新潟スロヴァキア国立オペラ2018

2018年6月29日(金) 19:00 新潟市音楽文化会館 新潟スロヴァキア国立オペラ2018

第一部 コンサートオペラ 『カルメン』/ビゼー
 オペラ 『カルメン』ダイジェスト版
  カルメン    ユディタ・アンジェロヴァー(Ms)
  ドン・ホセ   ペテル・マリー(T)
  ミカエラ    パトゥリーツィア・ソロトゥルコヴァー(S)
  エスカミーリョ シモン・スヴィトック(Br)
第二部 オペレッタと歌曲の名曲
 タシロの歌 『伯爵令嬢マリツァ』/カールマン
  ドゥシャン・シモ(T)
 リーザの歌 『微笑みの国』/レハール
  カタリーナ・プロハースコヴァー(S)
 シルヴァとエドウィンの二重唱 『チャールダーシュの女王』/カールマン
  カタリーナ・プロハースコヴァー(S) ドゥシャン・シモ(T)
 ハンナの歌 『メリー・ウィドウ』/レハール
  カタリーナ・プロハースコヴァー(S)
 Broken Vow(破られた誓い)/アファナシェフ
  シモン・スヴィトック(Br)
 マリツァとタシロの二重唱 『伯爵令嬢マリツァ』/カールマン
  カタリーナ・プロハースコヴァー(S) ドゥシャン・シモ(T)
 イロナのチャールダーシュ 『ジプシーの恋』.レハール
  カタリーナ・プロハースコヴァー(S)
 プスタの娘達 『伯爵令嬢マリツァ』/カールマン
  全員
 Non Ti Scordar Di Me(忘れな草)/デ・クルティス
  ドゥシャン・シモ(T)
 グラナダ/ララ
  シモン・スヴィトック(Br)
 シルヴァの歌 『チャールダーシュの女王』/カールマン
  カタリーナ・プロハースコヴァー(S) パトゥリーツィア・ソロトゥルコヴァー(S)
 生まれ故郷の歌/ドゥシーク
  全員

マルティナ・スヴィトコヴァー(Pf)

仕事を終えて、音楽文化会館へ。開演30分前に到着。
感想は、「歌うこと、演ずることの喜びが、舞台から一杯に溢れ出す瞬間に立ち会える幸せを噛み締める」です。
歌劇場総支配人の挨拶の後、第一部は歌劇『カルメン』のダイジェスト版。まずは「序曲」で、忍び寄る影が悲しみを連れて来ると、続く「ハバネラ」では妖艶に誘(さそ)い、恋の甘さを漂わせました。更に「ミカエラとホセのデュエット」では、赤銅色の切なさを紡ぐと、慈(いつく)しみに溢れた優しさで包みました。そして「セギディーリャ」。草萌える温かさで喜びを飾り、楽しげに明るさを振りまくと、伸びやかに舞い、可憐に振舞って、歩みを共にしました。続く「闘牛士の歌」では、しなやかで勇壮に情熱を掲げ、軽快に闊歩(かっぽ)して、歓喜を振り撒きました。次の「カルメンとホセのデュエット」では、甘やかに蕩かせ、幾星霜を乗り越えて、輝きを味わいました。場面が転じて「カードの歌」では、迫り来る陰りを予感し、「ミカエラのアリア」になると、穏やかな願いを安らかに祈りました。更に「ホセとエスカミーリョのデュエット」では、激しく飛沫(しぶき)を飛ばし、地中海の彩りを添えて、熱い火花を散らしました。そして「フィナーレの場面」。遠くに映る怖れを反射させ、大いなる熱情を解き放って、悲劇へと突き進みました。
休憩を挟んで第二部は「オペレッタと歌曲の名曲」。明るい愁いを艶やかに奏でる「タシロの歌」。優雅に輝きで装う「リーザの歌」。沸き立つ心を揺らし、愉しさを歌い交わす「シルヴァとエドウィンの二重唱」。落ち着いて、艶めく感情を綴る「ハンナの歌」。物思いに耽(ふけ)り、切々と語る「破られた誓い」。コク深い滋味を漂わせ、光の帯を引き延ばす「マリツァとタシロの二重唱」。寂しさを認(したた)め、喜びの羽で羽搏(はばた)く「イロナのチャールダーシュ」。伝承の調べで飾り、もの悲しさで相和(あいわ)す「プスタの娘達」。望郷の想いを呟(つぶや)き、大きく伸び上がって、光明を見出す「忘れな草」。尽きぬ思い吐き出し、月影の小舟で波間を漂う「グラナダ」。悲しみを編み上げ、代わる代わる煌めきを分かち合う「シルヴァの歌」。まろやかで柔和に息吹を絡め合わせる「生まれ故郷の歌」。声だけでなく、身振りや踊りまで加えて、"歌うこと″の楽しさを存分に聞かせました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてアンコールが2曲。テノールとバリトンで「オー・ソレ・ミヨ」、全員が揃って「ふるさと」。しっとりとした終演となりました。
日本とスロヴァキアの友好を繋ぐこの催しが20年も続き、今後も更に継続されていくことに期待を込めて、喜ばしい気分で家路を急ぎました。
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スロヴァキア国立放送交響楽団 《三大交響曲》

