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新潟メモリアルオーケストラ第29回定期演奏会

2019年9月29日(日) 14:00 新潟市民芸術文化会館コンサートホール 新潟メモリアルオーケストラ第29回定期演奏会

ロビーコンサート
 トランペット六重奏
  イギリス組曲/クラーク
 フルート&クラリネット四重奏
  Over the rainbow/アーレン
 ホルン四重奏
  Bayrischer Landler/作者不詳
 木管五重奏
  映画「ハウルの動く城」より/木村弓、久石譲 丸山和範編
 弦楽四重奏
  弦楽四重奏曲第14番 第7楽章/ベートーヴェン

幻想序曲「ロメオとジュリエット」/チャイコフスキー
交響曲第7番 ハ長調/シベリウス
交響曲第4番「不滅」/ニールセン
 Allegro-Poco allegretto-Poco adagio quasi andante-Allegro

新潟メモリアルオーケストラ
工藤俊幸(指揮)

朝食を済ませ、9月のまとめと10月の予定を作成し、昼食を摂って、りゅーとぴあへ。開演1時間10分前に到着。
感想は「露西亜と北欧の難曲に挑み、見事な結果を残す昔の仲間達に大きな感動を頂く」です。
まずは開演前のロビーコンサートから。1番手はトランペット六重奏でクラークの「イギリス組曲」。晴れやかに弾(はず)み、輝きで祝す第1曲。ゆったりと穏やかに安らぎを重ねる第2曲。堂々とした威容で喜びを表す第3曲。華やかに冒頭を飾りました。続いてフルート&クラリネット四重奏で映画「オズの魔法使い」から「Over the rainbow」。爽やかな水色の風を吹かせ、柔らかくも軽快に弾(はず)んで、快い調べを届けました。次はホルン四重奏で「Bayrischer Landler」。まろやかに刻み、豊かに響かせて、耀きで円舞しました。4番目は木管五重奏で「映画『ハウルの動く城』」より。どこか懐かしい哀愁を香らせ、小粋に舞い踊って、遥かなる山並みを遠くに見つめました。ロビーコンサート最後は弦楽四重奏でベートーヴェン「第14番」から第7楽章。迫り来る運命(さだめ)の昏(くら)き影を纏(まと)い、強く細やかに刻んで、眥(まなじり)を決し、剣(つるぎ)を交わしました。
席へ戻り、開演までの時間をやり過ごして、本篇最初はチャイコフスキーの「幻想序曲『ロメオとジュリエット』」。日が陰り、寒風吹き荒(すさ)ぶ中、暖炉の炎が揺れる居間の片隅で、敬虔な祈りを捧げ、濃厚な味わいの安らぎで包み、爽やかな秋空が覗いて、ひとときの安寧を過ごすも、やがて闘いの時が訪れ、剣劇の響きが高鳴って、稲妻が辺りを切り裂き、足早に追い上げて、懸命に駆け抜け、やっとの思いで安住の地へ辿り着き、力尽きて、倒れ込みました。
続いてシベリウスの「交響曲第7番」。ゆっくりと動き出し、灰色の衣を纏(まと)って、涼やかに微風(そよかぜ)が頬を撫で、溢れ出る光を放つ溶岩が湧き出して、七色に変化する極光が棚引き、大らかに癒すと、忙(せわ)しげに刻み、小さな渦を巻いて、海流が音を立て、水面(みなも)一杯に金色(こんじき)の波が広がり、幾重にも重なって、来たるべき日の出を待ち、満ち溢れる耀きを享受して、雲間から差し込む光の階梯(かいてい)を登りました。
休憩を挟んで後半はニールセンの「交響曲第4番『不滅』」。雷鳴轟く荒海に波濤が砕け散り、閃光が曇り空を走って、多数の軍勢が攻め入り、肉弾入り乱れると、一時(いっとき)の穏やかさを味わい、涼やかに潮(しお)が満ちて、波間を漂うと、小さな栗鼠(りす)が枝を飛び交い、不穏(ふおん)な風に震え、溢れ出(い)でる暗き耀きを受け止め、冷たい水流を浴びて、包み込む混沌に身を任せるアレグロ。湧き出(い)でる水泡がころころと転がり、異なる彩りの息吹が、連綿と繋がり、遥かなる山の稜線を伝って、太く長く息を紡ぐポコ・アレグレット。ひんやりと伸びる帆布(はんぷ)が地表を覆(おお)い、時折の落雷が重く響いて、静謐な時を破り、所々(ところどころ)で微光を放つ繊毛が蔓延(はびこ)って、徐々に坂道を登り詰め、忍び寄る影に怯(おび)え、突如として鳴り響く警告に耳を塞(ふさ)ぎ、金色(きんいろ)の厚い雲が覆い被さると、満ち満ちる熱気が辺りを取り巻いて、嶮(けわ)しい山道を突き進むポコ・アダージョ~クワジ・アンダンテ。鋭く切り込む電撃が鳴り渡り、波立つ岸辺にすっくと立って、荒れ狂う風雪に対峙し、圧倒するような光の塊(かたまり)を投げ付けて、大いなる大地を踏み締め、低く身を構えて、雷鳴を乱打し、急峻な山並みを踏破する二度目のアレグロ。厳しい冬の海に繰り広げられる壮絶な決戦を描き出しました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールはシベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」。穏やかな安らぎを届けて、賑々しく終演となりました。
ここ新潟ではなかなか聞けない難曲を見事な仕上がりで届けて頂いたことに感謝して、喜ばしい気分で家路を急ぎました。
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渡辺梨乃フルートリサイタル

