協奏曲集「四季」(協奏曲集「和声法と創意への試み」Op.8より)/ヴィヴァルディ
ヤンネ館野(Vn)
ピアノと弦楽のための幻想曲/宮下秀樹
関田桂子(Pf)
アンティポダス~ファンタジア・コンセルタンティ/エスカンディ
館野泉(Pf)
館野英司(指揮)
館野フレンズオーケストラ
伊野晴香、枝並友希、小島健弘、佐々木友子、奈良秀樹、松村牧子、大和香名子(Vn)
吉鶴洋一、井口歩、和田意織(Va)
永富さおり、安部信之助、大石航(Vc)
別森麗、星野勝彦(Cb)
笠原恒則(Cemb)
渡辺公章(バンドネオン)
所用を済ませ、昼食を取ってから、バイパスを一路、江南区文化会館へ。開演45分前に到着。
感想は、「不思議な縁(えにし)に繋がれた館野ファミリーと地元音楽家のコラボレーションが織りなす感動の音楽を受け止める」です。
まずは「四季」。有名な旋律が一つの塊りとなって流れ出し、その中から鋭利な刃物のごとく立ち現れる独奏ヴァイオリン。涼し気な音色(ねいろ)で「春」の表情を描き出しました。「夏」になると不安げな面持(おももち)から、一気に飛び出して切迫した感情を表現すると、落ち着いた厚みで通り過ぎる「秋」をやんわりと歩み去り、切なさで突っ走る「冬」を畳みかけ、激情を叩きつけました。
休憩を挟んで後半は、新作委嘱された「ピアノと弦楽のための幻想曲」。極光(きょっこう)たなびく中、氷の響きで打ち鳴らされる鍵盤。やがて追い立てるように刻む弦に応えるように反応し、水面(みなも)を行き来しました。そして柔らかに奏でらえる音の雲間に包まれるようにゆったりと収束されました。
プログラム最後は「アンティポダス」。穏やかな奏でから、乾いた喧噪が連打され、多彩に変化して行き過ぎると、辛(つら)い定めを嘆く歌声や、静かな安らぎも聞こえて、鮮やかに鞘に収まりました。続けて狂熱の舞踏が回想され、豊かな打鍵があたりを巻き込んで、熱狂に終止符を打ちました。さらに静寂を湛える弦楽の奏でに、溜めを伴う踊りが切なげに響き、内に秘めた興奮がやがて迸(ほとばし)り、蛇腹の共鳴も相まって、昂(たか)ぶりへと登りつめました。
会場からは大きな拍手が贈られ、アンコールが2曲。ピアソラの「オブリビオン」がバンドネオンと弦楽で、吉松隆編の「カッチーニのアヴェ・マリア」が左手ピアノで奏でられ、感動のエンディングとなりました。
新潟の演奏家と館野ファミリーが一つになってこのような素晴らしい演奏会を開いてくれるのは、まさに"天からの授かり物"であり、今後も続いていくことを期待して、会場を後にしました。
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