2018年6月26日(火) 19:00 新潟県民会館大ホール スロヴァキア国立放送交響楽団 《三大交響曲》

交響曲第7番「未完成」/シューベルト
交響曲第5番「運命」/ベートーヴェン
交響曲第9番「新世界より」/ドヴォルザーク

スロヴァキア国立放送交響楽団
マリオ・コシック(指揮)

弥彦山へ登り、だいろの湯で汗を流して(実は休日の日を間違えていたことが後で判明)、一旦帰宅し、少し休憩し、夕食を摂ってから、県民会館へ。開演30分前に到着。
感想は、「『運命』『未完成』『新世界から』を一挙に聞ける幸運を喜ぶ」です。
まずはシューベルトの「交響曲第7番『未完成』」から。地の底から響く翳りを背に、木の葉のよそぎが騒(ざわ)めき、物悲しく引かれる光の筆跡(ふであと)が胸を締め付け、小刻みに揺れる波間を模して、一瞬の閃光が辺りを照らし出すアレグロ。温かな床の上に、優しく敷かれる羽毛の柔らかさで包み、ゆったりと歩み出すと、流れ出る水が細やかに崩れ、影を呼び込んで、悲しみを映すアンダンテ。味わい深い旋律が心を蕩(とろ)かしました。続いてベートーヴェンの「交響曲第5番『運命』」。足早に鼓動を伝え、畳みかるように胸騒ぎを掻き立て、必死の形相(ぎょうそう)で懸命に力闘する第1楽章。穏やかに安らぎを演じ、願うように白い光沢で飾る第2楽章。密(ひそ)やかに忍び寄り、つま先立ちで近寄ると、一転不器用な足取りで踊り出し、胸に秘めた想いを叩き付ける第3楽章。天辺(てっぺん)へ登り詰め、喜びを炸裂させて、ふわりと舞い上がり、勢いを付けて、人生の舞台を駆け抜ける第4楽章。アツい想いを凝縮して作られた音楽を、丁寧に力強く、現世(げんせ)へ解凍しました。
休憩を挟んで後半はドヴォルザークの「交響曲第9番『新世界より』」。遥かな故郷への恋慕をゆったりと枯葉色に塗り込めるアダージョから、溢れんばかりの侠気(きょうぎ)を漲(みなぎ)らせて、歯切れよく鮮明に闘いに臨(のぞ)むアレグロ。夕陽に沈む草原を郷愁で塗り分けて、そこはかとない切なさで彩り、愁いの調べで咽(むせ)び泣くと、木々の葉が揺れ、鳥たちが囀(さえず)って、谷間の夕暮れを映し出すラルゴ。激しく奮(ふる)い立ち、切迫した息遣(いきづか)いで走り出すと、飄々(ひょうひょう)と円舞し、長閑(のどか)に振舞って、再び突進するスケルツォ。勇気を込めて扉を開け、栄冠を掲げて、すっくと立ち、過ぎし日を思い描いて、篝火(かがりび)を灯(とも)し、困難へ分け入って、勝利を捥(も)ぎ取り、回想に身を委(ゆだ)ねて、静かな安寧(あんねい)に身を任せるフィナーレ。新しい洗練で、懐かしい情景を再構築し、素晴らしい情景を映し出しました。
会場からは大きな拍手が送られ、それに応えてのアンコールは同じくドヴォルザークの「スラブ舞曲第4番」。愉し気に盛り立てて、にぎにぎしく終演となりました。
よく知られた名曲を一度に楽しめるこのコンサートが聴衆の心に音楽の素晴らしさを伝え、さらに盛り上がって行くことに期待を込めて、爽やかな気分で家路を急ぎました。

新潟交響楽団第101回定期演奏会

2018年6月24日(日) 14:00 新潟県民会館大ホール 新潟交響楽団第101回定期演奏会

ウェーバーの主題による交響的変容/ヒンデミット
クラリネット協奏曲第1番 へ短調 Op.73(J.114)/ウェーバー
交響曲第3番 変ホ長調 『英雄』Op.55/ベートーヴェン

日比野裕幸(Cl)
新潟交響楽団
伊藤翔(指揮)

