舘野ファミリー&フレンズ スペシャルコンサート2016

2016年1月31日(日) 14:00 新潟市江南区文化会館音楽演劇ホール 舘野ファミリー&フレンズ スペシャルコンサート2016

協奏曲集「四季」(協奏曲集「和声法と創意への試み」Op.8より)/ヴィヴァルディ
 ヤンネ館野(Vn)
ピアノと弦楽のための幻想曲/宮下秀樹
 関田桂子(Pf)
アンティポダス~ファンタジア・コンセルタンティ/エスカンディ
 館野泉(Pf)

館野英司(指揮)
館野フレンズオーケストラ
伊野晴香、枝並友希、小島健弘、佐々木友子、奈良秀樹、松村牧子、大和香名子(Vn)
吉鶴洋一、井口歩、和田意織(Va)
永富さおり、安部信之助、大石航(Vc)
別森麗、星野勝彦(Cb)
笠原恒則(Cemb)
渡辺公章(バンドネオン)

所用を済ませ、昼食を取ってから、バイパスを一路、江南区文化会館へ。開演45分前に到着。
感想は、「不思議な縁(えにし)に繋がれた館野ファミリーと地元音楽家のコラボレーションが織りなす感動の音楽を受け止める」です。
まずは「四季」。有名な旋律が一つの塊りとなって流れ出し、その中から鋭利な刃物のごとく立ち現れる独奏ヴァイオリン。涼し気な音色(ねいろ)で「春」の表情を描き出しました。「夏」になると不安げな面持(おももち)から、一気に飛び出して切迫した感情を表現すると、落ち着いた厚みで通り過ぎる「秋」をやんわりと歩み去り、切なさで突っ走る「冬」を畳みかけ、激情を叩きつけました。
休憩を挟んで後半は、新作委嘱された「ピアノと弦楽のための幻想曲」。極光(きょっこう)たなびく中、氷の響きで打ち鳴らされる鍵盤。やがて追い立てるように刻む弦に応えるように反応し、水面(みなも)を行き来しました。そして柔らかに奏でらえる音の雲間に包まれるようにゆったりと収束されました。
プログラム最後は「アンティポダス」。穏やかな奏でから、乾いた喧噪が連打され、多彩に変化して行き過ぎると、辛(つら)い定めを嘆く歌声や、静かな安らぎも聞こえて、鮮やかに鞘に収まりました。続けて狂熱の舞踏が回想され、豊かな打鍵があたりを巻き込んで、熱狂に終止符を打ちました。さらに静寂を湛える弦楽の奏でに、溜めを伴う踊りが切なげに響き、内に秘めた興奮がやがて迸(ほとばし)り、蛇腹の共鳴も相まって、昂(たか)ぶりへと登りつめました。
会場からは大きな拍手が贈られ、アンコールが2曲。ピアソラの「オブリビオン」がバンドネオンと弦楽で、吉松隆編の「カッチーニのアヴェ・マリア」が左手ピアノで奏でられ、感動のエンディングとなりました。
新潟の演奏家と館野ファミリーが一つになってこのような素晴らしい演奏会を開いてくれるのは、まさに"天からの授かり物"であり、今後も続いていくことを期待して、会場を後にしました。
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Noism1×Noism2 劇的舞踊『カルメン』 再演

2016年1月29日(金) 19:00 りゅーとぴあ劇場 Noism1×Noism2 劇的舞踊『カルメン』 再演

振付演出:金森穣
CAST  
カルメン|野性の女:井関佐和子
ホセ|理性の男:中川賢
ミカエラ|許婚の女:石原悠子
スニガ|権威の男:佐藤琢哉
リュカス|我欲の男:吉崎裕哉
ロンガ|同郷の男:チェン・リンイ
ドロッテ|謎の老婆:池ヶ谷奏
メルセデス|異父の姉:梶田留以
フラスキータ|異父の妹:田中須和子
マヌエリータ|仇敵の女:飯田利奈
ガ00ルシア|極道の男:山田勇気
兵隊の男たち|:リン・シーピン、上田尚弘
ジプシーの男たち:高木眞慈、山下菜奈
街娘たち/ジプシーの女たち:浅海侑加、鳥羽絢美、西岡ひなの、深井響子、西沢真耶
メリメ|博識の老人:奥野晃士

