回想~ティンパニ購入顛末記~クラシック音楽におけるお金の使い方の一事例 その1 


「すごい提案があるんだけど。」

十数年前のその日私はN大オーケストラの打楽器パートの練習を先輩という立場で、オブザーバーとして他のOBと共に参加していた。場所は同オケが通常使用しているN大医学部の厚生施設内の音楽練習室。トレーナーとして来ていただいている日本を代表する在京オーケストラのひとつSフィルのK先生のレッスンに立ち会うためだった。
その提案の内容としては
・現在K先生が新しいティンパニを購入するが、そうなるとSフィルで今使っているものが不要になり、売りに出さなければならない。それをN大オーケストラに譲りたいのだが、どうだろうか。
・そのティンパニはオランダ製のもので、革のヘッドを張っており、その音質はK先生が目指す音楽にはかかせないものである。台数は5台。これでかなりのレパートリーに対応できるようになる。
・価格は元の値段の四分の一程度で譲る。
・幸いN大オケの練習室併設の楽器保管場所にはまだ余裕があり、そこに充分入ることが想定される。
とのことで、検討してもらえないかということだった。
「新車1台分ですね。」
「そうだね。破格の金額だと思うのだけれど。」
この話を聞いて、私の頭の中では、あるひとつの思い出がよみがえっていた。

それはさかのぼること十数年前のこと。当時私は関東方面に就職して、K県のC市にある会社の独身寮におり、そのころC市に出来たばかりのアマチュアオーケストラに参加していた。創立まもないということもあって、打楽器(ティンパニ)は所有しておらず、話を聞くと団として買う予定はあるのでそれまで待ってもらいたいとのこと。そのオケとは妙に相性がいい感じだったので、その言葉を信じ、練習に通いだした(見学が主だったが、練習後のファミレスでの会話を楽しみにしていたので)。
しばらくして楽器購入の話が具体化し、その話の中で資金としては団長(お医者様)のポケットマネーからとりあえず支出し、数年を掛けて返済する形で行うとのことだった。
「車を買おうと思って貯めていたお金があるので、それを充当しますよ」
とのことで"ありがたい!"申し出であった。

「今度は俺の番だな。」
私はそう思った。十数年前に受けた恩をここで返さねば、男が廃(すた)る。幸い自分も新車購入の為の資金を用意していたこともあり、この機会を逃すまいと心に誓った。

続く。
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1月の予定

1月の予定です。

2018年1月4日(木) 15:00 ヤマハ新潟店スペースY New Year CONCERT in NIIGATA 2018
2018年1月7日(日) 14:00 新潟市音楽文化会館 新潟アルス・ノーヴァ 新春ファミリーコンサート
2018年1月10日(水) 13:30 コンチェルト Ikiatari Battari na Live 睦月の巻 昼の部
2018年1月12日(金) 19:00 新潟県民会館大ホール ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団 × 千住真理子 × 牛田智大
2018年1月14日(日) 13:00 新潟市民芸術文化会館コンサートホールホワイエ 東響ロビーコンサート ヴァイオリン二重奏
2018年1月14日(日) 17:00 新潟市民芸術文化会館コンサートホール 東京交響楽団第105回新潟定期演奏会
2018年1月21日(日) 14:00 新潟市民芸術文化会館スタジオA 本間美恵子+Euphorbia「そして、大地へ」~マリンバづくし~ 
2018年1月27日(土) 10:30 青陵ホール ベートーヴェンのピアノソナタを聴こう! 第5弾
2018年1月27日(土) 16:00 ギャラリー蔵織 新春『二胡の調べ Ⅱ』
2018年1月27日(土) 18:00 Dr.可児 ピアノ連弾&鍵盤ハーモニカライブ『ラフ&ラグ』~大安吉日イブスペシャル
2018年1月28日(日) 18:30 コンチェルト Ikiatari Battari na Live 睦月の巻 夜の部

1月も頑張ります。

12月のまとめ

12月のまとめです。

行ったコンサート

2017年12月2日(土) 19:00 新潟市民芸術文化会館スタジオA 植木和輝 第3回19世紀ギターリサイタル 
2017年12月3日(日) 13:00 新潟市民芸術文化会館コンサートホールホワイエ 東響ロビー・コンサート 
2017年12月3日(日) 17:00 新潟市民芸術文化会館コンサートホール 東京交響楽団第104回新潟定期演奏会 
2017年12月6日(水) 13:30 コンチェルト Ikiatari Battari na Live 師走の巻 昼の部 
2017年12月6日(水) 16:30 ギャラリー蔵織 楽路歴呈 クリスマスライブⅨ 
2017年12月8日(金) 19:00 Dr.可児 Sax × Piano Classical Live Vol.2 
2017年12月9日(土) 18:30 新潟市民芸術文化会館コンサートホール 新潟大学管弦楽団 第54回定期演奏会 
2017年12月10日(日) 13:30 新潟県民会館大ホール 新潟県立新潟中央高等学校音楽科第20回定期演奏会 
2017年12月14日(木) 13:30 ホテルイタリア軒地下一階「PLAZA VOCE」 新潟イタリア協会オープンセミナー 第2回サロンコンサート~PLAZA VOCEの愉しみ~ 
2017年12月15日(金) 19:00 新潟市民芸術文化会館劇場 Noism1 『NINA−物質化する生け贄』 
2017年12月17日(日) 14:00 新潟市民芸術文化会館コンサートホール 第18回新潟第九コンサート 2017 
2017年12月17日(日) 19:00 新潟市民芸術文化会館スタジオA サルーム・万葉子 ピアノリサイタル 
2017年12月19日(火) 19:00 NEXT21アトリウム ANTI MUSIC LIVE QUESTION 
2017年12月20日(水) 14:30 コンチェルト わのばしょめぐり 参の場~サンタが和室にやってくる~ 
2017年12月22日(金) 19:00 新潟市江南区文化会館 音楽演劇ホール・ステージ ステージで聴く古楽器 第4回 クリスマスの宴 
2017年12月27日(水) 12:05 新潟市民芸術文化会館コンサートホール 野ばら ともしび 祝400回記念クリスマス★年末コンサート2017 
16件でした。1月から通算223件でした。