2019年9月28日(土) 14:00 だいしホール 渡辺梨乃フルートリサイタル

フルートと管弦楽のためのアンダンテ/モーツァルト
フルートとピアノのためのカンタービレとプレスト/エネスコ
管弦楽のための「アルルの女」第2組曲よりメヌエット/ビゼー
フルートとピアノのための「リゴレット」による華麗なファンタジー OP.335
/ポップ
無伴奏フルートのためのシランクス/ドビュッシー
フルートとピアノのための後悔と決心/ショッカー
フルートとピアノのためのアンダンテ Op.33/ベーム
フルートとピアノのための「魔弾の射手」によるファンタジー/タファネル

渡辺梨乃(Fl)
成田有花(Pf)

10km走って、昼食を摂ってから、だいしホールへ。開演30分前に到着。
感想は、「鮮やかな腕前と豊かな音楽性を十二分に堪能する」です。
まずはモーツァルトの「フルートと管弦楽のためのアンダンテ」から。暖かく柔らかな微風(そよかぜ)が頬(ほお)を撫で、穏やかで爽やかに流れを形作って、通り過ぎる翳りを横目で眺め、ふわふわと滑るように浮遊し、高らかに駆け上がって、軽やかに羽毛を舞い散らせました。
続いてエネスコの「カンタービレとプレスト」。春爛漫のお花畑に、綿毛が乱舞し、温もりを揺らして、青空に光が舞い飛び、幾重にも旋回しながら、急降下して、高鳴る羽音を響かせました。
次はビゼーの「『アルルの女』第2組曲」より「メヌエット」。ゆったりと優しく慰(なぐさ)め、快い安らぎを伝えて、光の扉を大きく開き、匂い立つ花の香りをたっぷりと届けました。
前半最後はポップの「『リゴレット』による華麗なファンタジー」。哀しみ滲ませた喜びが立ち上がり、坂道を駆け登って、嬉しそうに闊歩(かっぽ)し、沸き立つ日差しの中を、足早に駆け抜けて、爽やかな輝きを放ち、打ち付ける不安の影をするりと抜け出して、揺れる小舟に乗り移り、晴れやかな海原へ誇らしげに漕ぎ出し、打ち寄せる波濤を素早く乗り切って、鮮やかに着地しました。
休憩を挟んで後半は無伴奏でドビュッシーの「シランクス」。冷ややかな肌触りで認(したた)め、温かく膨らませて、細やかに揺れ、その場の熱をあっけなく奪って、儚(はかな)げに消え入りました。
続いてショッカーの「後悔と決心」。ゆっくりと涼やかに伸びる流星の尾が棚引き、速度を落として蛇行すると、煌めきを放ち、速歩(はやあし)で走り出して、急(せ)かすように弾(はず)み、縦横無尽に駆け巡って、水面(みなも)を波立たせ、穏やかに舞い降りました。
次はベームの「フルートとピアノのためのアンダンテ」。なだらかな丘を下り降り、甘やかな涼しさを運んで、天空へ舞い上がり、しなやかに降下して、筋雲(すじぐも)を擦り抜けました。
プログラム最後はタファネルの「『魔弾の射手』によるファンタジー」。迫り来る運命(さだめ)を振り切り、光差す場所へ抜け出して、明るく晴れやかな秋空を謳歌し、ゆっくりと優しく歩みを進め、速度を上げて羽搏(はばた)き、溢れ出る浪漫の薫りを匂い立たせて、軽やかに飛翔し、楽しげに舞い踊って、急ぎ足で立ち去りました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは朝ドラの「あすか」のテーマ曲「風笛」。まろやかで柔らかに歌って、賑々しく終演となりました。
中央で活躍するプレイヤーが故郷のリサイタルを、素晴らしいピアニストと共に、見事な仕上がりで、聴衆に届けて頂いたことに感謝して、喜ばしい気分で、家路を急ぎました。

りゅーとぴあ Best Selection 2019 第2回 エリック・ル・サージュ ピアノ・リサイタル

2019年9月26日(木) 19:00 新潟市民芸術文化会館コンサートホール りゅーとぴあ Best Selection 2019 第2回 エリック・ル・サージュ ピアノ・リサイタル

子供の情景 Op.15/シューマン
 第1曲 見知らぬ国と人々 第8曲  炉端で
 第2曲 珍しいお話   第9曲  木馬の騎士
 第3曲 鬼ごっこ    第10曲 むきになって
 第4曲 おねだり    第11曲 おどかし
 第5曲 満足      第12曲 子供は眠る
 第6曲 重大事件    第13曲 詩人のお話
 第7曲 トロイメライ
夜想曲第6番 変ニ長調 Op.63/フォーレ
子供の領分/ドビュッシー
 第1曲 グラナドゥス・アド・パルナッスム博士
 第2曲 象の子守歌
 第3曲 人形のセレナード
 第4曲 雪は踊っている
 第5曲 小さな羊飼い
 第6曲 ゴリウォークのケークウォーク
喜びの島/ドビュッシー
謝肉祭 Op.9/シューマン
 第1曲 前口上       第11曲 キリアーナ
 第2曲 ピエロ        第12曲 ショパン
 第3曲 アルルカン     第13曲 エストレア
 第4曲 高貴なワルツ      第14曲 再会
 第5曲 オイゼビウス      第15曲 パンタロンとコロンビーヌ
 第6曲 フロレスタン      第16曲 ドイツ風ワルツ
 第7曲 コケット      第17曲 告白
 第8曲 返事        第18曲 プロムナード
 第9曲 蝶々         第19曲 休憩
 第10曲 A.S,H.S.C.H.A 踊る文字  第20曲 ペリシテ人と闘うダヴィット同盟の行進