仕事を終え、雪降る道をりゅーとぴあへ。開演40分前に到着。
感想は、「体が語る物語に心打ちふるえる」です。
入場すると舞台上手のせり出した舞台上で"博識の老人"が南欧の民謡らしき音楽をバックになにやら書き物をしたり、立ち上がって思案したりと、開幕前から既にストーリーが始まっている様子。定刻になるとそこへ肌色の服を着た"謎の老婆"が登場し、派手な序曲が鳴り響いて、劇的舞踊が始まりました。それからは役者が語る言葉から、雄弁に物語る肉体の連鎖が、西班牙の日差しのもと、饒舌に踊って、お話しを先へ進めました。精悍な動き、コミカルさを誘う所作、鮮やかな彩り、奔放な感情表現と、すべてが色めき立って、舞台を行きかいました。影絵の映写幕が"理性の男"の投獄を知らせたところで、第一幕が終了。
休憩後は、またもや舞台袖の"博識の老人"を客席に配置された"街娘たち"が取り囲むところからスタートし、ソロ、デュエット、群舞が繰り広げられて、筋書が進んで行きました。追うもの、追われるもの、闘牛士、盗賊たちなどが、入り乱れ、飛び跳ね、暗躍して、クライマックスへ駆け上りました。そしてその頂点で悲劇が訪れ、物語は終幕へ。謎の多いエンディングを迎えて、幕を閉じました。
しばらくの静寂の後、カーテンコールの幕が上がり、会場からは大きな拍手とブラボーが贈られ、何回かの挨拶の後、にぎにぎしく終演となりました。
力の入った"再演"ですが、前回に劣らず、音楽を可視化し、演劇を体で体現する素晴らしさを見せつけてくれて、『新潟にNoismがあってよかった』という思いを強くするものであり、今後の活躍を祈念して、会場を後にしました。

そらのコンサート 2016 真冬のクラシック「越友楽道」

2016年1月27日(水) 19:00 新潟日報メディアシップ20Fそらの広場 そらのコンサート 2016 真冬のクラシック「越友楽道」

チェロと通奏低音のためのソナタ 変ロ長調 Op,1-7/ヤッキーニ
チェロ・オブリガート付きチェンバロ・ソナタ イ長調/マルティーニ
アシタカとサン/久石譲
おくりびと/久石譲
「音楽のたのしみ」第76曲 シャコンヌ ト長調/シェンク
アメイジング・グレース/作者不詳
ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ 第2番 二長調 BWV1028/J.S.バッハ

根津要(Vc)
笠原恒則(Cemb)

早めの夕食を取り、メディアシップへ。開演20分前に到着。
感想は、「渋い光沢を放つ宝飾品の輝きを堪能する」です。
まずはヤッキーニの「チェロと通奏低音のためのソナタ」。まろやかで生きいきとしたチェロの味わいが満ち溢れて、冒頭から喜びを与えてくれました。続いてマルティーニの「チェロ・オブリガート付きチェンバロ・ソナタ」。時計仕掛けの鍵盤が鮮やかに解き放たれるのを待ったかのように、絡み合う低弦のうねり。自在に競い合って、彼方へと収束しました。
ここで日本映画のサウンドトラックから。「アシタカとサン」では懐かしい調べが、大自然の薫りをそこはかとなく伝え、「おくりびと」では、流れるような弓から繰り出されるゆったりと感情の起伏が描き出され、沁み渡りました。
バロックに戻り、本日が新潟初演であるシェンクの「シャコンヌ」。ゆっくりと始まり、次第に熱を帯びて舞い踊り、アツく切っ先を交わして、つつがなく矛先を収めました。
次は一転しての「アメージング・グレース」。聞き覚えのある旋律が歌い始められ、ジャジーに変異し、翳りを帯びて、歌が帰ってきて、きれいに閉じられました。
そして本日のメイン、バッハの「ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ」の時間となりました。極上の口当たりで供せられる緩と急、一転影を宿して歩むと、最後は灯りをともし、快活に弾んで、きりりと締めてくれました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは「G線上のアリア」。チェロでのメロディに、途中チェンバロでの捻(ひね)りが入り、お馴染みの旋律が戻って、爽やかに終演となりました。
恒例をなった"真冬のクラシック"第一夜を飾るこの公演は、期待に違わぬ素晴らしい成果を挙げ、続く第二~四夜への楽しみを増幅させる見事な仕上がりとなったことを確かめて、メディアシップを後にしました。