行きたかったコンサート

2017年12月2日(土) 14:00 新潟市民芸術文化会館スタジオA Fortune ~新潟中央高校音楽科8期生、9期生によるジョイントコンサート~ 
2017年12月2日(土) 14:00 西新潟市民会館 +One コンサート vol.5 2
2017年12月2日(土) 14:00 見附市文化ホール大ホール 第25回アルカディア音楽祭 まちの彩コンサート  
2017年12月2日(土) 14:30 新潟信濃町教会 石丸由佳のオルガンサロン 第1回 J.S.バッハとドイツロマン派のオルガン音楽 
2017年12月2日(日) 17:00 新潟市民芸術文化会館コンサートホール りゅーとぴあオルガンクリスマスコンサート2017 
2017年12月3日(日) 14:00 三条東公民館 水谷川優子チェロリサイタル 
2017年12月3日(日) 14:00 新発田市生涯学習センター 第18回 藤原真理クリスマスコンサート 
2017年12月3日(日) 14:00 弥彦の丘美術館 有元利夫版画の世界 ギャラリーコンサート 
2017年12月3日(日) 14:00 見附市文化ホール大ホール 第25回アルカディア音楽祭 新たな響き 
2017年12月8日(金) 11:30 新潟市民芸術文化会館コンサートホール りゅーとぴあ1コイン・コンサート vol.93 変幻自在な音色“クラリネット” 
2017年12月8日(金) 19:00 新潟市音楽文化会館 新潟大学教育学部音楽科第35回定期演奏会 
2017年12月9日(土) 14:00 越後森林館 Rim-ictus Christmas Concert 
2017年12月9日(土) 14:00 新潟市江南区文化会館音楽演劇ホール 江南区ウインターコンサート 
2017年12月10日(日) 14:00 東区プラザホール りゅーと新潟フィルハーモニー管弦楽団第1回定期演奏会 
2017年12月10日(日) 14:00 聖籠町文化会館 東北電力ファミリー名曲コンサート オーケストラの世界 
2017年12月10日(日) 15:00 南魚沼市民会館 佐渡裕指揮シエナ・ウインド・オーケストラ演奏会2017 南魚沼公演 
2017年12月16日(土) 14:00 新潟清心女子中学・高校 新潟清心女子中学・高等学校クリスマス・チャペルコンサート 
2017年12月16日(土) 14:00 燕市文化会館 N響メンバーによる弦楽四重奏 
2017年12月16日(土) 15:00 カトリック新潟教会 パイプオルガン&フルート コンサート vol.4 
2017年12月16日(土) 15:00 朝日酒造エントランスホール SanDoコンサート vol.84 クリスマス バロックコンサート  
2017年12月23日(土) 13:30 新潟市音楽文化会館 新潟市ジュニアオーケストラ教室クリスマスコンサート2017 
2017年12月23日(土) 14:00 新潟市民芸術文化会館能楽堂 キャトル フルートコンサート vol.5 
2017年12月23日(土) 14:00 加茂文化会館大ホール 第九合唱演奏会  
2017年12月23日(土) 15:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール キエフ国立フィルハーモニー交響楽団 
2017年12月23日(土) 17:30 長岡リリックホールコンサートホールタンブル・ヴァッソ 6th Concert ~バリ・テューバの祭典~ 

