そらのコンサート 真夏のクラシック第3夜 和み時間

2015年7月29日(水) 19:00 新潟日報メディアシップ20階そらの広場 そらのコンサート 真夏のクラシック第3夜 和み時間

テルーの唄/宮崎吾郎 詞 谷山浩子曲
浜千鳥/鹿嶋鳴秋 詞 引田瀧太郎 曲
浜辺の歌/林古渓 詞 成田為三 曲
六段/八橋検校
春の海/宮城道夫
キビタキの森/宮田耕八郎
アヴェマリア/カッチーニ伝
トルコ行進曲/モーツァルト
少年時代/井上陽水
見上げてごらん夜の星を/永六輔 詞 いずみたく 曲

奥村京子(箏)
西谷純代(S)
金子由香利(Fl)

メディアシップを目指し、酷暑の萬代橋を渡って開演50分前に到着。
感想は、「溢れんばかりの名曲たちの洪水にまみれる」です。
まずは「テルーの唄」。木の香りが漂う序盤から、大きく歌い上げて快調にスタートを切りました。続く「浜千鳥」では切なさと優しさが満ちた歌声が会場を包んで暖かな雰囲気を醸し出しました。さらに「浜辺の歌」では懐かしいメロディにフルートが絡み、穏やかな情景を描写しました。
そして「六段」。箏の"古典"と言っていい大曲が繊細にかつ大胆に鳴り響き、あたりの空気をきりりと染め上げました。笛が加わっての「春の海」は薄墨の息吹を支える糸の高鳴りが交叉し、せめぎ合い、調和して、雅の調べを届けてくれました。デュオでもう1曲。「キビタキの森」では鳴き声の多様性を見事に吹き切り、木々の間を飛び回り、囀(さえず)る鳥たちを目の前に表してくれました。
ソプラノが復帰しての「アヴェマリア」。胸を締め付ける旋律が滔々と流れ出し、"アーメン"で収束するだけでこんなにも感動を呼び起こす奇跡のようなひとときを提供してくれました。
ここで気分を変えて「トルコ行進曲」。十七弦の低音が邁進する上でスキャットとフルートのコンビネーションがコミカルながら楽しい遊戯で盛り上げました。
最後の2曲は歌謡曲で。「少年時代」は明るい草原を駆ける喜びや夏の儚さを思い起こさせて、しんみりさせ、「見上げてごらん夜の星を」ではまっすぐに憧れを歌い、集まった満場の客席から大きな拍手を受けました。
それに応えてのアンコールは「涙そうそう」。遥かなる遠い島の幻影がうっすらと陰を落とす名曲がたっぷりと歌たわれて、心に沁みました。
これまで毎回チケット・ソールドアウトの人気を誇る異色な編成のトリオがここメディアシップでもその魅力を全開にして、多くの観客を魅了した"真夏のクラシッ第3夜"は盛況の裡に終了となりました。
次の機会に期待を膨らませて会場を後にしました。
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水と土の芸術祭 2015 市民プロジェクト QUARTET PAPAS

2015年7月25日(土) 14:00 旧二葉中学校 水と土の芸術祭 2015 市民プロジェクト QUARTET PAPAS

マーメード・ラグーン
魔女の宅急便/久石譲
弦楽四重奏曲 ヘ長調 第1,2楽章/ラヴェル
映画音楽メドレー ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ~ミッション~ロメオとジュリエット~ひまわり
弦楽四重奏曲第3番 第3楽章/シュナイダー
ロシア民謡メドレー ポーリュシュカポーレ~トロイカ~カチューシャ~コロベイニキ~カリンカ
弦楽四重奏曲第9番 ハ長調「ラズモフスキー第3番」第3,4楽章/ベートーヴェン

QUARTET PAPAS
粟津 惇、青山英里香(Vn)
武田麻耶(Va)
奥村 景(Vc)