エリック・ル・サージュ(Pf)

仕事を終えて、りゅーとぴあへ。開演30分前に到着。
感想は「しなやかで力強く美しい音楽を十二分に堪能する」です。
まずはシューマンの「子供の情景」から。柔らかく優しく美しい浪漫の彩りで飾る「見知らぬ国と人々」。薄(うっす)らと翳り帯び、熱心に物語る「珍しいお話」。晴れやかに弾(はず)み、ゆるりと揺れる「鬼ごっこ」。速歩(はやあし)で駆け巡り、しなやかに舞い踊る「おねだり」。ゆったりと水面(みなも)を揺らし、波立ちが幾重にも重なる「満足」。軽やかに跳ね回り、爽快に杭を打ち込む「重大事件」。穏やかな安らぎを誘(いざな)い、ほっとする温もり伝える「トロイメライ」。陽光に照り映え、潺(せせらぎ)に魚(さかな)が飛び跳ねる「炉端で」。翳り行く愁いを見つめ、涼やかに哀しみを綴る「木馬の騎士」。緩急を付け、鈍い煌めきを灯す「むきになって」。訥々(とつとつ)と寂しさを語り、生き生きと明るさで彩る「おどかし」。ゆっくりと慎重に歩み出し、落ち着いた輝きで照らす「子供は眠る」。大切に雨粒を揃え、丁寧に響きの小石を並べる「人のお話」。淡くまろやかに情熱を包み込み、繊細で大胆に仕上げました。
続いてフォーレの「夜想曲第6番」。葡萄色の煌めきを認(したた)め、澄んだ揺らめきを描いて、光の粒子が生まれ、翳りを纏(まと)って、穏やかに弾(はず)み、漆器の艶(つや)を塗り込めて、滑らかに滑り込み、水面(みなも)を震わせて、発光する石積みで城壁を築き上げ、穏やかに収斂(しゅうれん)しました。
つぎはドビュッシーの「子供の領分」。細やかに足並みを揃え、すらすらと駆け出して、無邪気に跳ね回る「グラナドゥス・アド・パルナッスム博士」。重心を低く構え、よろよろと歩きながら、のしのしと進んで、愉快に囃し立てる「象の子守歌」小さな花片(はなびら)が舞い散り、涼やか鼓動を打ち鳴らして、足早に飛び跳ねる「人形のセレナード」。小片が乱舞し、昏(くら)き足音が近づいて、細かく震える波頭が打ち寄せて、掻き混ぜるように渦を巻く「雪は踊っている」。軽やかに石蹴りをして、細い茎が豊かな実りを広げ、暖かな水流が冷たさを連れて来て、透き通る輝きを映し出す「小さな羊飼い」。惚(とぼ)けた顔付きで登場し、ぎこちなく蹌踉(よろ)けて、愉しげに燥(はしゃ)ぎ、行ったり来たりを繰り返して、ふと立ち止まる「ゴリウォークのケークウォーク」。澄んだ明るさを背景に、軽快で鮮やかな世界を切り開きました。
次は同じ作曲家の「喜びの島」。耀く雫(しずく)が飛び散り、連綿と絹糸を繋いで、目眩(めくるめ)く波立ちを擦り抜け、宝玉の連なりを紡いで、西風が海原を揺らして、影が光を追い込み、足元に潜んで身を隠すと、高く伸び上がって、頂点へ駆け登り、眩(まぶ)しさを一杯に解き放って、強く輝きました。
休憩を挟んで後半は、シューマンの「謝肉祭」。青春のアツさを打ち付け、浪漫の薫りを連射する「前口上」。石段を積み上げ、高い壁を築く「ピエロ」。爽やかに弾(はず)み、宝石を撒き散らす「アルルカン」。早足で刻み、ゆっくりと強く喜びを味わう「高貴なワルツ」。僅かな愁いを匂わせ、明るくも優しい寂しさを香らせる「オイゼビウス」。秋の爽快さが吹き抜け、落ち着いた切なさが絡み付く「フロレスタン」。明るい煌めきを数珠繋ぎに飾り付ける「コケット」。淡い悲しみが浮き出して、煌めく氷片がこぼれ落ちる「返事」。淋しさが澄み渡り、落ち着きを取り戻す「A.S.H.S.C.H.A 踊る文字 」。速い足取りで跳ね回り、軽快に杭を打ち込む「キリアーナ」。憂愁の風を吹かせ、哀しみが坂を駆け上がる「ショパン」。淡い清冽な波濤を描き、急ぎ足で鼓動を刻む「エストレア」。愉快に沸き立って、過ぎる影を横目で眺める「再会」。息せき切って話し、速度を上げて迫り来る「パンタロンとコロンビーヌ」。軽やかで優雅に踊り、華麗に円舞する「ドイツ風ワルツ」。速く刻み、低い姿勢から一気に加速する「告白」。夜明けの哀しさを呟(つぶや)き、涼やかに逡巡(しゅんじゅん)する「プロムナード」。翳りを纏(まと)、外套を翻(ひるがえ)して、華麗に舞う「休憩」。暗がりを徘徊し、堂々と歩み出して、闘いの火蓋を切り、激しく剣(つるぎ)を交わして、火花を散らし、高みへと登り詰める「ペリシテ人と闘うダヴィット同盟の行進」。浪漫に満ち溢れる大曲を素晴らしい仕上がりで聴衆へ届けました。
客席からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールが2曲。穏やかで優しさを秘めたシューマンの「ダビッド同盟舞曲集」より「第14番」。同じくシューマンの「ロマンス」が忍び寄る定めを映す土砂降りの雨を模し、翳りを映し出して、賑々しく終演となりました。
世界的なピアニストの極上の演奏をここ新潟で十二分に堪能できたことに感謝して、喜ばしい気分で家路を急ぎました。