26件でした。来年も頑張ります。

野ばら ともしび 祝400回記念クリスマス★年末コンサート2017

2017年12月27日(水) 12:05 新潟市民芸術文化会館コンサートホール 野ばら ともしび 祝400回記念クリスマス★年末コンサート2017

【第1部】ソプラノ・テノール独唱
1 羽賀熱子(S) 柳本幸子(Pf)
「涙流れるままに」歌劇《リナルド》/ヘンデル
「メモリー」ミュージカル《キャッツ》/ウェーバー
2 荒井ミツ子(S) 柳本幸子(Pf)
「白樺の朝」/鈴木林蔵
「希望のささやき」/ホーソン
3 近藤千代子(S) 柳本幸子(Pf)
「ある晴れた日に」歌劇《蝶々夫人》/プッチーニ
「枯葉」映画《夜の門》/コスマ
4 長嶋晴美(Pf,S) 柳本幸子(Pf)
「ワルツ第1番 変ホ長調 華麗なる大円舞曲」/ショパン
「喜ばせてあげて」/ベッリーニ
5 高橋弘行(T) 高橋香子(S) 柳本幸子(Pf)
「マリア」ミュージカル《ウエストサイド物語》/バーンスタイン
「トゥナイト」(二重唱) 〃
6 南波理加(S) 斉藤晴海(Pf)
「もはや私の心には感じない」歌劇《水車小屋の娘》/パイジェッロ
「お前は私を苦しめていなかったのに」/チェスティ
7 上村まさ子(S) 斉藤晴海(Pf)
「アヴェ・マリア」/シューベルト
「サンタ・ルチア」/ナポリ民謡
8 高橋美代(S) 斉藤晴海(Pf)
「かなりや」/成田為三
「あわて床屋」/山田耕筰
9 江口康子(S) 斉藤晴海(Pf)
「愛の喜びは」/マルティーニ
「シェルブールの雨傘」ミュージカル映画/ルグラン
10 中山俊道(T) 柳本幸子(Pf)
「オンブラ・マイフ」歌劇《セルセ》/ヘンデル
「私は心に感じる」/スカルラッティ
11 村木伸子(S) 比企加奈子(Ms) 村木健二(Gt,T) 柳本幸子(Pf)
「小さな木の実」/ビゼー
「こな雪に寄せるノスタルジア」/磯部俶
12 中山節子(S) 柳本幸子(Pf)
「バラ色の人生」/モノ
「忘れな草」/クルティス
13 籠島道子(S) 柳本幸子(Pf)
「アヴェ・マリア」/マスカーニ
「貴方の声に私の心はひらく」歌劇《サムソンとデリラ》/サン=サーンス
14 川嶋レイ子(S)  柳本幸子(Pf)
「Rosa 薔薇」/トスティ
「落葉松」/小林秀雄
15 漆山律直(T) 斉藤晴海(Pf)
「私の偶像よ」/ベッリーニ
「フィッリデの悲し気な姿よ」/ 〃
16 笛木晶子(S) 斉藤晴海(Pf)
「私を泣かせてください」歌劇《リナルド》/ヘンデル
「おお、幾たびか」/ベッリーニ
17 高橋香子(S) 斉藤晴海(Pf)
「アヴェ・マリア」/バッハ=グノー
「雪は降る」/アダモ
18 山田紀子(S) 斉藤晴海(Pf)
「宵待草」/多忠亮
「清らかな女神よ」歌劇《ノルマ》/ベッリーニ
19 南雲照三(T) 柳本幸子(Pf)
「出船」/中山晋平
「泊り船」/小松耕輔
【第二部】ソプラノ柳本幸子×ピアニスト栄長敬子★ミニコンサート
「Ave Maria」/Rombi
「ともしび」/ロシア民謡
「鳥の歌」/カタロニア民謡
【第3部】みんなで一緒に歌いましょう!
ソプラノ柳本幸子&Niigata歌声ひろば《野ばら》&新発田歌声ひろば《ともしび》 栄長敬子(Pf)
♠男声♠
五十嵐憲政、石田健治、市村清嗣、猪俣月丸、漆山律直、大澤道義、片桐雅男、木下直之、佐藤英昭、高橋弘行、高山金治、長井一郎、中山俊道、南雲照三、長谷川總雄、村木健二
♥女声♥
愛田順子、荒井ミツ子、石田ユミ子、梅澤悦、江口康子、太田陽子、奥村和子、小黒美智子、小田礼子、小見ひろ子、籠島道子、片桐明子、加藤敏子、川嶋レイ子、上村まさ子、木村光子、小山カズイ、小山登美子、近藤千代子、近藤美知子、斎藤糸子、笹川敏子、佐藤潤、佐藤好子、渋谷好世、嶋倉生美、須貝尚介京子、菅井久子、鈴木田鶴子、鈴木豊子、鈴木廣子、高橋香子、高橋美代、玉木直子、戸根永子、外門カオル、長嶋晴美、中野美津江、中山節子、南雲静子、南波理加、根岸たか子、羽賀熱子、比企加奈子、笛木晶子、村木伸子、森佳代子、諸橋阿伎子、八幡良子、山口みどり。山田紀子、横山恵子、和田恵子
&当日飛び入り参加の皆さま

みんなで一緒に歌いましょう!
「冬景色」/文部省唱歌
「星の界」/杉山代水 詞 コンヴァース 曲
「冬の星座」/堀内敬三 詞 ヘイス 曲
「灯台守」/勝承夫 詞 賛美歌
「トロイカ」/ロシア民謡
「ともしび」/ロシア民謡
男声有志演奏《ともしび》+《野ばら》
「雪山賛歌」/西堀栄三郎 詞 アメリカ民謡
「昴」/谷村新司
全員合唱《ともしび》+《野ばら》
「大地讃頌」/大木惇夫 詞 佐藤眞 曲
みんなで一緒に歌いましょう!
Amazing grace/賛美歌
White X!mas/Berlin
聖夜/賛美歌
さようなら/倉品正二
今日の日はさようなら/金子詔一 