水と土の芸術祭 2015のベースキャンプ:旧二葉中学校へ。開演30分まえに到着。
感想は、「夏の日差しの中で聞く弦楽四重奏の生命力溢れる演奏を楽しむ」です。
まずは千葉にある某有名テーマパークの音楽が、挨拶代りに快活に生きいきと届けられました。続いて日本の巨匠のアニメから1曲。切なくも可憐な旋律が楽しげに歌われ親しみを提供してくれました。 
ここでクラシックの楽曲からラヴェルの四重奏。くっきりと表情を刻み、鮮やかな彩りで近代的な響きを聞かせる1楽章。弾けるようなピッチカートで飾られ、シルクの肌触りの運弓が滑らかに決まる2楽章。一瞬にして場面を更新するような見事な演奏で楽しませてくれました。
次にちょっと旧い映画音楽のメドレー。心に沁みるメロディーたちが4本の楽器から流れ出し、胸を締め付けるような哀愁を味わわせてくれました。
ここでこのクァルテットの原点というシュナイダー。複雑な拍子をものともせず、明るく軽快なダンスを勢いを持って披露してくれました。
少し難しい音楽のあとは、親しみのあるロシア民謡。巧みな編曲で懐かしさと暖かみを感じさせ、艶やかな弦の調べで魅了してくれました。
そして最後はベートーヴェン。かっちりとしつつも豊かな音色(ねいろ)で迫る3楽章。特有の緊迫した動機で畳みかける4楽章。厳格に設計された総譜を的確に音にして、音楽の豊饒を伝えてくれました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは、クロノス・クァルテットの曲がのびのびとしたサウンドで弾かれて、この素晴らしいコンサートの幕切れとなりました。
水と土の芸術祭 2015の市民プロジェクトの一環として行われたこの演奏会ですが、無料で聞くのが申し訳ないような見事なコンサートで、りゅーとぴあスタジオAあたりで、じっくりと本格プログラムを聞いてみたいと思わせるとても良いひとときでした。

そらのコンサート 真夏のクラシック 3台チェンバロコンサート

2015年7月22日(水) 19:00 新潟日報メディアシップ20階そらの広場 そらのコンサート 真夏のクラシック 3台チェンバロコンサート

3台のチェンバロのための協奏曲 ハ長調 BWV1064 第1楽章/J.S.バッハ
2台のチェンバロのための協奏曲 ハ短調 HWV446/ヘンデル
 アルマンド 
 クーラント
 サラバンド
 シャコンヌ
ガヴォット/ルーシェ
フガータ/ピアソラ
リベルダンゴ/ 〃
Holy Graal/Opus Atlantica
バレスタイン城/J.D.K Band
クラヴサン曲集よりアルマンド/ル・ルー
クラヴサン曲集よりシャコンヌ/ 〃
3台のチェンバロのための協奏曲 ハ長調 BWV1064 第3楽章/J.S.バッハ

笠原恒則 丸山洋子 飯田万里子(Cemb)

萬代橋を渡り、メディアシップへ。開演50分前に到着。
感想は、「3台のチェンバロが奏でる音のモザイクに聞きほれる」です。
まずはバッハ。歌う旋律、細やかに絡み合う装飾、控えめながらしっかりと支える低音。この楽器たちのための音楽が精妙に響き合って、大きな音の雲を形作りました。
続いてはヘンデル。メロディアスな始まりから優しい舞踏を繰り広げるアルマンド、甘く急ぐように駆け出すクーラント、ゆったりと美しく奏でられるサラバンド、快活に進むシャコンヌ。2台の鍵盤が織りなす舞曲集が典雅に届けられました。
一転相方が変わり、"プレイ・バッハ"で有名なルーシェ。シングル・モルトのフレーバーが香るような都会的な味わいでジャージーなナンバーを華麗なるデュオで聞かせてくれました。
ここからさらに組み合わせを変えてピアソラが2曲。典型的なフーガがやがてタンゴの揺らめきに変わる「フガータ」。そしてお馴染みの「リベルタンゴ」が男前にカッコよく決められて喝采を浴びました。
さらにヘビーメタルから「Holy Graal」が轟音から昇華されたような繊細なメロディと包み込むがごときベースラインとともに会場に鳴り渡りました。そしてミディアム・テンポでぐいぐいと進む「バレスタイン城」が重量感を持ってその存在をアピールしました。
古楽に戻ってル・ルーの「クラヴサン曲集」。優雅に舞い踊る「アルマンド」。軽やかに天翔ける「シャコンヌ」。仏蘭西の薫りを運んでくれました。
そして最後は再度バッハ。「3台のチェンバロのための協奏曲」の3楽章が華々しく、精巧に奏でられ、満場の拍手を受けました。
それに応えてのアンコールはヘンデルの「メサイア」から「ハレルヤ・コーラス」。救世主を讃える歌が撥弦鍵盤楽器の三重奏によって、高らかに響き渡って、にぎにぎしく終演となりました。
3台のチェンバロが同時に揃い、聴衆の前でコンサートを行うことは、新潟のような地方都市では稀有のことであり、演奏者を始めこのような機会を提供していただいた関係者の方々に大きな感謝を捧げたいと思います。