10km走って、昼食を摂り、少し休憩してから、県民会館へ。開演25分前に到着。
感想は、「かっちりとしたドイツ音楽と正面から向き合い、懸命に力闘する姿に感銘を受ける」です。
まずはヒンデミットの「ウェーバーの主題による交響的変容」。重い身体(からだ)を持て余し気味に、繁茂する夏草を掻き分け、光沢のある表皮(ひょうひ)で飾って、物々(ものもの)しく前へ進むアレグロ。立ち昇る竈(かまど)の煙を背に、細く長い息吹を発光させ、様々に彩りを入れ替えて、機械仕掛けの楼閣へ登り詰める「トゥーランドット」。柿色の悲しみを映し、夕暮れの寂しさを描いて、ゆったりと揺れるアンダンティーノ。颯爽と輝きを放ち、全身をユサユサと震わせて、時折過ぎる閃光と共に、勝利へと突き進むマーチ。入り組んだ繊維を丹念に解きほぐして、秘められた魅力を解き放ちました。続いてはソリストが登場し、ウェーバーの「クラリネット協奏曲第1番」。軽やかな風が吹き抜ける中、耀ける光の帯が自在に突き抜け、細(こま)やかに絡み合う第1楽章。柔らかで優しい艶めきが穏やかに流れ、乳白色のまろやかさで極上の味わいを認(したた)める第2楽章。明るい泡立ちが溢れ出て、響きの雲間を擦り抜け、軽快に力強く、頂きへ駆け上がる第3楽章。引き締まった爽やかさで、鮮やかに協奏を演じました。聴衆からの拍手が鳴り止まず、それに応えてのソリスト・アンコールは前衛風に味付けされた「荒城の月」。客席の熱狂をしめやかに納めました。
休憩を挟んで後半はベートーヴェンの「交響曲第3番『英雄』」。輝きを叩き付けて、素早く濃厚に滑り出し、勢いよく走り抜け、周りを巻き込んで、巨大な山脈を形成し、一致団結して、大河へなだれ込むアレグロ。どろりと雫(しずく)を滴(した)らせ、乾いた悲哀を宿してゆっくりと歩み、淡い憧れが一条の光を熱望するも、茜差(あかねさ)す翳りが辺りを覆い、虚ろな叫びが木霊(こだま)して、遥かな青空へ消え入り、重々しく足を引き摺って、悲しみの河を渡るアダージョ。慌ただしく時を刻み、快活に弾(はず)んで、一気に清流へ飛び込むと、豊かなる太陽が光条を放ち、良く練れた細流を伴って、西の空へ沈み、烈風が草原を吹き抜けるスケルツォ。急流が勢いよく渦を巻くと、ぽつちぽつりと骨組みが動き出し、次第に肉付きを増して、その姿を現すと、滑らかに遊泳し、賑わいを集めて、晴れやかに着飾り、大らかに咆哮して、一旦身を沈め、再び躍動して、祝祭の号砲を上げるフィナーレ。音楽史に燦然と輝く傑作に全力で立ち向かい、見事に勝利を捥ぎ取りました。
会場からは大きな拍手が送られ、それに応えてのアンコールはブラームス4の「ハンガリー舞曲第10番」。騒めきを爆発させて、にぎにぎしく終演となりました。
複雑で明快なヒンデミット、清々(すがすが)しく明るいウェーバー、確固として堂々たるベートーヴェン。味わいの異なるドイツの作品を、美味しく届けて頂いたことに感謝して、快い気分で家路を急ぎました。

Ikiatari Battari na Live 2nd season June version

2018年6月20日(水) 13:30 コンチェルト Ikiatari Battari na Live 2nd season June version

第1部
 家族になろうよ/福山雅治
 ブルーム/蔦谷好位置
 ウェーブ/CARLOS
 これが恋かしら/ホフマン
 夢はひそかに/ 〃
 見上げてごらん夜の星を/いずみたく
 星に願いを/ハーライン
第2部
 HOME/アンジェラ・アキ
 ムーンリバー/マンシーニ
 煙が目に沁みる/Kern,Harback
 ミスターサンドマン/Ballard
 ベンのテーマ/シャーフ
 二人でお茶を/ユーマンス
 夢の途中/来生たかお
 三丁目の夕日/佐藤直紀
 カントリーロード/デンヴァー

川崎祥子(電子ピアノ)

ゆっくりとした休日の朝を過ごし、所用を足して、昼食を摂り、少し休憩してから、コンチェルトさんへ。開演30分前に到着。
感想は、「和やかな雰囲気で聞く電子ピアノに安らぎを頂く」です。
まずは福山雅治の「家族になろうよ」から。ゆったりと優しく、暖かな潮(うしお)が満ちました。続いてSuperflyの「ブルーム」。花びらが舞い散り、喜びが駆け抜けました。次はボサノヴァで「ウェーブ」。軽やかな涼しさを運んで、水飛沫(みずしぶき)を上げました。続けて映画「シンデレラ」から2曲。小川のせせらぎを、穏やかに伝える「これが恋かしら」。氷砂糖の甘さで、豊かに奏でる「夢はひそかに」。柔らかな響きで、辺りを包みました。さらに坂本九の「見上げてごらん夜の星を」。さざめく瞬(またた)きを届け、グラスに浮かぶ氷を溶かしました。第1部最後は「星に願いを」。懐かしさを誘(さそ)い、可愛ゆく弾(はず)んで、優雅に円舞しました。
休憩を挟んで第2部はアンジェラ・アキの「HOME」。ちょっぴりの淋しさをブレンドして、望郷の想いを呼びかけました。続いて棚にある商品のCDをひょいと摘(つま)み、そこに記載された曲順に演奏する離れ技を披露する趣向。シンプルにゴージャスな「ムーンリバー」。切なさを氷塊(ひょうかい)に乗せて差し出す「煙が目に沁みる」。明るく細やかに浮き立つ「ミスターサンドマン」。穏やかに愛を歌う「ベンのテーマ」。小粋にスキップする「二人でお茶を」。そして甘酸っぱさをトッピングした清らかさで胸に沁みる調べを届ける「夢の途中」。畳みかけるように、欠片(かけら)を繋(つな)いで、愉しさを取り揃えました。さらに映画「三丁目の夕日」のテーマ。あの頃の温もりで、ゆったりと癒しました。プログラム最後は「カントリーロード」。テンポ良く飛ばし、草原や畑を快適に歩きました。
会場からは大きな拍手が送られ、親しみと安らぎを届けてくれたピアニストを讃えました。
昼下がりのまったりとしたひとときを、快い音楽で持て成して頂いたことに感謝して、喜ばしい気分で、家路を急ぎました。