第177回西川まちなかサロンコンサート

2016年1月27日(水) 13:00 西川まちなかさろん 第177回西川まちなかサロンコンサート

オカリナ独奏
 冬の夜/文部省唱歌
オカリナ+ギター
 雪が降る/アダモ
 イエスタデイ/レノン=マッカートニー
 ロンドンデリーの歌/アイルランド民謡
ハーモニカ+ギター
 冬の星座/ヘイス
 冬景色/文部省唱歌
 北国の春/遠藤実
オカリナ独奏
 つぐない/三木 たかし
オカリナ二重奏
 夜明けのスキャット/いずみたく
 故郷の人々/フォスター 
 アルプス一万尺/アメリカ民謡
 故郷を離るる歌/ドイツ民謡
 菩提樹/シューベルト
 ペチカ/山田耕筰
ハーモニカ独奏
 浜辺の歌/成田為三
 一円玉の旅がらす/弦哲也
 上を向いて歩こう/中村八大
オカリナ独奏
 タッチ/芹澤廣明

所用を済ませ、昼食を取ってから、バイパスを西川へ。開演15分前に到着。
感想は、「まちなかに音楽が溢れる喜びを満喫する」です。
まずはオカリナ独奏で「冬の夜」。深く暖かい響きでほっこりとしました。続いてギター伴奏がついて3曲。「雪が降る」が包み込むように奏されると、「イエスタデイ」が翳りを帯びて端正に吹かれ、「ロンドンデリーの歌」が郷愁をそそるように切なげに歌われました。
続いてはハーモニカとギターの組み合わせ。六弦の導きに招かれて始まった「冬の星座」は冷ややかな手触りでしんみりと奏でられ、朝霧の立つがごとき爽やかさを伝える「冬景色」に引き込まれました。「北国の春」ではサロンが一瞬"歌声喫茶"になる盛り上がりで賑わいました。
ここで1曲オカリナでの「つぐない」。哀愁と胸を締め付ける想いを伝えて、昭和の香りを届けました。
二重奏となって、始めは「夜明けのスキャット」。透き通る旋律がほんわかと広がり、絡み合って、流れていきました。次の「故郷の人々」が、開かれた草原を渡る風のように吹き過ぎると、「アルプス一万尺」が陽気に行進して、「故郷を離るる歌」が大らかに歌われました。さらに「菩提樹」では落ち着いた風情で独奏され、伴奏が寄り添って、美しい調べを聞かせました。そして「ペチカ」で遥かなる憧れを込めて、穏やかに締めてくれました。
ここでこのサロンコンサートの特有の"飛び入り参加"で3曲。ハーモニカ独奏で「波辺の歌」「一円玉の旅がらす」「上を向いて歩こう」が熱意をもって吹かれました。
最後は主催者のオカリナ独奏で「タッチ」。アップテンポで飛ばしながらも、美メロを押さえて、楽しませてくれました。
月3回、7の付く日に開催されているこの催しは、"街角から音楽を"という願いのもとに、肩ひじ張らず、ナチュラルに演奏を共有する喜びを分かち合い、広がりを繋いでゆく貴重なものであり、さらに参加者が増えることを祈念して、会場を後にしました。

