧な構造を、オーボエとチェンバロで解き明かしてゆく1楽章。優しい歌が流れる2楽章。活発な応酬で生き生きとよみがえる3楽章。曲にかける意気込みとそれを支える確かな技術が合いまみえる素晴らしいオープニングとなりました。
続いては、ソプラノとヴィオラ・ダ・ガンバが入れ替わりに登場し、広島の原爆投下日への哀悼の表明の意味もある聖週間の礼拝からの悲痛な曲。終始張り詰めた叫びのような歌声は、ガンバも含めた通奏低音に支えられ、その場の重力を倍加させる力で迫り来て、12分の長き時間を永遠まで推し進めるような錯覚に陥るほどの影響力を与えました。
ここでチェンバロ1台で、がらりと気分を変えた「ルパン三世」。ベースラインやドラムスまで聞こえるような左手に、ジャジーでポップな右手がお馴染みのメロディーを奏でて、晴れやかな気分を提供してくれました。
オーボエが戻ってのジブリ。滑らかな旋律が懐かしくも新しい響きで我々を魅了しました。
さらに残り2人も加わっての「坂の上の雲」から。精巧な編曲も手助けして、繊細で滔々たる大河が流れ出しました。
イングリッシュホルンに持ち替えての「アリア」は、さらに強度を増した"バス"と歌で大バッハの作品1を圧倒的な演奏で届けてくれました。
最後は、ドイツからイタリアへ渡り、ヴィヴァルディを。明るく軽やかな調べがそらの広場にこだまし、バロック時代へタイムスリップしかたかのような躍動感に心躍りました。
大きな拍手に応えてのアンコールは、加藤昌則の合唱曲「あしたのうた」をこの編成で。日本語の沁みるよい曲で締めとなりました。
水曜日の夜のお楽しみがこれで終わると思うとなんとも淋しい限りですが、きっと続編が開催されるであろうことを期待しつつ、関係者の皆様に大きな感謝を捧げたいと思います。

平成26年 第41回国立音楽大学 新潟県人演奏会

2014年8月6日(水) 14:30 新潟市音楽文化会館 平成26年 第41回国立音楽大学 新潟県人演奏会

【第1部】
斎藤ななみ(S) 塚原万裕(Pf)
 優しい妖精、マリンコニーアよ/ベッリーニ
 喜ばせてあげて/ 〃
星野文香(Pf)
 ソナタ k.1、k.10/スカルラッティ
 エチュード 作品 10-9、作品 10-5/ショパン
田中優美(Vn) 横坂優花(Pf)
 前奏曲とアレグロ/クライスラー
塚原万裕(Pf)
 ピアノソナタ 第17番 ニ短調 作品31-2 第一楽章/ベートーヴェン
坂井結菜
 道化師の朝の歌/ラヴェル
山本かおり(Vn) 茅原徳美(Pf)
 交響組曲「シェエラザード」より アラビアの歌/R.コルサコフ(クライスラー編)
塩野谷春(Pf)
 スケルツォ 第3番 作品39 嬰ハ短調/ショパン
【第2部】
茅原徳美(Pf)
 ピアノソナタ 第47番 ロ短調 Hob.XVI 32
  Ⅰ.アレグロ・モデラート Ⅱ.メヌエット Ⅲ.フィナーレ:プレスト
木村沙紀(Pf)
 「ドン・パスクァーレ」より あの瞳に騎士/ドニゼッティ
品田宇彦(Pf)
 スコットランドソナタ 第一楽章/メンデルスゾーン
永井桜(Cb)
 コントラバス協奏曲 ロ短調/ボッテジーニ
川嶋伽奈(Pf)
 6つの小品より 第2番 間奏曲 作品 118-2/ブラームス
高津亜美(S) 品田宇彦(Pf)
 オペラ「ラ・ボエーム」より 私の名はミミ/プッチーニ
               あなたの愛の呼ぶ声に/ 〃

照り付ける太陽、鳴き続ける蝉の合唱などの夏のアイコンを背に音楽文化会館へ。
感想は、「研鑽を続ける音大生の一途な精進に感動」です。
1番目は、ベッリーニの歌曲から。線形の透き通る歌声で見事にトップバッターの重責を果たしました。
2人目はピアノで、スカルラッティをドライでメカニカルに、ショパンをロマンティックに響かせて、多彩な音色と楽想を楽しませてくれました。
3番手のヴァイオリンは、素直でシンプルな前奏曲と明るく軽快なアレグロを聞かせてくれました。
ピアノに戻って、ベートーヴェンのソナタから。優しさと激しさが交錯し、音文のスタインウェイを手中に収めたかのような深く味わいある響きが心に突き刺さりました。
5番目はラヴェル。この作曲家でよく出てくる不気味さと輝きをよく表現し、スペイン風味を味わわせてくれました。
続くは再度ヴァイオリン。リムスキー・コルサコフの甘いメロディーを打ち寄せる波の音とともに届けてくれました。
第1部最後は、ショパンの「スケルツォ」。豊饒かつ繊細なピアノで、パワフルに弾き込んでいく様子に目と耳が釘づけになりました。
休憩を挟んで、第2部始めは、ハイドンの「ピアノソナタ」。フォルテピアノを意識したかのような淡彩色の響きに特有の"悲しみ"が味付けされた演奏で鮮やかに決めてくれました。
続いて、ドニゼッティのオペラから。伸びやかに歌われるアリアは、軽やかに宙を舞い、トリルも交えて、ソプラノの妙技を聞かせてくれました。
次のピアニストは、メンデルスゾーン特有の憂愁と明るさを持つ楽想を充分に表現し、精妙なタッチで美しく仕上げてくれました。
11番目にはコントラバスが登場。この分野では"有名な"ボッテジーニ。弓が一閃して、曲が始まると、確固した低音から安定した高音まで自在を操り、よく歌う協奏曲を届けてくれました。
ラス前のピアノは、内省的で落ち着きのあるブラームスで、絡み合う糸を上手にほどいて、曲の持つ良さを解き明かしてくれました。
最後は、プッチーニのオペラから。堂々して、ホールを満たすソプラノは歌うように、語るように、「ラ・ボエーム」の世界を響き渡らせ、艶やかなヒロインを描き出しました。
首都圏の現役の音大生の公演を聞けることは、ここ新潟ではなかなか機会が無く、今回は貴重な時間となりました。学生たちにとってもステージでの本番という重い体験を得られる良いチャンスでありますし、今やコンサートにおける重要な活動である宣伝も含めた広報活動やステージ・マネージメント等を経験できる有効な学習であることは言うまでもありません。
今後も学生たちが、21世紀の演奏会を支えるための研鑽を積まれ、さらに素晴らしいコンサートが行われることを祈念して、筆を置きたい(キーボードを打ち終わりたい)と思います。