長岡交響楽団第59回定期演奏会

2018年6月17日(日) 14:00 長岡リリックホールコンサートホール 長岡交響楽団第59回定期演奏会

バレエ音楽「眠りの森の美女」作品66より/チャイコフスキー
 序奏
 ワルツ
 パ・ダクション
 第1幕の終曲
 パノラマ
 長靴をはいた猫
 終曲 アポテオーズ
交響曲第6番 ロ短調 作品74 「悲愴」/ 〃
 第1楽章 アダージョ-アレグロ・ノン・トロッポ
 第2楽章 アレグロ・コン・グラツィア
 第3楽章 アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ
 第4楽章 アダージョ・ラメントーソ

長岡交響楽団
横島勝人(指揮)

10km走って、昼食を摂り、少し休憩してから、高速を一路長岡へ。開演15分前に到着。
感想は、「渾身のチャイコフスキー・プログラムに心から感動する」です。
まずは「眠りの森の美女」から。若々しく躍動し、切れ味良く炸裂する「序奏」。豊かに湧き出し、優雅に円舞して、颯爽と滑走する「ワルツ」。霞(かずみ)立つ揺らぎが漂い、滔々(とうとう)と大河が溢れ出す「パ・ダクション」。並々と潮(うしお)が満ち満ち、ゆっくりと美しく歌い、押し寄せる波濤(はとう)が勢いを持って追い詰める「第1幕の終曲」。穏やかに漣(さざなみ)が寄り添い、まろやかに流れ、優しく波打つ「パノラマ」。忍び足で近づき、細い枝が集まって、上へ伸び上がり、軽快に飛び跳ねる「長靴をはいた猫」。華やかに光を振りまいて、堂々と入場し、大らかに響きを拡げる「終曲 アポテオーズ」。華麗で艶やかな舞踏を彩る調べを、鮮やかに描き出しました。
休憩を挟んで後半は「交響曲第6番『悲愴』」。静寂が支配する拡がりの中を、うねりながら地を這う影法師。徐々に動き出す欠片(かけら)が、やがて一つになって、大きな濁流へと生まれ変わり、互い違いに交差して、光の位相を次々に変え、速度を落として、優しく慰(なぐさ)めると、一転嵐を呼び、急(せ)き込むように雄叫びを上げ、混沌が渦巻いて、全てを遠くへと流し去った後、柔らかに暖かみを奏で、ポッと灯りを点(とも)して、第1楽章を締め括(くく)りました。続く第2楽章では、雅(みやび)やかで、不規則な足取りで踊り、丸みを帯びた喜びを映して、明るさを装うと、刻々と憂鬱の置石を積み上げ、薄衣(うすぎぬ)の裾を揺らしました。さらに第3楽章になると、ヒラヒラと羽根を羽搏(はばた)かせ、つんのめるように急ぎ足で前進し、厚みを増して膨らみ、爽やかに弾(はじ)け飛んで、溌剌とした鼓動を打ち鳴らし、寂滅(じゃくめつ)への行進を遂行(すいこう)しました。そして第4楽章。寒風が吹き荒(すさ)び、絶望が重く圧(の)し掛かり、暗雲が空を覆って、凍える寒さを運ぶと、一瞬安らぎが訪れ、大らかに包み込むも、奈落へと転げ落ちて、雲散霧消し、再び悲しみが遣って来て、じりじりと唸りを上げ、大きく渦を巻いて頂点へ駆け登り、氷点下の崖の下へ叩き込んで、静かに息を止めました。
会場を覆う静寂の中、指揮者の手がゆっくりと降ろされると、じわじわと拍手が起こり。やがて会場一杯に広がりました。
出演者全員の気迫の籠った入魂の演奏を十二分に堪能出来たことを喜び、遠路遥々高速を飛ばして来た甲斐があったことに感謝して、幸せな気分で帰路に付きました。

新潟チェロカルテット チェロ四重奏の夕べ Ⅱ

2018年6月15日(金) 19:00 新潟市民芸術文化会館スタジオA 新潟チェロカルテット チェロ四重奏の夕べ Ⅱ

即興曲 作品30/クレンゲル
四重奏曲ニ短調/マッツ
 第1楽章 Allegro
 第2楽章 Intermezzo
 第3楽章 Menuetto
 第4楽章 Assai Drammatico
 第5楽章 Finale in modo Rustio
~スクリーンミュージック メドレー~
太陽がいっぱい/ロータ
ゴットファザーのテーマ/ 〃
オブリビオン/ピアソラ
ムーンリバー/マンシーニ
ニューシネマパラダイスメドレー/モリコーネ
J.ウイリアムズメドレー/ウイリアムズ
Let it go/ロペス

宇野哲之、片野大輔、渋谷陽子、星野由美(Vc)