金子由香利 X 石井佑輔 デュオリサイタル

2015年7月19日(日) 19:00 りゅーとぴあスタジオA 金子由香利 X 石井佑輔 デュオリサイタル

ソナタ ニ長調 BWV1028(ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ)/J.S.バッハ
 Ⅰ.Adagio
 Ⅱ.Allegro
 Ⅲ.Andante
 Ⅳ.Allegro
アダージョ&アレグロ Op.70(ホルンとピアノための)/シューマン
ソナタ 第1番 イ長調 Op.13(ヴァイオリンとピアノのためのソナタ)/フォーレ
 Ⅰ.Allegro Molt
 Ⅱ.Andante
 Ⅲ.Allegro Vivo
 Ⅳ.Allegro quasi Presto
フルートとグラスチャイムのための《マスク》 Op.3/ナッセン
鳥のカタログより「チャバラムシクイ」/メシアン
レインフォレストより/ボディ
 Ⅰ.狩の歌
 Ⅲ.子守歌
 Ⅳ.子供の遊び
ソナタ Op.23/リーバーマン
 Ⅰ.Lento con rubato
 Ⅱ.Presto energico

金子由香利(Fl)
石井佑輔(Pf)
本間美恵子(Per,marb)

所用を足してからりゅーとぴあへ。開演10分前に滑り込み。
感想は、「様々な響きと圧倒的な音楽性を楽しむ」です。
まずはバッハ。抑制の効いたドライな音色(ねいろ)で奏でられるピアノの上を柔らかで均質なフルートが翳りを帯びた息吹でゆっくりと動き、はたまた素早く駆け抜け、時計仕掛けの3つの楽章を、設計図通りに仕上げてくれました。
続くシューマンでは、ロマンティックな鍵盤と息の長い笛の美しい旋律がまどろみを誘い、快活な調べが躍動を伝えました。
前半最後はフォーレ。仏蘭西の薫りが立ち上(のぼ)る冒頭から、ゆるりと吹き出すメロディが軽やかに宙を舞い、たおやかに流れ、おどけるように跳ねた後、堂々とフィナーレを決めてくれました。
休憩を挟んで、後半は現代音楽特集。「マスク」では袖から音が聞こえ出し、奏者が吹きながら登場。その後も上手・下手へと動き回り、右、左、後ろ向きと向きを変えて、横笛を奏で、さらに袖からはグラスチャイムが、時折揺らめいて、独特の雰囲気を醸し出しました。灰色の気配が、時に震え、時に異音を放って、妖(あや)しの響きが会場を満たしました。
続いてはピアノ独奏でメシアン。切り立つようなリズム、明るくも奇妙な和声、鮮やかな彩りと強烈な一撃。スタジオAのヤマハから今まで聞いたことのない音色(おんしょく)を見事に暴き出し、繊細にして狂暴な音楽が繰り広げられました。
「レインフォレストより」はフルートとマリンバのデュオ。木片の反復が続く中、蠢く木管の吹奏、途中現地の子供の唄を模した歌声が入り混じり、生気に満ちた狩猟民族の音楽を届けてくれました。
そしてリーバーマン。真剣勝負を挑むかのごとき、静かなる迫力と鋭い切れ味で1楽章を決めると、勢いのある流速で絡み合い、鳴らし切って、終楽章を締めくくりました。
大きな拍手が贈られ、それに応えてシューマンの小品が穏やかにアンコールされて、終演となりました。
他の楽器のための曲に挑戦する前半。現代ものを親しく伝えてくれる後半。充実の曲目を素晴らしい技巧と心に迫る熱情で聞かせてくれる今回のコンサートは、新潟という地方都市へ文化を伝承してくれるとても良い機会となったという思いを味わわせてくれる素敵なひとときとなりました。