第17回ショパン国際ピアノ・コンクール 2015 入賞者ガラ・コンサート

2016年1月26日(火) 18:30 りゅーとぴあコンサートホール 第17回ショパン国際ピアノ・コンクール 2015 入賞者ガラ・コンサート

アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22(オーケストラ付)
  エリック・ルー(Pf)
ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11 より 
 第1楽章 アレグロ・マエストーソ
  イーケ・(トニー・)ヤン(Pf)
ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11 より 
 第2楽章 ロマンツェ・ラルゲット
 第3楽章 ロンド・ヴィヴァーチェ
  ドミトリー・シシキン(Pf)
  ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団
  ヤツェック・カスプシック(指揮)

ワルツ 第4番 ヘ長調 Op.34-3 「華麗なる円舞曲」
3つのマズルカ Op.56 第1番 ロ長調・第2番 ハ長調・第3番 ハ短調
  ケイト・リウ(Pf)
ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 Op.58
 第1楽章 アレグロ・マエストーソ
 第2楽章 スケルツォ モルト・ヴィヴァーチェ
 第3楽章 ラルゴ
 第4楽章 フィナーレ-プレスト・マ・ノン・タント
  シャルル・リシャール=アムラン(Pf)
夜想曲 第13番 ハ短調 Op.48-1
幻想曲 ヘ短調 Op.49
ポロネーズ 第6番 変イ長調 Op.53「英雄」
  チョ・ソンジン(Pf)

仕事を終え、雪道をりゅーとぴあへ。開演20分前に到着。
感想は、「ショパン・コンクール上位入賞者による多彩なキャラクターのピアノを楽しむ」です。
まずは第4位のエリック・ルーの管弦楽伴奏付での「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」から。水面(みなも)に光る煌めきのように奏でられる独奏の後、響きの雲がオーケストラから立ち登り、翳りを帯びながらも楽し気に歌いました。
続いて第5位のイーケ・(トニー・)ヤンによる協奏曲の1楽章。怜悧(れいり)な切っ先がきらりと輝いて、冴えを見せると、しなやかな鋼(はがね)のごとき弦が空を切って応え、甘く魅力的な旋律を十分に聴衆へ届けました。
前半最後は第6位のドミトリー・シシキン。続けてコンチェルトの第2、3楽章。硝子の感触で綴るラルゲット。分厚い音の壁を繰り出す管弦楽と垂直に対峙する鍵盤が競い合い、しのぎ合って、熱狂へ向かうヴィヴァーチェ。その興奮が客席へ伝わり、感動を呼び起こしました。
休憩を挟んで後半は第3位のケイト・リウ。「華麗なる円舞曲」を湧き出でる泉のように生きいきと仕上げると、「3つのマズルカ」を、純朴に、開かれた音色(ねいろ)で弾き、繊細でダイナミックに奏しました。次は第2位のシャルル・リシャール=アムラン。体格の良い両腕からもたらされるのは、豊かな響きの「ソナタ 第3番」。柔らかく、優しくも力強く、音楽を包み込む1楽章。軽やかで細やかな2楽章。穏やかに翳りを帯びる3楽章。一転鮮やかに勢いを持って制される4楽章。特有の色合いを持って、ショパンを描き出しました。
最後は第1位のチョ・ソンジン。「夜想曲」をさらりと演奏すると、「幻想曲」では時に流麗に、時に激しく、場面ごとにその表情を変え、美しく光らせると思うと、広々と楽器全体を鳴らせて、千変万化の彩りを聞かせてくれました。そして〆は「英雄ポロネーズ」。高らかに、快活に、流れるように、喜びを解き放ちました。会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こり、それに応えてのアンコールは「ノクターン 嬰ハ短調 遺作」。すすり泣くような切なさを、そこはかとなく伝えて、ガラ・コンサートを締めくくってくれました。
新潟では今回が初めての受賞者コンサートですが、世界の今を居ながらにして聞けることは大変意義あることだと思いますし、今後の楽しみがまた一つ増えることになることを希望して、会場を後にしました。