仕事を終えて、りゅーとぴあへ。開演35分前に到着。
感想は、「妙なるチェロの響きにうっとりと酔いしれる」です。
まずはクレンゲルの「即興曲」から。明るく暖かな光の帯が、穏やかに立ち上がり、解(ほど)けた糸がやんわりと絡み合って漂い、毅然と前を向いて歩き出すと、婚礼を祝う調べを豊かに奏でました。続いてマッツの「四重奏曲」。くっきりと晩秋の翳りを描き、ゆったりとうねりを重ね、急ぎ足で駆け出して、再び歩を緩めるアレグロ。点々と氷の粒を弾(つぶ)ませ、二重(ふたえ)の筋(すじ)を揺蕩(たゆた)わせて、微かな愁いで染めるインテルメツォ。枯葉色の憂愁で揺れ、互いに追いかけ合いながら、木漏れ日の中を足早に駆け抜けるメヌエット。黒々とした墨痕(ぼっこん)で認(したた)め、緩やかに、たっぷりと絡み合うアッサイ・ドラマティコ。勢いよく走り出し、鮮やかに騎乗して、蹄(ひづめ)の音も軽やかに、きっちりと鞭(むち)を入れて、拍車を掛けるフィナーレ。4本の低弦が、その雄姿を余すところなく披露して、素晴らしい四重奏を演じました。
休憩を挟んで後半は"~スクリーンミュージック メドレー~"。最初はプログラムに無い「20世紀フォックスのオープニングテーマ」で幕を開け、続けてアラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」。甘く切ない香りで誘(さそ)い、蕩(とろ)けるような果汁(かじゅう)で彩って、聴衆を魅了しました。次はマーロン・ブランドやアル・パッチーノが出演した「ゴットファザーのテーマ」。蒸留酒のコクを匂わせて円舞し、つま先立ちで影を重ねました。さらにマルチェロ・マズトロヤンニ主演で日本未公開の「エンリコ四世」から「オブリビオン」。気怠く煙る午後のひとときを映し、淡い哀しみで裏打ちして、ゆっくりと揺らぎました。そしてオードリー・ヘップバーン主演の「ティファニーで朝食を」から「ムーンリバー」。夜明けの水面(みなも)に朝霧が掛かり、遥かなる憧れを歌って、幾重にも連なる波間に船を漕ぎ出しました。続いてエンリオ・モリコーネの「ニューシネマパラダイスメドレー」。軽やかに喜びを奏で、ゆったりと耀きを模して、光差す郷愁で彩りました。ここで"大作"、「J.ウイリアムズメドレー」。不思議な薫りを漂わせ、現身(うつしみ)を立ち上げる「ハリーポッター」。勇猛果敢に撃ち進む「インディー・ジョーンズ」。緩やかに細く舞い上がる「E・T」。力を込めて前進する「スーパーマン」。切なさを胸に、夕陽を浴び、輝きを放って、大空を行く「スターウォーズ」。夢幻の表象を大らかに描き出しました。プログラム最後はディズニーの「アナと雪の女王」から「Let it go」。真っ赤な唇で呟き、独り言のように願いを綴って、一直線に高みへと駆け上がりました。
会場からは大きな拍手が送られ、それに応えてのアンコールは日本映画から「男はつらいよ」。ほっこりと懐かしさを伝え、ほのぼのとした終演となりました。
低弦の四重奏が織り成す香り高い秀演に心を奪われて過ごすひとときを頂けたことに感謝して、喜ばしい気分で家路を急ぎました。

第77回新潟室内合奏団演奏会

2018年6月9日(土) 18:45 新潟市音楽文化会館 第77回新潟室内合奏団演奏会

交響曲第38番「プラハ」ニ長調 K.504/モーツァルト
 第1楽章:アダージョ-アレグロ
 第2楽章:アンダンテ
 第3楽章:フィナーレ:プレスト
ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54/シューマン
 第1楽章:アレグロ・アフェトオーソ
 第2楽章:インテルメッツォ:アンダンティーノ・グラチオーソ
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ
交響曲第4番 変ロ長調 Op.60/ベートーヴェン
 第1楽章:アダージョ-アレグロ・ヴィヴァーチェ
 第2楽章:アダージョ
 第3楽章:メヌエット:アレグロ・ヴィヴァーチェ
 第4楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ

小黒秀星(Pf)
新潟室内合奏団
喜古恵理香(指揮)