ロシア国立交響楽団

2015年7月17日(金) 18:30 りゅーとぴあコンサートホール ロシア国立交響楽団

交響曲第4番 ヘ短調 作品36/チャイコフスキー
 第1楽章 アンダンテ・ソステヌート
 第2楽章 アンダンティーノ
 第3楽章 スケルツォ
 第4楽章 アレグロ・コン・フォーコ
交響曲第5番 ホ短調 作品64/ 〃
 第1楽章 アンダンテ
 第2楽章 アンダンテ・カンタービレ
 第3楽章 ワルツ
 第4楽章 アンダンテ・マエストーソ
交響曲第6番 ロ短調 作品74「悲愴」/ 〃
 第1楽章 アダージョ
 第2楽章 アレグロ・コン・グラツィア
 第3楽章 アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ
 第4楽章 アダージョ・ラメントーソ

ロシア国立交響楽団(管弦楽)
ヴァレリー・ポリャンスキー(指揮)

開演40分前に到着。開場後長く続く列に並んで入場。
感想は、「キャラクターの違う3つのメイン・ディッシュを狂喜乱舞して味わう」です。
まずは第4番。金管の陰のあるファンファーレから、亜寒帯の大地を彷彿とさせる愁いを含んだ音楽が、排気量の大きな大型車を、その重さごと加速するように、フルパワーで奏でられ、長さを感じさせない1楽章。強さで支えることが優しさの条件であることを証明する2楽章。ピッチカートがこんなにも力強いのかを見せつける3楽章。巨体を軽々と動かして踊る羆(ひぐま)のように舞う4楽章。そのすべてが"この人々がいるからこそこの曲ができたんだ"とわからせ、今まで薄霞のようにかかっていた謎を解き明かす素晴らしい演奏で我々に届けられました。
1回目の休憩後、第5番へ。冒頭の分厚いクラリネットのソロからファゴットの旋律が歌い出し、次々と展開されて、グイグイ押し進むアンダンテ。穏やかな序奏から美しくホルンが歌い出し、優雅でゆったりと進み、溜めを充分に効かせて、決め所を快く決めるアンダンテ・カンタービレ。さらりとした円舞曲で軽やかに聞かせるワルツ。そして循環主題で堂々と始まり、気持ちよくフィナーレを飾るアンダンテ・マエストーソ。全ての楽章で"ここはこうあって欲しい"を満たして、聴く側のカタルシスをしっかりと満たしてくれる運びで、最高の結果を残してくれました。
2回目の休憩後は「悲愴」。低弦の導きにファゴットが悲しげな旋律を奏でると、ヴィオラが急ぎ足で曲を進め、いくつもの楽器が絡まり合って、ロシアの民俗や伝承を芸術まで高め上げて、静かに収束するアダージョ。5拍子の舞踏がまろやかに歌われるアレグロ・コン・グラツィア。破滅への行進を一直線に奏で、消える直前の一瞬の輝きを放つアレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ。そして哀しみというにはあまりにも深い、悲痛な叫びをあげるアダージョ・ラメントーソ。全体に洗練され、想いが技巧的な創造物へ昇華される様をまざまざと示した演奏に心が締め付けられました。
3つの交響曲でその特徴を見事に描き切り、「これが俺たちのチャイコフスキーだ!」と言わんばかりの表現で届けてくれたオケと指揮者に満場の観客からは、大きな拍手と多数のブラヴォーが贈られ、大きな満足がホールを満たしたことを表していました。
このような満足度の高いプログラムを提供してくれた演奏者全員と、関係者の方々に大いなる謝辞を感じて、会場を後にしました。