小出瑠美子&斉藤晴海 ニューイヤーコンサート サル年の歌い初め

2016年1月24日(日) 14:00 りゅーとぴあスタジオA 小出瑠美子&斉藤晴海 ニューイヤーコンサート サル年の歌い初め

第一部
 3つの歌曲/サティ
  Ⅰ.ブロンズがえる
  Ⅱ.ダフェネオ
  Ⅲ.帽子屋
 市の花屋/高田三郎
 パリの冬『パリ旅情』より/ 〃
 ひとつのレモン/大中恩
 へえそうかい/ 〃
 私は夢に生きたいの オペラ『ロミオとジュリエット』より/グノー
第二部 
 ユーカリ/ヴァイル
 あんたを愛してないわ/ 〃
 バルバラソング『三文オペラ』より/ 〃
 かやの木山の/山田耕筰
 お猿のかごや変奏曲/設楽健
 バラ色の人生/ルイギ

小山瑠美子(S)
斎藤晴海(Pf)

一晩で冬景色になった道を積もった雪を踏みしめてりゅーとぴあへ。開演20分前に到着。
感想は、「表情豊かな歌と、その舞台を十全に提供するピアノに聞きほれる」です。
まずはサティが3曲。「ブロンズがえる」が明るくコミカルに披露され、「ダフェネオ」は無邪気で軽やかに届けられると、「帽子屋」をちょっとシニカルに描き出しました。つぎは高田三郎のセクション。「市の花屋」は曲の持つ湿り気をからりと表現し、「パリの冬」では、灰色の憂鬱を鮮やかに切り取って伝えてくれました。続いて大中恩のコーナーでは、「ひとつのレモン」が大切に歌われ、「へえ そうかい」の歪曲された戯れを見事に映し出しました。第一部最後はグノーの「私は夢に生きたいの」。伸びやかでフレッシュな歌声が会場に響き渡り、華やかな彩りを添えました。
休憩を挟んで第二部の最初はヴァイルの作品たちで構成。「ユーカリ」が蠱惑的な舞踏を描写し、「あんたを愛してないわ」では投影される訳詞に寄り添った切ない女心をあぶり出すと、「バルバラソング」を変幻自在の間(ま)で、演じ切りました。ここからは申年にちなんだ日本の歌。「かやの木山の」がお醤油味でしっとりと唄われると、この演奏会のために委嘱された世界初演の「お猿のかごや変奏曲」を、モダンな響きと、ノリノリなスイングが絡み合い、童謡の断片が時折浮かび上がるエキサイティングな展開で繰り広げて、ワクワクさせてくれました。プログラム最後は「バラ色の人生」。蕩(とろ)けような甘さと、すっと胸に忍び込むやさしさで心和ませてくれました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは「ペチカ」。ほのぼのとした雰囲気で終演を迎えました。
体全体で"歌"を表現するソプラノ、ダイナミックかつ繊細にサポートするピアノ、様々な色調で多彩に味付けされたプログラム、訳詞を映して曲への親しみを増す演出、どれをとっても聴衆への愛に満ちたこのコンサートがますます発展することを祈念して、会場を後にしました。

第284回ミニコンサート 箏・尺八「薫風之音」新春コンサート

2016年1月20日(水) 12:20 新潟市役所1階市民ロビー 第284回ミニコンサート 箏・尺八「薫風之音」新春コンサート

さくらゆらり/日本古謡 鯨岡徹編
砂山~汐鳴りのしらべ~/中山晋平 藤崎浩子編
ひこうき雲 /荒井由実
見上げてごらん夜の星を/いずみたく
春の海/宮城道雄

薫風之音
 藤崎浩子(箏)
 鯨岡徹(尺八)