仕事を終えて、音楽文化会館へ。開演20分前に到着。
感想は、「自然体で奏でられる魅惑の調べに酔いしれる」です。
まずはモーツァルト「交響曲第38番『プラハ』」。淡く立ち昇る影が、薄衣(うすぎぬ)を纏(まと)って包み込むと、一転軽やかに駆け出し、しなやかに弾(はず)んで、優雅な光沢で彩る第1楽章。ゆっくりと柔らかに歩を進め、時折差し込む翳りを宿しつつ、豊かなる実りを響かせる第2楽章。疾風に乗って、時を刻み、遥かなる希望に胸を高鳴らせ、快い気流を受けて、一気に駆け抜ける第3楽章。響きの豊穣と内包する喜びを生きいきと解放しました。続いてソリストが登場し、シューマンの「ピアノ協奏曲」。一瞬の耀きの後、切なげな呟きが水嵩(みずかさ)を増し、潮がいっぱいに満ち満ちて、瑞々しさを育(はぐく)むアレグロ。穏やかに、落ち着きを取り戻し、白金(しろがね)の安らぎを伝えるインテルメッツォ。薄っすらと日の出の予兆が見え隠れすると、嬉しさが満開に咲き誇り、まろやかに煌めきを撒き散らして、しっかりと栄光を勝ち取るフィナーレ。独奏と管弦楽が一体となって、素晴らしい協奏を演じました。
鳴り止まぬ拍手に応えてのソリスト・アンコールは「トロイメライ」。美しい音色(ねいろ)で、冷めやらぬ興奮を鎮めました。
休憩を挟んで後半はベートーヴェンの「交響曲第4番」。茫洋(ぼうよう)たる霧が立ち込める中、こっそりと忍び足で近づき、一呼吸置いて、鋭く圧倒すると、切れ味よく陰翳を付け、大きく振幅を拡げて、全力で突っ走る第1楽章。緩やかに温もりを添えて歩き出し、確固とした足取りで、滑らかな光の帯を引き連れて、安らかに揺らぐ第2楽章。沸き立つ気持ちを隠そうともせず、元気よく跳ね廻り、うねりに身を任せて、心に灯りを点す第3楽章。細やかに足並みを揃え、要所要所で楔(くさび)を打ち込んで、軽快に滑空し、生い茂る森の中へ果敢に攻め入る第4楽章。清新なる響きの建造物を力を結集して築き上げ、見事なる仕上がりに仕立て上げました。
会場は喝采で満ち溢れ、それに応えてのアンコールは「悲愴」ソナタの第2楽章(弦楽合奏版)。心に沁みる調べを伝えて、しっとりとした終演となりました。
小規模な編成の強みを生かしたプログラムで、力まず、ナチュラルな秀演を聞かせて頂いたことに感謝して、喜ばしい気分で、家路を急ぎました。

竹心 環太平洋コンサートシリーズ in 新潟

2018年6月7日(木) 18:30 青陵ホール 竹心 環太平洋コンサートシリーズ in 新潟

第一部 箏・三絃(日本)
1.さくら~主題と変奏~/武藤祥圃
2.六段調/八橋検校
3.花想歌三題/武藤祥圃
4.さらし/深草検校
5.初夏の印象/中能島欣一
 武藤祥圃
 樋口千清代
 筝曲松濤會
  武藤岡紫圃、川口岡美咲圃、井上千夏
第二部 尺八・舞踊(米国)
 1.夜明け/古賀将之
 2.アメイジンググレイス/Newton
 3.さくら/古賀将之 編
 4.六段調/八橋検校
 5.赤とんぼ/山田耕筰
  古賀将之
  JMI Performing Group
   John Takeshi Morris,Jordan Simmons,Tim Hamano,Stuart Goodnick
   Jim Behrends, Rick kruse,Brian Kahrs,Anna Zoztek
  小椋蘭香(舞踊)
 6.尺八によるインプロビゼーション1
 7.鹿の遠音/琴古流尺八本曲
8.尺八によるインプロビゼーション2
  古賀将之
第三部 尺八と箏によるインプロビゼーション(即興)
  古賀将之(尺八)
  武藤祥圃(箏)