アンサンブルクライン 第50回記念演奏会 ~奥村和雄門下生によるヴァイオリン ガラ・コンサート~

2014年8月3日(日) 14:00 りゅーとぴあコンサートホール アンサンブルクライン 第50回記念演奏会 ~奥村和雄門下生によるヴァイオリン ガラ・コンサート~

「スコットランドの釣鐘草」変奏曲/スコットランド民謡
おもちゃの交響曲/L.モーツァルト
 第1楽章:Allegro 第2楽章:Menuett,Trio 第3楽章:Allegro moderato
「調和の幻想」作品3より 第10番/ヴィヴァルディ
 第1楽章:Allegro 第2楽章:Largo 第3楽章:Allegro
  ヴァイオリン独奏 鍵冨弦太郎・庄司愛・枝並千花・奥村愛
ヘンデルの主題によるパッサカリア/ハルヴォルセン
  ヴァイオリン 鍵冨弦太郎 ヴィオラ 羽柴累
弦楽のための交響曲第10番/メンデルスゾーン
「和声と創意の試み」作品8より「四季」/ヴィヴァルディ
第1曲「春」      
第1楽章:Allegro   
第2楽章:Largo
第3楽章:Allegro   
第2曲「夏」
第1楽章:Allegro non molt
第2楽章:Adagio
第3楽章:Presto
             ヴァイオリン独奏:枝並千花 
第3曲「秋」
第1楽章:Allegro   
第2楽章:Adagio
第3楽章:Allegro   
第4曲「冬」
第1楽章:Allegro non molt
第2楽章;Largo
第3楽章:Allegro
             ヴァイオリン独奏:奥村愛

本田優之(指揮)

開演25分前に到着。1・2階のステージ側を除く客席は満員。3階もそこここにお客様がいるという盛況ぶり。
感想は、「奥村和雄門下生の実力発揮、名伯楽の教え子たちの作るアンサンブルに打ち震える」です。
驚いたのは、司会進行が奥村愛さん。なんて贅沢な!
そしてトップバッターは小学生たちの合奏で、スコットランド民謡。素直な演奏で、ピアノ伴奏に合わせ、表情豊かに"懐かしい"メロディを巧みに変奏し、さらに2声に分かれて音楽を編み上げました。
続くL.モーツァルトでは、上の学年の子供たちを中心にした弦楽5部合奏に載って、小学生たちがおもちゃを奏で、しっかりとそして楽しく「おもちゃの交響曲」を仕上げました。
続く「調和の幻想」では、門下生で今バリバリ現役の音楽家たちが4人そろってソリストを務め、4声の独奏が時に重なり合い、時に交互に絡み合いながら素晴らしいヴィヴァルディを聞かせてくれました。
全員が一旦捌けて、鍵冨君と羽柴さんが再登場してのハルヴォルセン。輝くヴァイオリンと渋くも力強いヴィオラが、競い合い、調和してヘンデルの主題をおいしく料理してくれました。前半最後ということで、アンコールでハイドンの曲をやってくれました。
休憩後、再度アンサンブルに戻ってのメンデルスゾーン。ゆっくりとした序奏から切ないアレグロが流れ出し、自在に変化する曲想にうまく乗って、単一楽章の交響曲を見事に組み上げてくれました。
次が本日のメイン・ディッシュの「四季」。今回は「春」「夏」を枝並千花さんが、「秋」「冬」を奥村愛さんが弾き分ける趣向。
第1曲を独奏者も含め、全員で奏で始め、途中からソロが飛び立って、協奏を繰り広げ、3つの楽章を素晴らしい演奏で楽しませてくれました。そして第2曲では枝並さんのスイッチが入り、気合い充分で、鬼気迫る音楽を作り出し、エキサイティングで聞いていてゾクゾクする「夏」を提供してくれました。
ソリストが変わり、第3曲へ。柔らかい音色で優しい「秋」が豊かな響きでホールを満たし、第4曲ではシリアスで厳しい「冬」を緊張感を漂わせながらも、芳醇に奏して、拍手喝采で締めてくれました。
満場の期待に応えてのアンコールは鍵冨君・庄司さん・枝並さん・愛さんに加え、御大奥村先生の5人で「冬」の2楽章を演奏して、にぎにぎしく終演となりました。
独奏者を始め、小中高校生たちのヴァイオリン、OB・OGや賛助の方々の作るビオラ以下の中・低弦まで、27年の年輪を重ねたこの教室の底力が十二分に発揮され、大変素晴らしい結果が残せたことは、新潟の音楽界にとっても幸せなことであるととともに、この中から世界的なプレーヤーが輩出されることを願ってやみません。