朝から降った雪道を歩いて会場へ。開演25分前に到着。
感想は、「遥かなる春への憧れを響かせる和楽器の音色に酔う」です。
まずは「さくらゆらり」。ステージ上では箏が1人で艶(あで)やかに紡ぎ出すと、客席横から、尺八が大らかに吹きながら舞台へ上がり、伝統的な演奏に現代的な味付けを施して届けてくれました。続いて新潟にちなんだ「砂山~汐鳴りのしらべ~」。波の音や雀の鳴き声、さらに風の音などを小道具を配布して、観客にも参加してもらい、郷愁を誘う笛の音と海原のごとき糸のつま弾きが、懐かしい風景を彷彿(ほうふつ)とさせて、全員を懐かしさあふれる砂丘へと導きました。ここからはポップスが2曲。「ひこうき雲」がしみじみと枯れた味わいで届けられると、「見上げてごらん夜の星を」は遠い彼方への想いを載せて、ゆったりと歌われました。プログラム最後は、正月といえばこれ!の「春の海」。絢爛たる箏が張りのある声音(こわね)で弾き出すと、尺八がコクのある口調で応(こた)え、ひねもす情景を描き出しました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは「花が咲く」。穏やかな安らぎをもたらして、良い雰囲気の中、終演となりました。
邦楽をより親しいものへと近づけてくれる薫風之音の活躍は、新潟の音楽シーンをより活性化し、広がりのあるものとしてくれることを確認して、寒さのなか会場を後にしました。

スタジオかのんコンサートシリーズ 2 新春コンサート ~抹茶と着物でおもてなし~

2016年1月17日(日) 14:00 スタジオかのん スタジオかのんコンサートシリーズ 2 新春コンサート ~抹茶と着物でおもてなし~

* 冬の歌 *
 たき火/巽聖歌 詞、渡辺 茂 曲
 ペチカ/北原白秋 詞、山田耕筰 曲
 かあさんの歌/窪田聡 詞、窪田聡 曲
 雪の降る町を/内村直也 詞、中田喜直 曲
 スキー/時雨音羽 詞・平井康三郎 曲
 雪山賛歌/西堀栄三郎 詞 アメリカ民謡
 早春賦/吉丸一昌 詞、中田章 曲

* 名曲アラカルト *
 アヴェ・マリア/シューベルト
 涙流れるままに/ヘンデル
 ある晴れた日に(蝶々夫人より)/プッチーニ

* 朝ドラのテーマ *
 麦の歌/中島みゆき
 希空~まれぞら~/土屋太鳳 詞、澤野弘之 曲
 365日の紙飛行機/秋元康 詞、角野寿和・青葉紘季

 田村葉月(S)
 かごしまけいこ(Pf)

遅く起きて、所用を済ませ、昼食を取ってから、バイパスを西へ。開演40分前に到着。
感想は、「こじんまりとしたスタジオで、親密で暖かい音楽を楽しむ」です。
まずは冬の歌のセクション。「たき火」が広がりを持つピアノに乗って、端正に、ときに艶やかさを持って歌われると、「ペチカ」を大切に、「かあさんの歌」をやさしく、「雪の降る町を」を切なく、「スキー」を溌剌と、「雪山賛歌」を大らかに、そして「早春賦」を憧れを響かせて届けられました。
次の名曲アラカルト・コーナーでは「アヴェ・マリア」がまろやかに、「涙流れるままに」を鮮やかに、「ある晴れた日に」をドラマチックに聞かせてくれました。
最後は朝ドラのテーマたち。「麦の歌」を雄々しく、「希空~まれぞら」を楽し気に、「365日の紙飛行機」を爽やかに、聴衆の歌声も相まって、暖かい雰囲気で盛り上げました。
用意されたアンコールは「雪の華」。蒼く煌めく極上のメロディーが冷たく輝いて、美しさを運び、大きな拍手を受けました。
この後、題名の通り、抹茶とお茶菓子が振舞われ、舌の楽しみもセットで提供されました。
地域に根差した活動が、ハイ・クオリティな品質でサーブされるこの催しは、音楽の喜びを草の根で広げる大変素晴らしい成果であり、今後の発展を祈念して、会場を後にしました。