そらのコンサート 真夏のクラシック第1夜 トリオ・アンシュミネ

2015年7月15日(水) 19:00 新潟日報メディアシップ20階そらの広場 そらのコンサート 真夏のクラシック第1夜 トリオ・アンシュミネ

3声のインヴェンションより/J.S.バッハ
 第3番 BWV789
 第11番 BWV797
 第12番 BWV798
トリオのための5つの小品/イベール
 Ⅰ.Allegro vivo
 Ⅱ.Andantino
 Ⅲ.Allegro assai
 Ⅳ.Andante
 Ⅴ.Allegro guasi marziale
風笛/大島ミチル
見上げてごらん夜の星を/いずみたく
星に願いを/ハーライン
田園のコンセール/トマジ
 Ⅰ.Overture
 Ⅱ.Minuetto
 Ⅲ.Bourree
 Ⅳ.Nocturne
 Ⅴ.Tambourin

トリオ・アンシュミネ
渡辺茜(Ob)
林佳保里(Cl)
金子恭子(Fg)

日没前の萬代橋を渡り、メディアシップへ。開演50分まえに到着。
感想は、「トリオ・ダンシュ(木管三重奏)の醍醐味を満喫」です。
まずはバッハ。ナチュラルに溶け合う3声がまろやかに絡み合う「第3番」。穏やかでまったりした音色(ねいろ)で聞かせる「第11番」。闊達として弾むような「第12番」。まるでソナタの3つの楽章をきているような構成で楽しませてくれました。
続いてイベール。この編成のために書かれた曲だけに、3つの楽器の特性がフルに発揮され、いきいきと奏でるアレグロ・ヴィーヴォ。慎重にお互いを確かめ合いながらも大胆に切り込むアンダンティーノ。愉快に弾けながらもしっかりとまとまるアレグロ・アッサイ。分厚くも色彩豊かに推し進められるアンダンテ。祝祭の如き華やかさで盛り上げるアレグロ・クワジ・マルツィアーレ。ダンシュの魅力を全開にする演奏で心を満たしてくれました。
ここでそれぞれの楽器の特徴を明確にするためそれぞれがソロを取る曲が3つ。オーボエは「風笛」。優しいメロディが心のささくれを癒してくれるように吹かれました。ファゴットの紹介では「見上げてごらん夜の星を」。朴訥とした、しかし滑らかな歌声が響き渡り、穏やかな気持ちを誘いました。最後はクラリネット。「星に願いを」で艶やかなプラチナの輝きを聞かせてくれました。
そしてプログラム最後はトマジ。ウキウキするような軽快さで飛ばすオーヴァーチュア。朗々と鳴り渡る三重奏の質感が美味しいメヌエット。優雅に舞い踊るブーレ。深い息吹が心に沁みるノクチュルヌス。勢いよく駆け出すタンブーラン。三本ながら芳醇で切れのある演奏で、木管楽器の濃厚で美しい響きと三位一体のアンサンブルの素晴らしさを見せつけてくれました。
なかなか聞けない木管三重奏の真価をまざまざと示してくれるこのトリオの今後の展開に期待しつつ、メディアシップを後にしました。

第278回ミニコンサート ~木管トリオで楽しむ朝ドラテーマソング~

2015年7月15日(水) 12:20 新潟市市役所1階市民ロビー 第278回ミニコンサート ~木管トリオで楽しむ朝ドラテーマソング~

風笛/大島ミチル
雨のち晴レルヤ/北川悠仁 佐藤和哉
おはなはん/小川寛興
故郷の空/スコットランド民謡
埴生の宿/ビショップ
麦の唄/中島みゆき
ありがとう/水野良樹