井上静香 無伴奏ヴァイオリン in 蔵織

2019年9月21日(土) 19:00 ギャラリー蔵織 井上静香 無伴奏ヴァイオリン in 蔵織

無伴奏ヴァイオリンソナタ 第1番 より アダージョ/J.S.バッハ
パッサカリア/ビーバー
無伴奏ヴァイオリンソナタ 第3番「バラード」/イザイ
落梅集 ~無伴奏ヴァイオリンのために~/竹内邦光
 流離
 古謡
 激り落つ

井上静香(Vn)

仕事を終え、ギャラリー蔵織へ。開演40分前に到着。
感想は「凄まじい情熱に満ち溢れた素晴らしい無伴奏ヴァイオリンに酔いしれる」です。
まずはバッハの「無伴奏ヴァイオリンソナタ 第1番」よりアダージョ。絞り出すように、響きの豊穣が長く引き太く伸ばされ、表面を薄く覆う悲しみで彩って、幾つもの光の粒が鏤(ちりば)められ、うねるように軌跡(きせき)を描いて、永遠(とわ)に続く崇高(すうこう)な美を紡ぎ出しました。
続いてビーバーの「パッサカリア」。ゆっくりと土台を積み重ね、哀しみの糸を撚(よ)り上げ、耀く艶(つや)めきを添えて、溢れ出る揺らぎを綴り、襲い来る運命(さだめ)に抗(あらが)って、激しくも速く刻み、幾重にも折れ曲がる走路を、足早に疾走して、冷たく燃え上がる炎で飾り、飴色の波を認(したた)めました。
そしてイザイの「無伴奏ヴァイオリンソナタ 第3番『バラード』」。薄明かりの背景の下(もと)、速度を落とした灰色の翳りを纏(まと)い、寄り添う悲しみを柔らかく刻んで、勢い良く動き出し、過ぎ行く時間を高速で逆行して、深き淵へと落ち込み、心の奥底に像を結ぶ畏(おそ)れと対峙して、解(ほど)ける糸の上を、眥(まなじり)を決して綱渡りしました。
休憩を挟んで後半は竹内邦光の「落梅集」。昏(くら)くも豊かな筆跡(ふであと)を残し、幽玄な深淵へと歩を進め、高みへと駆け上って、古(いにしえ)の情景へ想いを馳せる「流離」。枯淡の味わいを伝え、九十九折(つづらお)りの山道をうねうねと登り、輝きを発して流星が尾を引き、遠くに聞こえる子守唄を背に、時を経(へ)た温もりを奏でる「古謡」。強く弱く泡立ちを伝え、まろやかに風味を熟成させて、入念に刷毛(はけ)で塗り込め、曲がりくねる坂道を登り詰めて、光差す場所へとその身を投じる「激り落つ」。本邦古来の調べに裏打ちされた新しき収穫を、凝縮された熱量で再現しました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールが2曲。山田耕筰の「この道」が安らぎを届け、ドヴォルザークの「ユーモレスク」が長閑(のどか)な懐かしさを伝えて、賑々しく演となりました。
日本のみならず世界で活躍する素晴らしいヴァイオリニストの演奏を親密な空間で十二分に堪能できたことに感謝して、喜ばしい気分で家路を急ぎました。

東京藝術大学新潟県出身者によるコンサート

2019年9月20日(金) 19:00 新潟市民芸術文化会館スタジオA 東京藝術大学新潟県出身者によるコンサート


五十鈴川/宮城道雄
 高倉七虹(箏)
演奏会用独奏曲/Pierne
 青栁里佳(Fg) 畑中南緒(Pf)
3つのロマンス 作品94より 1,3番/Schumann
 古俣友絹(Ob) 畑中南緒(Pf)
インヴェンションより8,13番/J.S.Bach
 古俣友絹(Ob) 青栁里佳(Fg)
葉がくれの花~箏とオーボエのための~/千秋次郎
春の海/宮城道雄
 古俣友絹(Ob) 高倉七虹(箏)
G線上のアリア/J.S.Bach
 古俣友絹(Ob) 高倉七虹(箏) 青栁里佳(Fg)