リハビリラン4kmを走って、昼食をとり、身支度を整えて、りゅーとぴあへ。開演20分前に到着。
感想は、「歌を愛する心が織りなす暖かい世界を楽しむ」です。
第1部はソプラノ・テノール独唱。2曲ずつ歌い継ぐ形で進行。まずはヘンデルの「涙流れるままに」が柔らかく優しく歌われ、「キャッツ」の「メモリー」が甘く切なく綴られました。2番目は「白樺の朝」から。落ち着いて整った風情で奏でると、「希望のささやき」をワルツのステップで光と影の彩りを添えました。次はプッチーニ「ある晴れた日に」から。さざめく波立ちに乗って、立ち昇る霧を描き、「枯葉」で洗練された愁いを認(したた)めました。4人目は最初にピアノ独奏でショパンの「華麗なる大円舞曲」。軽やかで華やかに弾(はず)むと、歌に転じて、ベッリーニの「喜ばせてあげて」を抑えめの甘さで届けました。5番目はソプラノ独唱でバーンスタインの「ウエストサイド物語」より「マリア」。クールに演じて、穏やかに歌うと、テノールとの二重唱で「トゥナイト」。地上から滑り出し、大空へ舞い上がりました。続いてはパイジェッロの歌劇《水車小屋の娘》より「「もはや私の心には感じない」。可憐に跳びまわり、可愛く舞い踊ると、チェスティの「お前は私を苦しめていなかったのに」で、じわじわと悲しみの水位を増しました。
7番目はシューベルトの「アヴェ・マリア」から。穏やかな波の上で、滑らかに明るさを届けると、「サンタ・ルチア」で地中海の抜けるような青空を伝えました。次は日本歌曲を2曲。「かなりや」を丁寧に哀れを誘(さそ)い、「あわて床屋」でコミカルに弾(はず)みました。9人目はマルティーニの「愛の喜びは」より。雲は払い去って、晴れ渡る碧空を届けると、「シェルブールの雨傘」では涼しげな切なさを映しました。
10番目はヘンデルの「オンブラ・マイフ」から。真っ直ぐに差し込む日光が眩しさを添えると、スカルラッティの「私は心に感じる」で誠実に翳りを描きました。続いてはソプラノとメゾソプラノの重唱をギターとピアノで伴奏するビゼーの「小さな木の実」。淡い悲しみを響かせて、ハーモニーを拡げると、テノールが加わって磯部俶の「こな雪に寄せるノスタルジア」。そよそよと波打ち、薄日差す喜びを伝えました。12人目は「バラ色の人生」から。甘やかな調べを、柔和で清らかに仕上げると、クルティスの「忘れな草」では影を纏(まと)い、光へ転じて、大きく歌い上げました。続いてはマスカーニの「アヴェ・マリア」。氷砂糖の味わいを持って舌を蕩(とろ)かせると、サン=サーンスの「貴方の声に私の心はひらく」を細い糸をくぐらせ、明るい喜びで満たしました。14人目はトスティの「Rosa 薔薇」で、柔らかで穏やかに癒しを与え、「落葉松」を、晴れやかに響かせて、明るさを届けました。
次はテノール独唱でベッリーニの「私の偶像よ」。深くマイルドに哀しみを映すと、「フィッリデの悲し気な姿よ」では急ぎ足で翳りを語り、豊かに切なさを認(したた)めました。16人目はヘンデルの「私を泣かせてください」から。くっきりと記(しる)し、哀しみを鳴り渡らせると、ベッリーニの「おお、幾たびか」では、落ち着いた楽しさを伝え、翻(ひるがえ)る旗を風に靡(なび)かせました。続いてはバッハの曲にグノーが旋律を載せた「アヴェ・マリア」。さざ波が打ち寄せ、薄衣(うすぎぬ)を纏(まと)うと、アダモの「雪は降る」では、細やかに切なさを綴(つづ)りました。18人目は「宵待草」。爽やかで清らかに歌い、続くベッリーニ「清らかな女神よ」を穏やかで涼やかに認(したた)めました。独唱の最後は中山晋平の「出船」から。艶やかに深みを与えて、鐵(くろがね)の彩りで照らすと、小松耕輔の「泊り船」を低く明るく描き出して、第1部を締めくくりました。
休憩を挟んで第2部は主宰による独唱。Pilippe Rombiの「Ave Maria」では、闇から光を導き出し、ゆっくりと哀しみを描きました。続いてロシア民謡の「ともしび」を染み入る悲しみで暗がりを映し出し、最後はカタロニア民謡の「鳥の歌」で荒野に広がるか細い囀りを淡く写しました。
そのまま第3部へ移り、会場全体を巻き込んで「みんなで一緒に歌いましょう!」のコーナー。最初に発声練習を行った後、まずは文部省唱歌の「冬景色」から。柔らかく歌声が拡がり、「星の界」で透き通る明るさが辺りに満ち満ちると、「冬の星座」で湧き上がるうねりが巻き起こりました。さらに「灯台守」を高らかに揺らし、「トロイカ」で溌剌と前進し、「ともしび」を哀愁で染め上げました。
ここでステージ上の男声有志の演奏が「雪山賛歌」を低く豊かに響かせ、「昴」では澄んだ明るさで照らしました。さらに全員合唱で「大地讃頌」。爽やかに高い山脈(やまなみ)を広々と描きました。
「みんなで歌いましょう!」に戻って、クリスマスに因んだ「Amazing grace」から。涼やかに灯りと点(とも)すと、「White X!mas」をふんわりと仕上げ、「聖夜」をゆっくりと暖かく歌いました。最後は「さようなら」を優しく奏でて、お別れの挨拶と共に「今日の日はさようなら」で愉しげに締めました。
"歌"を愛し、その力を信じて、大いなる絆を紡ぐこの催しは、さらに大きく拡大し、ホールを埋め尽くす人々で満ち溢れることを予感させ、来年そしてその先もずっと続いていくことを願って、気分よく帰路に付きました。