トリオ・アンシュミネ
渡辺茜(Ob)
林佳保里(Cl)
金子恭子(Fg)

開演30分前に到着。持って行った携帯端末で曲名を入力しながらしばし待ちました。
感想は、「古今の朝ドラのテーマ曲を奏でる豊かな木管の響きに安らぐ」です。
まずは「風笛」。暖かくも簡素な伴奏にのってオーボエのくっきりとした音色(ねいろ)が優しく歌い、好調なスタートを切りました。続く「雨のち晴レルヤ」ではファゴット~クラリネット~オーボエとメロディを引き継ぎ、素朴で明るい演奏で楽しませてくれました。ここでファゴットが抜けて「おはなはん」。ゆったりと懐かしい調べで心癒されました。そして今年の前半のヒット作"マッサン"がらみで3曲。「故郷の空」がファゴット一本によりのんびりと郷愁をかきたてるように奏でられ、トリオに戻って「埴生の宿」。のどかでほんわかとした雰囲気にしてくれました。そして「麦の唄」。バグパイプを模したイントロから主旋律が導かれ、各楽器の特色のある歌声が生かされ、さらのそれを引き立てるバッキングが絡み合い、見事なアンサンブルを見せてくれました。プログラム最後は「ありがとう」。いきものがかりのヴォーカルを思わせる伸びやかな音楽が大らかに美しく歌い上げられ、会場からは大拍手が。それに応えてのアンコールは「あまちゃん」。リズミカルで賑やかなマーチが楽しげに繰り広げられ、ににぎにぎしく終演となると思いきや、さらに特別に今夜行われるメディアシップでの「真夏のクラシック」の宣伝も兼ねてトマジの「田園のコンセールから5楽章」が優雅に届けられて、大サービスの内容でコンサートが閉じられました。
多くの人の耳に残っている朝ドラのテーマ曲をまとめて聞く機会は多くありませんが、このように厳選された選曲と素晴らしい演奏で聞けることは、大変ありがたいことだと思います。

小山裕幾フルートリサイタル

2015年7月11日(土) 19:00 長岡リリックホールコンサートホール 小山裕幾フルートリサイタル

フルートソナタ 第1番 イ長調/ゴーベール
フルートソナタ/シュルホフ
フルート三重奏曲 op.63/ウェーバー
ヴァイオリンソナタ 第4番 イ長調 D.545(フルート編曲版)/シューベルト
ピアノ三重奏曲 ト長調(フルート、チェロ、ピアノ編)
カルメン・ファンタジー/ボルヌ

小山裕幾(Fl)
斎藤龍(Pf)
富岡廉太郎(Vc)

一旦帰宅し、休憩とブログ書きをしてから、長岡へと高速を飛ばし、開演15分前に到着。
感想は、「フルートの多彩な音色(ねいろ)とたぐいまれなる技巧を味わう」です。
まずはゴーベール。静謐で落ち着いた音楽が春霞のような息吹によってもたらされ、時に速く、時にゆっくりと聴衆に届けられました。続くシュルホフでは、モノトーンの揺れが細かくも素早く、さらに長く伸びやかに奏でられました。チェロが加わってのウエーバーは、ロマンティックに響かせ、ゆるやかに大きくから、おどけて弾み、じっくりと歌い、足踏みしながら前進して、賑やかに祝祭を飾りました。
休憩を挟んで、後半はシューベルトから。歌曲王の調べが豊かな感性で繰り広げられる1楽章。跳ねるような舞踏で聞かせる2楽章。息の長いフレーズに細かい装飾を施す3楽章。勢いよく波打つ4楽章。作曲家のもつ歌謡性が充分に発揮され、いきいきと流れる楽想が快く耳に届きました。
再度チェロが登場してのドビュッシー。明るく可愛い旋律から始まり、躍るように揺れたかと思うと、ゆったりと歌い、締めくくりは駆け出していく連鎖で、天才の三重奏を演奏してくれました。
プログラム最後は親しみのあるメロディー続出のボルヌ。「カルメン」からの有名な旋律がコラージュされ、多様に変奏されて、超絶技巧も含めて楽しませてくれました。終わると盛大な拍手が贈られ、3人でのアンコール。カスプーチンのトリオから1楽章をジャズ・テイストが入ってリズミックに、かっこよく決めてくれました。それでも鳴りやまない拍手に、最後の最後は無伴奏で、テレマンの「ファンタジー第7番」。飾らない、しかも典雅な吹奏でしっかりと締めてくれました。
フィンランド放送交響楽団の主席フルーティスト就任という名誉とともに長岡へ凱旋したこのリサイタルは、大成功するとともに地元の音楽文化向上に大きな役割をはたすものとして、歴史に刻まれることとなる確信を胸に帰路につきました。