お彼岸のお墓参りを済ませ、10km走って、昼食を摂り、少し休憩をして、所用を片付け、コンチェルトさんへ寄ってから、りゅーとぴあへ。開演30分前に到着。
感想は「東京で音楽を学ぶうら若き乙女達の妙なる演奏に耳を傾ける」です。
まずは箏の独奏で宮城道雄の「五十鈴川」。軽やかに花片(はなびら)が舞い散り、さやさやと潺(せせらぎ)が音を立てて、足早に過ぎ去り、細やかに渦を巻いて、艶(あで)やかに揺れました。
続いてファゴットが登場し、ピエルネの「演奏会用独奏曲」。力強く硬質な響きの塊を築き上げ、主役の出番を待つと、翳りを含んだ甘やかさを宿して、満を持して登場し、一歩一歩前へ踏み出して、山道を登り、海辺へ辿り着くと、穏やかに漕ぎ出し、大らかに響きを広げ、砕け散る波濤を潜り抜けて、明るく弾(はず)みました。
前半最後はオーボエのソロでシューマンの「3つのロマンス」から2曲。ゆっくりと愁いを奏で、浪漫の薫りを匂い立たせて、切なさを絡め取る第1曲。懐旧の情に訴え、憧れを追って舞い飛び、哀しみを引き摺って、感情の波が暗く明るく、交互に往き来する第3曲。悩ましくも美しい調べを届けました。
休憩を挟んで後半はオーボエとファゴットのデュオでバッハの「インヴェンション」より2曲。朝の光を受け、悲しみを染め上げた明るさで、互いに追い掛け合い、絡み合って、階段を登り、頂きから駆け下りて、細やかな線画を描く第8番。滑らかな起伏を上下し、競い合いながら並走して、差し出された襷(たすき)を次々と繋ぐ第13番。精巧に仕掛けられた絡繰(からく)り時計をきっちりと組み上げました。
続いて箏とオーボエの二重奏で2曲。雪景色に映える柔らかな組み紐(ひも)が太く長く連なり、風に靡(なび)く薄絹(うすぎぬ)が舞い踊って、物悲しさを伴い、滑らかな曲線を空に描き出す「葉がくれの花」。陽炎(かげろう)が揺れ、暖かな日差しの下、一条の煙が棚引き、長閑(のどか)な風景に心和らぐと、ちょっと忙(せわ)しく、水飛沫(みずしぶき)を上げ、無邪気に戯(じゃ)れ合って、再び静謐(せいひつ)へと収斂(しゅうれん)する「春の海」。洋の東西を超えて、見事に調和を創り出しました。
プログラム最後は箏、オーボエとファゴットでバッハの「G線上のアリア」。ゆっくりと歩を進め、薄明かりの庭に、美しく覆(おお)いを被(かぶ)せ、絡み合う糸を鮮やかに縫い上げました。
会場からは大きな拍手が贈られ、若き乙女達の素晴らしい演奏を讃えて、賑々しく終演となりました。
同じ学び舎で研鑽を積む仲間たちが、懐かしき故郷(ふるさと)で、その成果を自信を持って披露する現場に立ち会い、心温まる想いを頂いたことに感謝して、喜ばしい気分で、家路を急ぎました。

ピアノトリオ Latte ニューアルバム「Welina」ツアー in 新潟

2019年9月19日(木) 19:30 コーヒーショップ器 ピアノトリオ Latte ニューアルバム「Welina」ツアー in 新潟

1st.set
 *****/*****
 マックス ベース オン BK/藤田圭一郎
 ダブルキッチン/*****
 地図のない旅/佐藤裕一
 愛しのアンダルシア/ 〃
 カカポ フライ カカポ/藤田圭一郎
2nd.set
 *****/*****
 *****/*****
 風のたどり着く場所/佐藤裕一
 フロンティア・ファーマー/ 〃
 カリファ/ 〃
  *曲目は聞き取りのため、不正確な場合があります。

寺西幸子(Pf,Key)
藤田圭一郎(B)
佐藤裕一(Ds)

仕事を終え、一旦帰宅して、夕食を摂ってから、コーヒーショップ器へ。開演20分前に到着。
感想は「多彩な音楽性のピアノトリオを楽しむ」です。
まずはニューアルバムから1曲。明るく開かれた光が、沸き立つリズムに乗って、晴れやかな光が、爽やかさを運び、抜けるような青空へ駆け抜けました。続いて「マックス ベース オン BK」。さりげなく歩み出し、洗練された彩りで飾って、切なさを奏でました。次は「ダブルキッチン」。陽気に弾(はず)み、軽快に飛ばして、ヒリヒリと熱い鼓動を届けました。さらに「地図のない旅」では、ゆっくりと潮(しお)が満ち、優しく風鈴を揺らして、海原(うなばら)へ漕ぎ出しました。そして「愛しのアンダルシア」では、鮮やかな夕陽を背に、憂愁の風が吹きすぎ、哀しみを綴りました。1st.set 最後は「カカポ フライ カカポ」。カラフルな装いで、羽搏(はばた)き、晴れた空へ舞い上がって、快い陶酔を誘(いざな)いました。
休憩を挟んで、2nd.setの1曲目。重く軽く畳み掛け、練乳の柔らかさを添えて、うねりを巻き起こしました。続く2曲目では、乾いた熱風が肌を刺激し、楽しげに弾(はず)んで、ゴツゴツと骨を鳴らし、柑橘の香りを匂い立たせて、勢い良く走り抜けました。次は「風のたどり着く場所」。ゆっくりと涼やかに歩を進め、楽園の安らぎを運んで、水浴する乙女達を描き出しました。さらに「フロンティア・ファーマー」では、愉快な気分で盛り上げ、無邪気に燥(はしゃ)いで、愉しげに歌いました。セットリスト最後は「カリファ」。悲しみを振り切って、煌めきを灯し、燃え上がる情熱を、天高く解き放ちました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてアンコールが、すっきりと爽やかに夢を運んで、賑々しく終演となりました。
軽やかで明るいピアノ、渋くもがっちりと下を支え、時にファンキーなベース、巧みな技をさりげなく決めて、北の大地のように大らかに包み込むドラム。素晴らしい演奏で、快いひとときを届けました。
古風なコーヒーショップで、アツく爽快なプレイを堪能できたことに感謝して、喜ばしい気分で家路を急ぎました。