~新春に聞く雅楽・箏の調べ&クラシックギターコンサート~

2016年1月16日(土) 18:30 コンチェルト蔵織 ~新春に聞く雅楽・箏の調べ&クラシックギターコンサート~

第1部 雅楽
 調子
 蘭陵王
  源川容子(笙)、源川宗城(篳篥)

第2部 SIMOHONCHOU QUARTET
 六段/八橋検校
 ホワイト・フォーレスト/水川寿也
 平城山/北見志保子詞 平井康三郎曲
  奥村京子(箏)、高橋正紀、高橋光江(Cl)、山際規子(S)

第3部 ギター独奏
 サンバースト/ヨーク
 12の練習曲 第1番/ヴィラ=ロボス
 「さくら」の主題による変奏曲/横尾幸弘
 舞踏礼賛/ブローウェル
 11月のある日/ 〃
 リブラ・ソナチネ/ディアンス
 天の支配/ピンク・フロイド
 ムーンターン/ヨーク
  関矢大介(G)

仕事を終えて、コンチェルトさんへ。会場である奥の蔵へと入場。
感想は、「端正な美しさを放つ絵画に囲まれて、3つそれぞれに特色のある演奏に大いに感じ入る」です。
まずは雅楽から。笙の独奏で「調子」。立ち上る虹が鮮やかに煌めき、時と共に彩りを変えて、幽玄の彼方へと誘ってくれました。続いて篳篥が加わっての「蘭陵王」へ。低い鳥獣の唸り声を精妙なる響きの衝立(ついたて)が取り囲むうちに、声音が高く鳴り響き、縦横に絡み合って、飛鳥(ひちょう)の舞を演じました。
1回目の休憩を挟んで、箏、クラリネットと歌で綴る第2部へ。始めは箏独奏で「六段」。柔らかな鋼の音色(ねいろ)が静々と、やがて足早に奏でられ、桜吹雪が舞い散るように華やかに繰り広げられました。ここで趣を変えJ-POPナンバーから「雪の華」。切り立った彫りの深い面持で、美しい初冬の調べを届けてくれました。クラリネットが加わった「ホワイト・フォーレスト」ではつま弾かれる糸が描き出す草原の上を2羽の鳥が鳴き声を交わし合い、息長く吹き抜けて、懐かしさを誘いました。第2部のトリは箏とソプラノで「平城山」。まっすぐに立ち上げる歌にそっと寄り添う十三弦がお互いを引きたて合って、昔日(せきじつ)の想いを伝えました。
2回目の休憩後はギター独奏。ヨークの「サンバースト」からスタート。明朗でちょっと憂いを帯びた旋律が軽やかに奏されると、一瞬駆け出し、さらに躍動して、ゆっくりと収束しました。続くヴィラ=ロボスでは、繊細に音符たちを織り上げ、音のつづれ織りを編み上げてくれました。次の「『さくら』の主題による変奏曲」になると、耳慣れた古謡を散りじりに分解し、やさしく織り上げて、変幻自在にデフォルメして見せてくれました。さらにブローウェルが2曲。「舞踏礼賛」は不規則に動き、不穏な輝きで惑わせ、時に光を見せて、見事に着地しました。そして「11月のある日」を快活で朗らかに郷愁を匂わせるように奏でました。ディアンスの「リブラ・ソナチネ」では、揺れ、廻り、駆け出す2楽章。急ぎ、走り、暴れる3楽章。作曲家の想いが楽器を通じて迸(ほとばし)り、大きな奔流となって、空間を満たしました。プログレッシブ・ロックの雄:ピンク・フロイドの「天の支配」になると、持続する低弦を高弦が色彩豊かに装飾し、高揚と幻想を解き放ちました。
プログラム最後はヨークの「ムーンターン」。快い旋律が勢いを持って進み、一旦沈み込むと、華やかに乱舞し、旋律が蘇って、鮮烈に締めてくれました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールが3曲。「タンゴ・アン・スカイ」が憂愁の響きで弾かれると、「Let it go」が優しく力強く歌われ、「プリキュア プリンセス 夢は未来への道」が楽し気に奏でられ、にぎにぎしく終演となりました。
横木菜美子展に合わせて開催されたギャラリーでのコンサートは、和やかな雰囲気の中、特徴ある3つの音楽がそれぞれの良さを生かし、輝きを増して、格別なひとときを与えてくれました。このような機会が今後もあることを祈念して会場を後にしました。