ステージで聴く古楽器 第4回 クリスマスの宴

2017年12月22日(金) 19:00 新潟市江南区文化会館 音楽演劇ホール・ステージ ステージで聴く古楽器 第4回 クリスマスの宴

〇オープニング
 ブーレ/プレトリウス
〇クリスマス
 主エマニュエルは生まれ給う/プレトリウス
 あまき喜び/14世紀ドイツ古曲
 クリスマスの12日間/イギリス・トラディショナル
 牧人ひつじを/讃美歌
 きよしこの夜/ 〃
〇うた
 ア・ラ・ホーンパイプ(「水上の音楽 第2組曲より)/ヘンデル
 Was soll das bedeuten/R.schweizer(ドイツ民謡)
 Komment,ihr Hirten,ihr Manner und Fraun/C.Gerhardt(カール・リーデール)
 Den die Hirten lobeten sehre/プレトリウス
〇「水上の音楽」より
 Allegro
 Air
 Bouree
 Hornpipe
 Andantino
〇踊り
 王様万歳/デブレ
 Putta Nera Ballo Furlano/Mainerio
 ロンド/スザート
 ネーデルランドの舞曲集 1551年「アルマンド集」よりアルマンド/ 〃
 ネーデルランドの舞曲集 1551年「パヴァーヌ集」よりパヴァーヌ/ 〃
 GAGLIRDA"LA ROCHA EL FUSO"/作者不詳
 BERGERETTE"SANS ROCHE"/スザート

よろずやリコーダーカルテット
 小関優子、松井美端、大作綾、白澤亨(Rec)

仕事を終えて、渋滞のバイパスを一路江南区文化会館へ。開演20分前に到着。
感想は、「舞台の上で溶け合う笛の音(ね)に聞き入る」です。
まずはオープニングを飾るプレトリウスの「ブーレ」から。お花畑を舞う蝶々が、薄桜の彩りを撒き散らしました。続いてクリスマスの曲達で同じ作曲者の「主エマニュエルは生まれ給う」。軽やかに水飛沫を上げ、細かく震えて、溶け合いました。次は14世紀ドイツ古曲の「あまき喜び」が、ゆっくりと清らかに安らぎを与えると、イギリス・トラディショナルの「クリスマスの12日間」で明るくにこやかに可愛さを振り撒いて羽搏(はばた)きました。さらに讃美歌が2曲。リコーダーからツィンクに持ち替えての「牧人ひつじを」では羽音を響かせ、優しく飛び廻りまると、お馴染みの「きよしこの夜」を柔らかくまろやかに仕上げました。
続いては"うた"のセクション。ヘンデルの「水上の音楽 第2組曲」より「ア・ラ・ホーンパイプ」では、水滴が弾(はじ)け飛び、柔らかく弾(はず)んで、小鳥が囀(さえず)りました。ドイツ民謡の「Was soll das bedeuten」になると、ふんわりと奏で、涼やかな声音(こわね)で吹き過ぎ、カール・リーデールの「Komment,ihr Hirten,ihr Manner und Fraun」では暖かな息吹が層を成して、艶やかな歌声が鮮やかな筆跡を残し、プレトリウスの「Den die Hirten lobeten sehre」を長閑(のどか)な田園を渡る風で揺らしました。
ここからはヘンデルの「水上の音楽」より5曲。優雅にうねるアレグロ。陽光が降り注ぐエア。穏やかに澄んだ流れを見せるブーレ。愉しげな鳴き声で賑わすホーンパイプ。典雅に舞い、いきいきと光を放つアンダンティーノ。明朗で愉快な快さを運びました。
最後は踊りのコーナー。始めはデブレの「王様万歳」。ノリよく朗らかに水を分けて進みました。続くMainerioの「Putta Nera Ballo Furlano」では、細やかに波打ち、大らかに伸ばし、要所で区切りを付けて、表情を塗り分けました。続いてスザートが3曲。忙しげな震えを宿して小気味よく飛ばす「ロンド」。競い合うように駈け、物悲しさを薄明かりで照らす「アルマンド」。淡い哀しみをゆっくりと滲ませ、細い光の帯を記(しる)して、進軍ラッパを高鳴らせる「パヴァーヌ」。様々な舞踊の彩りを描き出しました。続いて作者不詳の「GAGLIRDA"LA ROCHA EL FUSO"」。さらりと認(したた)め、快活に駆け抜けました。締めの曲は再びのスザートで「BERGERETTE"SANS ROCHE"」。柔和な面持ちで穏やかに漂いました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは歌入りの「きよしこの夜」。優しい歌声が聖夜への想いを映し、心優しい終演を迎えました。
古楽による聖誕祭を祝う催しは、会場の響きを味方につけて、快い後味を残してくれたことに感謝して、喜ばしい気分で、会場を後にしました。