東京交響楽団第115回新潟定期演奏会

2019年9月15日(日) 17:00 新潟市民芸術文化会館コンサートホール 東京交響楽団第115回新潟定期演奏会

ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調 op.15/ベートーヴェン
 Ⅰ アレグロ・コン・ブリオ
 Ⅱ ラルゴ
 Ⅲ ロンド:アレグロ
カンタータ「静かな海と楽しい航海」op.112/ 〃
交響曲 第3番 ヘ長調 op.90/ブラームス
 Ⅰ アレグロ・コン・ブリオ
 Ⅱ アンダンテ
 Ⅲ ポーコ・アレグレット
 Ⅳ アレグロ 

東京交響楽団
にいがた東響コーラス(Cho)
ライアン・ウィグルスワース(指揮&Pf)

だいしホールよりりゅーとぴあへ戻り、コンサートホールへ。開演50分前に到着。
感想は「多様性に富んだ曲目と素晴らしい演奏に明日を生きる勇気を頂く」です。
まずはベートーヴェンの「ピアノ協奏曲 第1番」。朗らかな明るさで飾り、涼やかに水飛沫(みずしぶき)を上げて、涼やかに大河に流れ込み、渦巻く波が奔流となって溢れ出すと、すっきりと優雅に舞い、脈々と湧き出る泉を伴って、さっぱりと刻み、輝く陽光を呼び覚まアレグロ。ゆっくりと穏やかに歩み、緩やかに揺蕩(たゆた)う春霞(はるがすみ)を纏(まと)って、厚く覆う雲間に氷の粒を舞い散らせるラルゴ。沸き立つ血潮を漲(みなぎ)らせ、喜びを弾(はじ)けさせて、大らかな包容力で包み込んで、内に秘めた燃え盛る熱い想いを力一杯解き放つロンド。軽やかで晴れ晴れとした爽快さを届けました。
休憩を挟んで後半は、合唱が入って、同じくベートーヴェンの「カンタータ「『静かな海と楽しい航海』」。朝靄(あさもや)がゆっくりと広がり、辺り一面を覆って、響きの星雲を造り出すと、力強く輝き出し、溢れ出す光の束を高らかに掲げました。
プログラム最後はブラームスの「交響曲 第3番」。勢い良く海原(うなばら)へ飛び込むと、大いなる波濤が満ち満ちて、浪漫の薫りを匂い立たせ、若草の爽やかさで彩り、うねりを巻き込んで、生き急ぐ心を持て余し、一旦は安らぎを取り戻すも、伸び盛る樹木(きぎ)の枝葉を繁茂させ、憂愁の翳りを抱き締める第1楽章。穏やかな草原を通り過ぎ、長閑(のどか)な田園風景を闊歩(かっぽ)して、夕暮れの寂しさを味わい、平穏な大気の中で、おおらかに揺らぐ第2楽章。甘やかな愁いが翳りを誘(さそ)い、涼やかに吹き過ぎる涼風(すずかぜ)を受けて、枯葉舞う街角を彷徨(さまよ)って、輝きの豊穣を歌い、枯れ枝に止まる燕雀を顧(かえり)みて、一条(ひとすじ)の光明に望みを託す第3楽章。過ぎる不安を振り払い、闘いの狼煙(のろし)を挙げて、忍び寄る影と懸命に争い、喜びを模索して、希望への道程(みちのり)を突き進み、襲い掛かる困難と取っ組み合いを演じて、最後の安らぎへ倒れ込む第4楽章。青春の残滓(ざんし)を纏(まと)い、世間の荒波を潜り抜けて、安息の場所へ辿(たど)り着きました。
会場からは大きな拍手が贈られ、素晴らしい演奏を讃えました。
協奏曲、合唱曲、交響曲を一度に味わえ、その出来映えに明日を生きる勇気を頂いたことに感謝して、喜ばしい気分で帰りのペダルを踏みました。

プロジェクト・リュリ 第12回演奏会

2019年9月15日(日) 14:00 だいしホール プロジェクト・リュリ 第12回演奏会

組曲集「音楽の歓び」より Partie Ⅳ/パッヘルベル
 Sonata(Adagio)-Aria-Courante-Aria-Ciacona
「趣味の和、または新しいコンセール」より 第10番・イ短調/クープラン
 Gravement et mesure-Air tendre-Plainte-La Tromba
ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第1番 ロ短調 BWV1014/J.S.バッハ
 Adagio-Allegro-Andante-Allegro
ルソン・ド・テネブレ 第1番/クープラン
無伴奏ガンバのためのソナタより/C.P.E.バッハ
 Poco adagio-Allegro
トリオによるソナタ 第1番 Op.13-4/ルクレール
 Largo-Allegro ma non troppo-Largo-Allegro

友情出演
 風間左智(S)
 庄司愛(Vn)
プロジェクト・リュリ
 佐野正俊(Vn)
 中山徹(Viola da gamba)
 師岡雪子(Cemb)