仕事を終えて、みなとトンネルを抜け、海岸道路を一路青陵ホールへ。開演15分前に到着。
感想は、「箏と尺八が織り成す和の饗宴が、洋の東西を超えて響き合う様に聞き入る」です。
日本勢の箏・三弦による第一部は、箏五面での「さくら~主題と変奏~」から。花びらが舞い散り、枝を揺らす一陣の風が過ぎ、低くうねる波頭が地を這い、錦糸が上を飾って、飛沫(しぶき)を巻き上げました。続いて箏一面で八橋検校の「六段調」。張り詰めた雨粒(あまつぶ)が、ゆっくりと弾(はじ)け、やがて勢いを増して、繊毛(せんもう)を編み上げ、銀の雫(しずく)を迸(ほとばし)らせました。次は箏と歌で「花想歌三題」。足早に春の麗(うら)らかさを愛(め)で、柔らかい響きの帯がまろやかに漂(ただよ)って、茨(いばら)の棘(とげ)を光らせる「つぼすみれ」。ゆっくりと艶(つや)めいて、よろめく吐息で誘(さそ)い、はらはらと舞い落ちる「牡丹」。細やかな波立ちを纏(まと)い、少し物悲しく、行く雲を見送り、淡い余韻を儚(はかな)く揺らす「大和撫子」。長く伸びる歌と、瞬間を切り取る箏が相和(あいわ)して、美しさの極みを作り上げました。さらに箏三面と三絃一棹による深草検校の「さらし」。澱(よど)みなく溢れ出す大河を、競うように照らす光の粒が飛び交い、耀きを乱舞させて、我先に飛沫(しぶき)を上げ、金糸の織物を縫い上げました。第一部最後は箏二面で中能島欣一の「初夏の印象」。ゆったりと穏やかに絡み合い、敷石を間隔を開けて置く上を、煌めきが爆(は)ぜて飾り、高く低く滑空して、ふんわりと包むと、一転鋭く跳ね、細やかに寄り添い、抑えめの華やかさで、速度を上げて駆け抜けました。
休憩を挟んで第二部は米国からの賓客(ひんきゃく)が織り成す尺八の奏で。まずは古賀将之の「夜明け」から。朝霧が立ち込め、陽光が照り映えて、湧き出す雲が幾重にも重なりました。続いて「アメイジンググレイス」。遥かなる峡谷(きょうこく)に鳴り渡る木霊(こだま)が憧れを誘(いざな)い、甘やかな想いで満たしました。次は日本古謡を編曲した「さくら」。霞立(かすみた)つ響きが大らかに揺らぎ、真っ直ぐな息吹に蛇行して並走し、ひらりと降り立って、淡紅色の彩りを綴りました。さらに尺八による「六段調」。吹き過ぎる木枯らしが、やがて巻き上がって、鋭い切っ先となり、灰色の刃(やいば)で交差し、集合離散しました。JMI Groupの最後は「赤とんぼ」。素朴な音色(ねいろ)が、淋しさを沸き立たせ、夕暮れの寂寥をじんわりと滲ませました。
ここで尺八のソロで3曲。一つ目のインプロビゼーションでは、深山の谷間に響く猿声(えんせい)がもの悲しさを惹き立て、湿り気の多い暖かさで子守唄を唄って、長き吊り橋へと足を踏み出し、散り散りに裂けた破片を撒き散らしました。続いて「鹿の遠音」。くっきりと足跡を刻み、掠れの有る筆跡(ひっせき)で認(したた)め、螺旋(らせん)を描いて、彼方へとその身を投げ撃ちました。このパート最後は2度目のインプロビゼーション。広大な草原に立ち、濃淡を際立たせて、流れを制し、哀しみを滲ませて、穏やかに佇(たたず)みました。
そして間を開けずに始まった第三部は「尺八と箏によるインプロビゼーション」。弾(はじ)け飛ぶ漣(さざなみ)を受けて立つ長い息吹。柔と剛とのぶつかり合いが熱を帯び、乱れが層を成して、うず高く積み上がり、雲間に見え隠れする稲妻の耀きが漏れ聞こえて、反撃の狼煙(のろし)が高鳴りました。
会場からは大きな拍手が送られ、丁々発止の即興の出来栄えを讃えました。
日米で、日本古来の音楽への研鑽の成果を交わし合い、より友好を深めたことを確認して、暖かな心持ちで家路を急ぎました。

白と黒 ピアノ+チェンバロ 二つの鍵盤楽器の和

2018年6月1日(金) 14:00 新潟市民芸術文化会館スタジオA 白と黒 ピアノ+チェンバロ 二つの鍵盤楽器の和

ピアノ・ソナタ ハ長調 K.545より第1楽章/モーツァルト グリーグによる2台ピアノ編
タンドルマン イ短調/ジュミニアーニ
巡礼の年 第1年「スイス」より ウィリアム・テルの大聖堂/リスト
ピアノ協奏曲第11番 ニ長調 Hob.ⅩⅤⅢ-Ⅱより第3楽章/ハイドン
火祭りの踊り/ファリャ
オブリヴィオン/ピアソラ
チェンバロとフォルテピアノのためのタンゴ/平林朝子
2台のチェンバロのための組曲 ハ短調 HWV446/ヘンデル
 Allemande-Couranre-Sarabande-Chaconne
クラヴサン・コンセール 第5番/ラモー
 La Forqueray-La Cupis-La Marais
小組曲/ドビュッシー
 En Bateau-Cortege-Menuet-Ballet

品田真彦(Pf)
笠原恒則(Cemb)