わのばしょめぐり 参の場~サンタが和室にやってくる~

2017年12月20日(水) 14:30 コンチェルト わのばしょめぐり 参の場~サンタが和室にやってくる~

第1部
雪の華/松本良喜
風の谷エンディングテーマ/久石譲
戦場のメリークリスマス/坂本龍一
青いダイヤモンド/田尾将実
雪椿/遠藤実
ポタミアンノ/渡辺百枝
第2部
月夜のブランケット/川崎祥子
あわてんぼうのサンタクロース/小林亜星
恋人がサンタクロース/松任谷由実
夜空ノムコウ/川村結花
もみの木/塩谷哲

渡辺百枝(篠笛)
川崎祥子(Pf)

所用を足し、昼食をとり、リハビリラン4kmを走ってから、コンチェルトさんへ。開演20分前に到着。
感想は、「趣向を凝らした和にこだわった降誕祭の出し物を楽しむ」です。
まずは中島美嘉の「雪の華」。ふんわりとした鍵盤の奏でに乗って、篠笛がコブシを効かせた旋律を味わい深く認(したた)めて、冒頭を飾りました。続いて映画「風の谷のナウシカ」から「風の谷のエンディングテーマ」。晴れ渡った空を透き通った悲しみを胸に大らかに滑空しました。次は坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」。淡い白雪(しらゆき)が舞い散る中、茜差(あかねさ)す息吹が吹き過ぎ、押し寄せる波頭を掻い潜って、鮮やかに着地しました。ここから演歌が2曲。中澤卓也の「青いダイヤモンド」を、明るく朗らかに弾み、ちょっと切なさを添えて届けると、小林幸子の「雪椿」を、嫋々(じょうじょう)と語る様に伝えて、喝采を浴びました。第1部最後は篠笛奏者のオリジナルの「ポタミアンノ」。どこか懐かしい調べが駆け巡り、優しい気持ちへと導きました。
第2部の始まりはサンタと獅子舞のトナカイが登場し、しばしのお楽しみタイム。それに続いてピアニスト作曲の「月夜のブランケット」。ゆっくりと楽しげにスキップし、澄んだ音色(ねいろ)で癒しました。篠笛が戻っての「あわてんぼうのサンタクロース」。元気いっぱいに燥(はしゃ)ぎ、溌剌としたパワーを振りまきました。次に時節に因んだJ-POPから、まずはユーミンの「恋人がサンタクロース」。ウキウキするリズムで、少し物悲しさを含んだ陽気さを運びました。続いてスマップの「夜空ノムコウ」。洗練された導入部から、郷愁を宿した優しさで、胸に沁みる抒情を与えました。プログラム最後は塩谷哲の「もみの木」。舞い散る粉雪を背に、穏やかな季節風が吹いて、たっぷりと潤いで満たしました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは「ハピネス」。にぎやかに奏でて、気持ちよい終演を迎えました。
素敵な演奏はもちろん、時節を得たお土産や、クリスマスと和の風情を取り入れたコスプレなど、演奏以外の要素も含めて、場を盛り上げるエンターテイナーぶりを十二分に楽しめたこの催しを体験できたことに大いに感謝して、快い気分で帰路に付きました。

ANTI MUSIC LIVE QUESTION

2017年12月19日(火) 19:00 NEXT21アトリウム ANTI MUSIC LIVE QUESTION

能勢山陽生によるパフォーマンス1
冷泉によるパフォーマンス1
能勢山陽生によるパフォーマンス2
冷泉によるパフォーマンス2

仕事を終え、駐車場に車を入れて、NEXT21へ。開演30分前に到着。
感想は、「市街地にある伽藍に響く轟音の美しさに聞き入る」です。
まずは能勢山陽生によるパフォーマンスから。ギターの弦から出る音響を様々な手法で処理することにより、独特の音像を発生させるもので、アンプからの発音をマイクで拾い、6台のスピーカーで増幅する構成から生まれ出た印象は、散発する断片が徐々に成長し、暴風を吹かせ、磁気嵐が舞い上がり、大木(たいぼく)が軋(きし)んで、超光速で彼方へと移動しました。そして覆い被さる殻を蹴破り、電子の爆発を誘発し、その全貌を顕(あらわ)して、惇譚爆撃(じゅうたんばくげき)を行い、上空より降下して、水平に滑走し、再び上昇した後、減衰して着地しました。
続いて冷泉によるパフォーマンス。柔らかい梵鐘(ぼんしょう)が打ち鳴らされ、幾度となく繰り返されるうち、次第にその音量を増し、降り注ぐ瀑布(ばくふ)を伴って、ぐにゃりと空間を歪(ゆが)め、硬質な触感に転じて、耳を劈(つんざ)く叫びとなり、濁流を形成して、頂点を極めると、勢いを失って、ゆっくりと奈落へと落ち込んでいきました。
休憩を挟んで後半は2回目の能勢山陽生によるパフォーマンス。対流圏偏西風の流れを肌に受け、冷たい火花が飛び散って、溶鉱炉の熱い鉄が溶けだし、加速して光の粒を追い越しました。そして地中へと潜り、穿孔機で掘り進み、轟音を撒き散らして、残響を残し、パタリと立ち止まりました。
再びの冷泉によるパフォーマンスでは、滑り落ちる砂が不規則に発音し、電磁の乱れを入り混じらせて、擦り傷を長く引き延ばし、響きを共鳴させて、張り詰めた繊維を波立たせました。一転水蒸気が霞立ち、氷晶がゆらりと浮遊して、蜘蛛の糸を張り巡らせました。
会場からは大きな拍手が贈られ、新たなる地平を切り開く者たちを大いに称賛して、にぎにぎしく終演となりました。
凍てつくアトリウムの寒さを忘れさせる素晴らしいパフォーマンスを体験できたことに、感動して、喜ばしい気分で、家路を急ぎました。