りゅーとぴあを後にし、急いでだいしホールへ。開演30分前に到着。
感想は「古(いにしえ)の調べを興味深く聞き入る」です。
まずはヴァイオリン2挺と通奏低音でパッヘルベルの「組曲集『音楽の歓び』」より「 Partie Ⅳ」。ゆっくりと悲しみに裏打ちされた雅(みやび)さで波打つアダージョ。足取りを速め、滑らかに歌い出して、細やかに刻むアリア。速歩(はやあし)で駆け出し、光輝く鬣(たてがみ)を揺らすクラント。軽やかに飛び跳ね、歯切れ良く乗り熟(こな)す2度目のアリア。先を行く舟の航路を、なぞるように追い掛け、やがて並んで海原(うなばら)を進むチャッコーナ。典雅な味わいで冒頭をかざりました。
続いてヴァイオリンが1挺となって、クープランの「趣味の和、または新しいコンセール」より「第10番」。葡萄色の哀しみを匂い立たせ、ゆったりと奏でるグラヴメント。細長い帆布を何枚も繋ぎ、しっかりとした碑(いしぶみ)で次々と支えるエア。穏やかに歩み、かそけき囁きで微睡(まどろ)みを誘(さそ)うプレイン。足早に走り出し、現(うつ)し身を引き連れて、軽快に跳ね回るラ・トロンバ。薄絹(うすぎぬ)を纏(まと)った瀟洒(しょうしゃ)な装いで飾りました。
前半最後はJ.S.バッハの「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第1番」。悲しみの釉薬(うわぐすり)を塗り、長く引き伸ばして、仄(ほの)かな光の中、啜(すすり)り泣きを幾重にも折り重ねるアダージョ。正確にときを刻む秒針が高鳴り、銀色の網掛けを敷き詰めるアレグロ。明るき空の下、細い雨粒が落ちてきて、艶やかな温もりが水面(みなも)から顔を出すアンダンテ。まろやかなさざめきが沸き立ち、細やかな銀箔が交差する再びのアレグロ。精密な寄せ木細工を編み上げました。
休憩を挟んで後半はソプラノを通奏低音が伴奏するクープランの「ルソン・ド・テネブレ 第1番」。静けさに映える伸びやかな言葉が、澄んだ波立ちを誘(いざな)う「アレフ」。悲しみ深く訴え、穏やかに祈る「ベート」。透明な哀しみが一粒の涙に変わる「ギメル」。淡々と想いを語り、落ち着いて、力強く願いを認(したた)める「ダレト」。明るさを取り戻し、長く尾を引く流星を追い掛けます暖かき切なさを響かせる「へー」。しめやかに哀歌を綴りました。
続いてC.P.E.バッハの「無伴奏ガンバのためのソナタ」より2曲。静謐な時を、途切れ途切れの呟きで埋め、艶めきの断片を、ふっくらと伸ばすポコ・アダージョ。柔らかな希望を波立たせ、琥珀色の坂道をうねうねと登り詰めるアレグロ。静寂と対峙し、孤独を乗り越えました。
プログラム最後はルクレールの「トリオによるソナタ 第1番」。甘やかな艶めきを、ゆっくりと届け、立ち込める朝靄を、薄明かりの中に綴るラルゴ。細かく速く、さざめきを刻印し、稲妻の鋭さを、なだらかな優しさで包み、目の粗い金網越しに、受け止めるアレグロ。早春の暖かさを纏(まと)い、哀しみを宿した明るさを伝えるラルゴ。耀きを抱えて、天高く駆け上がり、昏(くら)き影の衣を着込んで、地中深くへ潜り込み、三位一体で突き進むアレグロ。我が身一つを拠り所として、力の限りに駆け抜けました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは、ソプラノも加わって、パーセルの「ディドのラメント」。敬虔な祈りを届けて、しめやかに終演となりました。
フランスのバロック音楽を中心とした、普段なかなか聞けない曲達を、十二分に堪能できる機会を与えて頂いたことに感謝して、快い気分でりゅーとぴあへと戻りました。

東響ロビーコンサート 弦楽四重奏

2019年9月15日(日) 12:30 新潟市民芸術文化会館コンサートホール・ホワイエ 東響ロビーコンサート 弦楽四重奏

弦楽四重奏曲第1番/ブラームス
 第1楽章 アレグロ
 第2楽章 ロマンツェ:ポコ・アダージョ
 第3楽章 アレグレット・モルト・モデラート・エ・コモド
 第4楽章 アレグロ

竹田詩織、中村楓子(Vn)
青木篤子(Va)
伊藤文嗣(Vc)

10km走って、昼食を摂り、りゅーとぴあへ。開演15分前に到着。
感想は「ブラームスの巻き起こす凄まじい熱風に酔いしれる」です。
気合い一閃、複雑に絡み合う撚(よ)り糸が、翳りを伴って、足早に交錯し、青春の残滓(ざんし)を香り高く匂わせて、濃厚に練り上げ、切迫する浪漫を十二分に伝えるアレグロ。ゆっくりとまろやかな味わいを届け、木漏れ日が降り注ぐ初秋の昼下がりに、枯葉色の寂しさを伝えるロマンツェ。薄絹(うすぎぬ)の短冊(たんざく)が舞い散り、飴色(あめいろ)の哀しみが弾(はず)んで、束の間の喜びを味わい、軽やかに揺れる小舟を、遥かなる海原(うなばら)へと漕ぎ出すアレグレット。眦(まなじり)を決し、光の剣(つるぎ)を合い交わして、闘いの場に臨(のぞ)み、一時(ひととき)の安らぎの後(のち)、獣(けもの)の如く、獲物に狙いを定め、熱を帯びて、猛然と襲いかかる二度目のアレグロ。内に秘めたアツい想いを惜しみなく排出して、素晴らしい四重奏で聴衆を魅了しました。
会場からは大きな拍手が贈られ、見事な演奏を届けてくれた4名を讃えました。
このような素敵な贈り物を無料で聞けたことに感謝して、喜ばしい気分で、次の会場へ向かいました。