一旦りゅーとぴあを離れ、コンチェルトさんへ寄ってから、昼食を摂り、県民会館の資料室で雑誌を拝読した後、再びりゅーとぴあのスタジオAへ。開演30分前に到着。
感想は、「前代未聞の組み合わせによる上質で美しい奏でを味わう」です。
まずはグリーグによる2台ピアノへの編曲のモーツァルト「ピアノ・ソナタ ハ長調」。明るく軽快な調べが涼しさと暖かさの対比で彩られ、哀しみを見え隠れさせて、優しく包みました。続いてチェンバロ独奏でジュミニアーニの「タンドルマン」。銀色の葉脈(ようみゃく)を編み上げ、淡雪(あわゆき)の欠片(かけら)を、ふわふわと舞い散らせました。次はピアノ独奏でリストの「巡礼の年 第1年『スイス』」より「ウィリアム・テルの大聖堂」。堂々とした足取りで鳴り渡る鐘を模し、絢爛たる響きで確固とした歩みを記(しる)しました。デュオに戻りハイドンの「ピアノ協奏曲第11番」。明快で愉悦を運ぶ急流が弾(はず)み、渦を巻いて前進し、翳りを寄り添わせて、競い合いを演じました。ここで小品を二つ。ファリャの「火祭りの踊り」では、導火線に点火して、炎を揺らし、悩ましく魅惑の香りを匂わせて、民衆の熱気を描き出すと、ピアソラの「オブリヴィオン」では、憂愁を熾火(おきび)で蒸(む)らせ、気怠さを漂わせて、切なさを焙(あぶ)り出しました。前半最後は今日の為に作曲者から楽譜を取り寄せた平林朝子の「チェンバロとフォルテピアノのためのタンゴ」。溜めを効かせてステップを踏み、酸味を含む甘さで彩って、畳みかけるように追い詰めて、速(すみ)やかに歩みを加速しました。
休憩を挟んで後半はヘンデルの「2台のチェンバロのための組曲」。もの悲しさを宿す光で照らし、細やかに縫い上げて、淡々と綴るアルマンド。足早に乾きを癒し、交互に彩りを移して、鮮やかに世界を二分(にぶん)するクラント。ゆっくりと落ち着いて、微(かす)かな影を交わし合うサラバンド。寂しさを分け合い、悲しみを交差させるシャコンヌ。掛け合いを楽しみ、相違を際立たせました。続いてはラモーの「クラヴサン・コンセール 第5番」。曇り空から差し込む灯(あか)りが時を刻み、遠くで鳴く鳥に聞き耳を立てるフォルクレ。ゆっくりと揺蕩(たゆた)い、ぽたりと雫(しずく)を落とすキュピ。喜びを一杯に飛び跳ね、霧雨(きりさめ)に煙(けむ)るマレー。洒落た装いで軽やかに着飾りました。プログラム最後はドビュッシーの「小組曲」。優雅に水を掻き、戯れに魔法を掛ける「小舟にて」。伸び伸びと飛翔し、ひらひらと花びらを散らす「行列」。枯葉舞う淋しさに、淡い懐かしさを紛れ込ませ、心地良い微睡(まどろ)みを誘(さそ)う「メヌエット」。快活に無邪気さを溢れさせ、水溜まりで飛沫(しぶき)を上げて、一気に加速する「バレエ」。透き通る軽さを、鮮明に写し取って、彩り溢れる風景を点描しました。
会場からは大きな拍手が送られ、それに応えてのアンコールはフォーレの組曲「ドリー」から「子守歌」。繊細なチェンバロを温かいピアノが包んで、ほんのりとした終演となりました。
ピアノとチェンバロの共演というレアな組み合わせを、奇跡のバランスで成功させた手腕に驚き、溢れる歌心とアツい想いを十二分に感じて、喜ばしい気分で、家路を急ぎました。

りゅーとぴあ1コインコンサート vol.96 柔らかな音色“ユーフォニアム”

2018年6月1日(金) 11:30 新潟市民芸術文化会館コンサートホール りゅーとぴあ1コインコンサート vol.96 柔らかな音色“ユーフォニアム”
二つの夢 "ユーフォニアム・カプリチオーソ"/真島俊夫
「4つの小品」/ブリッジ リューディ編
 第1番 瞑想曲
 第2番 春の歌
 第3番 子守歌
 第4番 カントリーダンス
「タンゴの歴史」より カフェ1930/ピアソラ
マドリガル/グラナドス リューディ編
歌劇「カルメン」より 花の歌/ビゼー
パントマイム/スパーク

佐藤采香(Euph)
塚本芙美香(Pf)

ゆっくりとした休日の午前を過ごし、身支度をして、りゅーとぴあへ。開演40分前に到着。
感想は、「豊かなユーフォニアムの響きを楽しむ」です。
まずは真島俊夫の「二つの夢 "ユーフォニアム・カプリチオーソ"」から。煌めきの敷石が敷かれ、ゆったりと浪漫の香りを匂わすと、足早に駆け出し、心躍らすように歌って、曲線の軌道を滑走しました。続いてブリッジの「4つの小品」。ゆっくりと優しく奏で、夢見るように包む「瞑想曲」。勢いよく田園を駆け抜け、明るく照らす「春の歌」。ゆっくりと快く流れ、穏やかな休息へと誘(いざな)う「子守歌」。元気よく弾(はず)み、コロコロと珠を転がす「カントリーダンス」。多彩な表情で色付けました。次はピアソラの「タンゴの歴史」より「カフェ1930」。愁いを帯びた気配を漂わせ、気怠(けだる)く過ぎる午後のひとときを映し、日差しが作る翳りの筆跡を記(しる)して、暗褐色の希望を綴りました。ここでスペインに関する曲を2つ。グラナドスの「マドリガル」を、晴れ渡る地中海の青さで写し、響きの器に旋律の糸を拡げました。さらにビゼーの「歌劇『カルメン』」より「花の歌}では、忍び寄る影に気付かぬふりをして、まっすぐな想いを柔らかく、切なさを宿した美しさで描きました。プログラム最後はユーフォニアムのオリジナル曲でスパークの「パントマイム」。緩やかに歩み出し、まろやかに広がって揺らすと、快い調子を持って走り出し、透き通る耀きで満たして、鮮やかに着地しました。
会場からは大きな拍手が送られ、それに応えてのアンコールは同じくスパークの「イナの歌」。穏やかに切なさを奏でて、しっとりとした終演となりました。
普段なかなか聞けないユーフォニアムの音色(ねいろ)と素晴らしい演奏を十二分に堪能できたことに感謝して、会場を後にしました。