うたひろばコンサートシリーズ vol.1 日本歌曲&シャンソン ~それぞれの愛に寄せる珠玉の名曲たち~

2015年7月11日(土) 14:00 りゅーとぴあスタジオA うたひろばコンサートシリーズ vol.1 日本歌曲&シャンソン ~それぞれの愛に寄せる珠玉の名曲たち~

夏の思い出/江間章子 詞 中田喜直 曲
浜辺の歌/林古渓 詞 成田為三 曲
お菓子と娘/西条八十 詞 橋本国彦 曲
初恋/石川琢木 詞 越谷達之助 曲
サッちゃんの家/畑中良輔 詞 大中恩 曲
日記帳/藤田圭雄 詞 小林秀雄 曲
エディット・ピアフへのオマージュ/プーランク
バラ色の人生/ピアフ 詞 グリェーミ 曲
ラストダンスは私と/ポーマス&シューマン 詞曲
シチリアーノ/フォーレ
サン・トワ・マミー/アダモ 詞曲
ろくでなし/ 〃
愛の賛歌/ピアフ 詞 モノー 曲

西谷純代(S)
田辺千枝子(S)
片桐寿代(Pf)
金子由香利(Fl)

13kmランニング後、昼食を頂いてからりゅーとぴあへ。開演25分間に到着。
感想は、「明るい歌声が作り出す楽しげな時間を微笑みながら味わう」です。
まずは日本歌曲。西谷さん、田辺さんのデュエットで2曲。「夏の想い出」が全てを癒すように美しいハーモニーで歌い、「浜辺の歌」では透きとおるような響きで会場を満たしました。
続いて田辺さんのソロで「お菓子と娘」。華やかで弾むように巴里の情景を楽しませてくれました。西谷さんにバトンタッチして「初恋」。明治の歌人の詞に抒情的な生命を吹き込んで、たっぷりと聞かせてくれました。さらに「サッちゃんの家」では作家自らのパロディをコミカルで表情豊かに演じ切って聴衆から笑いを勝ち取りました。前半最後は田辺さんで「日記帳」。愛する人への想いを徐々に膨らませ、豊かに歌い上げて、締めくくるかと思いきや、西谷さんが登場して、モーツァルトの「トルコ行進曲」を某姉妹よろしくスキャットで歌い交わして、大きな拍手で前半を終わらせました。
休憩を挟んで、後半は仏蘭西の薫りを。片桐さんの独奏でプーランク。甘すぎない大人の微糖でピアノを奏でて、有名な歌手への賛辞を届けてくれました。次は西谷さんがピアフの「バラ色の人生」を越路吹雪ヴァージョンで伸びやかに決めてくれると、続いて会場後ろから歌声が聞こえて、田辺さんの「ラストダンスは私と」。亜米利加経由仏蘭西の調べをコケティッシュに観客を巻き込んで、歌いまわってくれました。
ここで今日のゲスト・フルートの金子さんが登場し、フォーレの馴染み深いメロディを落ち着いた輝きで届けてくれました。
悲しい恋の歌「サン・トワ・マミー」が笛と鍵盤の伴奏で切なくも力強く歌われると、「ろくでなし」では歌詞一部のパネルが持ち出され、Aメロの後、サビを全員で唱和し、手拍子する観客参加のお楽しみが用意され、会場が一体となって盛り上がりました。さらに「愛の賛歌」は、西谷さんの独唱が歌われた後、プログラムに挟まれた歌詞カードを見て、合唱する趣向で、満場の観客が大きな声で歌い、音楽する喜びを皆で分かち合いました。そのまま大きな拍手が盛大に贈られ、それに応えてのアンコールは「夜明けの歌」。しっとり歌われ、ピアノの伴奏をバックに、締めの挨拶が行われて、この楽しいコンサートの幕切れとなりました。
軽妙なトーク 考えられた構成 暖かなムード 浴衣とドレスの衣装、そして"お客様も一緒に楽しみましょう"という願いが一体となって、この素晴らしい催しが実行され、大成功に終わったことは、新潟の音楽界に新しい風を起こすものとして、特記されるべきことではないかと思いつつ帰路につきました。