トリオ・ペンナ 第八回演奏会 トリオソナタの愉しみⅧ

2019年9月13日(金) 19:00 新潟市民芸術文化会館スタジオA トリオ・ペンナ 第八回演奏会 トリオソナタの愉しみⅧ

「逃れよ、悲しい心よ」によるソナタ/マリーニ
「ラ・プロスペリーナ」によるソナタ Op.4-26/ウッチェリーニ
トリオソナタ ニ長調 Op.2-2 BuxWV260/ブクステフーデ
トリオソナタ イ長調 op.4-6/ルクレール
トリオソナタ ホ短調 op.5-2/ロカテッリ
2つのメヌエット イ短調/パーセル
エア&メヌエット ニ短調/ 〃
トリオソナタ ヘ長調 Z810/ 〃
トリオソナタ ト短調 op.5-5/ヘンデル

トリオ・ペンナ
 廣川抄子(Vn)
 佐々木友子(Vn,Va)
 笠原恒則(Cemb)

仕事を終え、りゅーとぴあへ。駐車場の混雑のため、少し時間がかかり、開演25分前に到着。
感想は、「鮮やかで優雅な宮廷音楽に聞き入る」です。
まずはマリーニの「逃れよ、悲しい心よ」によるソナタから。ゆっくりと俯(うつむ)いて、憂(うれ)いの表情を浮かべ、足取りを速め、競い合い、追い掛けあって、高みへ登ると、駆け足で刻み、地を這う翳りを耀きで覆(おお)い、速度を落として、寂しげに着地して、くっきりと彫り深く、古き調べを蘇らせました。
続いてウッチェリーニの「『ラ・プロスペリーナ』によるソナタ」。二筋の川が穏やかに滔々と流れ、哀しげな光で照らされると、鋭い稲妻が旋風を呼び込みました。一瞬の沈黙の後、軽やかに跳ね、楽しげに弾(はず)んで、ゆっくりと羽根を休めました。
次はヴァイオリン、ヴィオラ、通奏低音でのブクステフーデの「トリオソナタ ニ長調 」。澄んだ薄明かりに包まれ、ゆったりと浮かび上がると、光の波が細やかに震え、それを支える太く長い枝が伸びやかに絡み、その軛(くびき)を解き放って、大空へと舞い上がりました。そして暗い雲間を速歩(はやあし)で駆け抜け、低い山の尾根へ降り立ち、交互に先を競って、コク深く香り立ちました。さらに悲しき影が急ぎ足で過ぎ去り、幾重にも折り重なって、愁いの彩りを添えると、弓なりに反り返り、軽やかに飛び起きて、競(せ)り合いながら、先を競(きそ)いました。そして最後にゆっくりと美しく、柔らかでまろやかに舞い、光と影が交錯して、輝きと熱量を波立たせました。
前半の締めはルクレールの「トリオソナタ イ長調」。か細くも強靱な絹糸が、上品な甘さを匂わせ、ゆっくりと艶(つや)やかに引き伸ばされて、愉しげに飛び跳ねて、活気に満ちた童(わらべ)の如く、元気よく速度を上げて、無邪気に戯れました。一息置いて、明るく仲良く、艶めきを振りまいて、遠く近く追憶を呼び覚まし、暗闇を抜けて、輝きを取り戻しました。さらにくるくると糸車を回し、折り重なるように、帆布を織り上げて、涼やかに力強く、運命の糸を紡ぎました。
休憩を挟んで後半はロカテッリの「トリオソナタ ホ短調」から。悲しみを強く塗り込め、硬質な弾力で長く引き延ばし、細かく刻みを入れて、大らかさと細やかさを対比しました。そして冷ややかに差す光線を受け、捩(よじ)れた紐が複雑に絡まり合って、渋く耀く表情を浮かべると、次第に速度を上げ、深い哀しみを背に、力を込めて、目標を追い掛けました。
ここでチェンバロ独奏でパーセルを2曲。細やかな銀箔がはらはらと舞い散り、差し込む日の光を乱反射させ、一瞬のうちに奥の間に身を隠し、尖った針の煌めきを映す「2つのメヌエット」。浮き上がり、沈み込む波を模し、冷え冷えとした晴れ間を縫って、泡雪が降り注ぐ「エア&メヌエット」。繊細で鮮やかな音色(ねいろ)を届けました。
次も同じくパーセルで「トリオソナタ ヘ長調」。明るく穢れなき響きで華やぎを運び、ゆっくりと翳りを引き連れて、冬の日の穏やかさを誘(いざな)い、再び光の午後へ駆け出して、温もりと戯れました。そして忍び足で悲しみの糸を解(ほぐ)し、ゆっくりと長く引き伸ばすと、光を放ち、翳りを纏(まと)って、厚く層を成し、しめやかに収めました。
プログラム最後はヘンデルの「トリオソナタ ト短調」。劇的に疾風を吹かせ、悲しみが重くのし掛かって、小雨がしとしとと降り、雨粒がぽたぽたと軒から落ちて、ゆっくりと階段状に下降しました。そして呟きが、幾重にも折り重なり、艶めきを増して、じわりと心根に染み渡り、大空を並ぶように飛翔しました。さらに穏やかな安らぎを伝え、疲れた身体に休息を与えて、静かに抑えると、大海原へ舟を漕ぎ出し、荒波を掻い潜って、嘆きの印(しるし)を高く掲げました。加えて、速く長く悲しみを綴り、一緒に身を重ねて走り出して、力一杯加速しました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは、同じくヘンデルの「トリオソナタ ト長調」から。楽しく弾んで、賑々しく終演となりました。
バロック時代のトリオソナタを特集して、聞かせて頂いたこのコンサートが、素晴らしい実りをもたらして頂いたことに感謝して、喜ばしい気分で家路を急ぎました。