サルーム・万葉子 ピアノリサイタル

2017年12月17日(日) 19:00 新潟市民芸術文化会館スタジオA サルーム・万葉子 ピアノリサイタル

クラヴサン曲集と運指法第2巻より「やさしい訴え」/ラモー
幻想的小品集より「前奏曲」Op.3-2/ラフマニノフ
「幻想小曲集」Op.12/シューマン
 1.夕べに
 2.飛翔
 3.なぜに?
 4.気まぐれ
 5.夜に
 6.寓話
 7.夢のもつれ
 8.歌の終わり
「若い娘たちの五つの肖像」/フランセ
 1.気まぐれな
 2.柔和な
 3.気取った
 4.物思いに耽った
 5.モダンな
「夜のガスパール」/ラヴェル
 1.オンディーヌ 水の精
 2.絞首台
 3.スカルボ

サルーム・万葉子・スライヤ・アナスタシア(Pf)

一旦りゅーとぴあを出て、家に戻り、少し休憩してから、スタジオAへ。開演35分前に到着。
感想は、「いままでに聞いたことのないクリアなピアノの響きを驚きを持って味わう」です。
まずはラモーの「やさしい訴え」。悲しみに裏打ちされた穏やかさで紡ぎ、時折見せる煌めきで彩りを添えました。続いて「鐘」の別称で知られるラフマニノフの「前奏曲」。石造りの壁がそそり立ち、闇の中に愁いを宿して移ろい、強靭な刃物を振り下ろして、響きの結晶体を築き上げました。そのまま続けてシューマンの「幻想小曲集」へ。優しく慈(いつく)しむように奏でる「夕べに」。硬質な波立ちを綴り、硝子の艶めきを映す「飛翔」。ゆったりと柔和に揺れ、しなやかに漂う「なぜに?」。角張った表情で刻み、細やかに転(ころ)がす「気まぐれ」。切迫した面持ちで進み、急(せ)かすようにざわめく「夜に」。愉しげに弾(はず)み、軽快に刻む「寓話」。明るく振舞い、にこやかに弾き込む「夢のもつれ」。大胆に打ち鳴らし、ゆっくりと繊細に鍵盤の上を舞う「歌の終わり」。さっぱりと明瞭に仕上げました。
休憩を挟んで後半はフランセの「若い娘たちの五つの肖像」から。軽やかに楽しみ、可愛いげに遊ぶ「気まぐれな」。ゆっくりと陽光を浴びて、きらきらと光る「柔和な」。悪戯(いたずら)っぽく拗(す)ねて見せ、速く遅く揺らめく「気取った」。水槽の中で光を屈折させ、優雅に泳ぎ回る「物思いに耽った」。楽しさを振り撒き、次第に横揺れを起こして、激しく舞い踊る「モダンな」。粋で透明な輝きを十二分に発揮して、新しい風を吹かせました。プログラム最後はラヴェルの「夜のガスパール」。せせらぎを映し、光の粒がよどみなく湧き出(いで)て、透き通る結晶が降り注ぐ「オンディーヌ」。不安の足音が延々と続き、影が纏(まと)わりついて、淡く燃える蜃気楼が揺蕩(たゆた)う「絞首台」。低く持続する揺れを受け止め、硬く凍り付いた震えが覆い被さり、水蒸気を発散して、混乱を追い詰める「スカルボ」。不気味な響きを浮き彫りにし、しかもそれ美しく崇高に仕上げて、作曲家の個性を見事に再現しました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールはショパンの「ノクターン 第2番」。優しい調べで癒して、穏やかに終演となりました。
巴里からの息吹をそのまま伝えるような素晴らしい技の冴えと、曲の持つ特徴をくっきりと切り取って聴衆に届ける歌心に触れられたことに大いに感動して、喜ばしい気分で、家路を急ぎました。

第18回新潟第九コンサート 2017

2017年12月17日(日) 14:00 新潟市民芸術文化会館コンサートホール 第18回新潟第九コンサート 2017

「鎮魂に寄せる二題」
「市民のためのファンファーレ」/コープランド
「アリア」/バッハ ストコフスキー編
交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱付」/ベートーヴェン
 第1楽章:Allegro ma non troppo,un poco maestoso
 第2楽章:Molto vivace
 第3楽章:Adagio molt e cantabile
 第4楽章:Presto-Allegro assai