フランス・ロシア音楽の夕べ ~フルートとともに~

2015年7月9日(木) 19:00 りゅーとぴあスタジオA フランス・ロシア音楽の夕べ ~フルートとともに~

トッカータBWV911 Cmoll/J.S.バッハ 
ナゼルの夜会より/プーランク 
 前奏曲
 変奏曲
  Ⅰ.分別の極み
  Ⅱ.手の上の心臓
  Ⅲ.磊落(らいらく)と慎重
ファンタジー op.79/フォーレ
水の戯れ/ラヴェル
ドゥムカ/チャイコフスキー 
フルートソナタ 第2番 Ddur/プロコフィエフ
 第一楽章 Moderato
 第二楽章 Presto
 第三楽章 Andante
 第四楽章 Allegro con brio

室井まりか(Pf)
金子由香利(FL)

仕事を終えて、りゅーとぴあへ。
感想は、「曲ごとに変わる表情を見事に演じ切る至芸に感嘆する」です。
まずはバッハ。冒頭の一撃から、珠玉の粒子が流転するように色を変えて、さざ波のように押し寄せる音符たちが、魂を潤しました。
続くプーランクでは、広がる音域を自在に行き来し、乾いた叙情と流れる明るさとが入り混じって、近代の響きを鮮やかに描き出しました。
フルートが登場してのフォーレ。上空を吹き抜ける笛の音とそれをしっかりと地平につなげる鍵盤が相まって、ゆっくりと歌う序盤から軽やかに舞い上がり、高速で駆け抜ける連鎖を見事に映し出しました。
そしてピアノソロに戻ってのラヴェル。ゆったりと、また激しく、流体の運動が目に見えるような弦を打つ音色(ねいろ)がとうとうと押し寄せて、夢見心地にさせてくれました。
休憩を挟んでのチャイコフスキー。土臭くも懐かしい調べから、華麗に育つ音楽が煌めき、短いながらも中身の濃い音楽を届けてくれました。
プログラム最後は再度フルートが登場してのプロコフィエフ。不可思議にも美しい旋律がたゆたう背後に明晰な伴奏が相対するモデラート。小走りに走り出す息吹と争うように打ち鳴らされる打鍵が時に響き合い、時に絡み合って、生命の輝きを歌うプレスト。穏やかに重なり合い、落ち着いた心持を届けるアンダンテ。揺れながらも前に進もうとするアレグロ。そのどれもで2つの楽器が対等に対峙し、お互いを刺激して、寄り添い、また凌ぎ合って、崇高な高みを目指すように研ぎ澄まされ、素晴らしい音楽の果実を我々に届けてくれました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてラフマニノフの「ヴォカリーズ」がアンコールされ、にぎにぎしく終演となりました。
ピアニストのリサイタルという位置付けを超えて、表現すべき音楽をイメージして、一つのコンサートとしてプロデュースする意図が明確に示されたこの公演は、一つの新しい流れを提案するとても良い企画として、賞賛されるべきものとなるのを予感して、会場を後にしました。