薫風之音 Live in Studio A 2016「青嵐の抄」

2016年1月9日(土) 14:00 りゅーとぴあスタジオA 薫風之音 Live in Studio A 2016「青嵐の抄」

時の細道、とうりゃんせ
風のかけら
睡蓮の夢
アメイジング・グレイス
七つの子~夕暮れのしらべ
真赤な太陽
TURTH
蒼天、遥か

時の始まり
波乱
月ノ雫
花舞の空
風光る

薫風之音
 藤崎浩子(箏)
 鯨岡徹(尺八)
ゲスト
 川崎祥子(Pf)
 大越玲子(Per)

約15km走ってから、昼食を取り、様々な催し物で混み合うりゅーとぴあへ。開演40分前に到着。
感想は、「和と洋の見事な融合と巧みなエンターテイメントを楽しむ」です。
まずは「時の細道、とうりゃんせ」から。ゆるりとした始まりから、鍵盤の波と打ちものの装飾を携(たずさ)えて、童歌の旋律が姿を現し、紫雲が棚引き、珠の光沢が輝きました。間髪を入れず次の「風のかけら」へ。ときめく鼓動に乗って、アツい迸(ほとばし)りが溢れ出て、勢いよく駆け抜けました。
ここで箏の独奏で1曲。「睡蓮の夢」が淡い囁きでゆったりと奏でられ、夜の静寂(しじま)へと聴衆を誘いました。続いて尺八とピアノで「アメイジング・グレイス」。まったりとしたコクのある出汁ような風味で欧米のメロディが吹奏され、この楽器特有の味わいを伝えました。最近発売されたCDからの「七つの子~夕暮れのしらべ」では箏と尺八というオリジナルの編成で演奏され、歩くような糸のつま弾きの上を青い息吹が揺蕩(たゆた)い、郷愁の情を誘いました。
ここからはカバー・ナンバーで勝負。一つ目は「真赤な太陽」。リズム隊の刻むタイトなビートにご機嫌なブロウが乗っかり、さらに小さな箏をギターのように抱えて、合いの手を入れ、昭和歌謡をこの4人で盛り上げました。さらに「TURTH」。エンジン全開でかっ飛ばすプレイに会場からのハンド・クラップも加わり、白熱の時間を作り出しました。
前半最後は「蒼天、遥か」。大らかな大地から聞こえてくる懐かしい響きが大きく成長し、壮大な伽藍を構築して、鮮やかに締めくくりました。
休憩を挟んで後半は、ニューアルバムから「時の始まり」。たおやかに流れる海流の中を泳ぐ勇魚のごとき鳴き声が切なく胸を締め付けました。続く「波乱」では急き込むように飛び込み、スイングするように歌って、かっこよく決めてくれました。CDでは弦楽四重奏とやっていた「月ノ雫」を本日はこのメンバーでのヴァージョンで。嫋々(じょうじょう)と心に沁みる笛の音がもの悲しさを呼び覚まし、落ち着きを与えてくれました。気分一新、「花舞の空」では桜吹雪の暖かさが咲き乱れ、一足早い春を連れてきてくれました。そして最後は「風光る」。爽やかで疾走する大気の転移が横顔を吹き抜けて、爽快なエンディングとなりました。
会場を埋め尽くす満員の客席からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは「百花咲く」。清新なサウンドでにぎにぎしく終演となりました。
今年10周年の薫風之音は秋にも3デイズの公演をやるそうですが、それが楽しみになるような、音楽的にもエンターテイメントとしても充実したひとときに幸せをもらって、ハッピーに帰路に付きました。