高嶋優羽(S)
小川明子(A)
佐々木洋平(T)
浦野裕毅(Br)
新潟第九合唱団
新潟交響楽団
箕輪久夫(合唱指揮)
鈴木由香(合唱指導)
佐藤匠 (〃)
井村優子(練習ピアノ)
齋藤美香(〃)
新通英洋(指揮)

リハビリランを4km走って、職場へ仕事の確認に行き、取って返してりゅーとぴあへ。開演30分前に到着。
感想は、「地元産の合唱、管弦楽、指揮者による年末の恒例行事を楽しむ」です。
まずは金管と打楽器でのコープランドの「市民のためのファンファーレ」。切れの良い打撃から、鈍い輝きが長く引き延ばされ、冒頭を鮮やかに彩りました。続いて弦楽合奏でストコフスキー編曲によるバッハの「アリア」。静かな足音に乗り、優しい調べが淡く拡がり、柔らかく辺りを包んで、安寧を届けました。木管楽器が入場し、休憩を挟まずに「第九」へ。
霞立つ雲間から、囁きの断片が見え隠れし、次第に型を成して、力強く拳(こぶし)を振り上げ、灼熱の火照(ほて)りで悲しみを焼き尽くして、雄々しく前進する第1楽章。押し寄せる波頭が幾重にも層を刻み、大きな起伏を伴って揺らぎ、滑らかに絡まり合って、突然立ち止まる第2楽章。穏やかに流れ、柔和に揺れて、艶やかにうねる第3楽章。混乱の内に走り出し、過去を思い出しながら行先を模索し、やがて答えを見出して、高らかに歌い始め、群集が唱和し、奔流の如く溢れ出して、天の一画へ登り詰める第4楽章前半。そして足取りも軽く行進し、困難の轍と格闘すると、大いなる使いの響きに導かれ、重々しく長く望みを掲げました。さらに鐘を鳴らすように声たちが重なり合い、絡み合って、潔(いさぎよ)く響き合いました。その直後、小走りに駈け出し、畳み掛けるように追い上げ、天上の歌声が彼方へ昇華するのを待ちました。ちょっと逡巡(しゅんじゅん)した後、勢いよく走り出し、一体となって揉み合って、忙(せわ)しげに結末を目指しました。
客席からは大きな拍手が贈られ、合唱、独唱、管弦楽、そして指揮者の健闘を讃えて、にぎにぎしく終演となりました。
独唱を除く全出演者が地元である今回の演奏会は、この地の音楽的充実を見せつけ、今後の展開が楽しみになっていることを確信して、喜ばしい気分で、帰路に付きました。

Noism1 『NINA−物質化する生け贄』

2017年12月15日(金) 19:00 新潟市民芸術文化会館劇場 Noism1 『NINA−物質化する生け贄』

The Dream of the Swan
 演出振付:金森穣
 音楽:トン・タッ・アン
 衣裳:廣川玉枝(SOMA DESIGN)
 美術:須長檀
 出演:井関佐和子
『NINA−物質化する生け贄』
 演出振付:金森穣
 音楽:トン・タッ・アン
 衣裳:廣川玉枝(SOMA DESIGN)
 椅子:須長檀
 オリジナル照明デザイン:金森穣、森島絵都
 リハーサルディレクター:井関佐和子
 出演:Noism1
 中川賢、池ヶ谷奏、吉崎裕哉、浅海侑加、チャン・シャンユー、坂田尚也、井本星那、鳥羽絢美*、西岡ひなの* *準メンバー
 制作:上杉晴香、堀川いずみ、関佳蓮、遠藤龍

仕事を終え、りゅーとぴあへ。開演35分前に到着。
感想は、「躍動する肉体と舞踊する精神の眩(まばゆ)さを心に刻む」です。
まずは「The Dream of the Swan」。腰かけたベッドに灯る心の病(やまい)の肖像が怖れ慄(おのの)き、不安を掻き消すようにあがき、周辺を彷徨って、抑えが効かなくなり、感情を爆発させ、燃え尽きて放心する時を経て、正気を取り戻し、再び傷口が疼き、苦しみを顕して、静かに消え入りました。
続いて『NINA−物質化する生け贄』。凍り付いた場面が支配し、徐々に動き出す傀儡(くぐつ)とそれを操(あやつ)るものたち。その中で愛が芽生え、仮初(かりそ)めに育(はぐく)んで、果実を収穫しようと試みるが、その想いは容赦なく遮られ、混迷が沸き起こり、操り人形たちが意志を持ち始め、反逆の狼煙(のろし)を上げ、争いが勃発し、抑制を排除して、赤く燃え上がり、やがて燃え尽き、炎の衣装を取り去ると、安寧が訪れるように見せて、支配者を打ち据え、役割を奪い取って、静かに入れ替わりました。
会場からは大きな拍手が贈られ、何回もカーテンコールが行われ、この素晴らしい舞踊を体験させて頂いたことに、大いなる感謝と賛辞を贈りました。
この舞踊団の基本となる演目を9年の時を経て再演することの意義と、それ以上に物語りを排し、舞踊の究極の一隅を照らすこの舞台の驚異を目の当たりに出来たことに感動して、喜ばしい気分で、帰路に付きました。