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大滝俊 ピアノソロコンサート 2019 

2019年10月26日(土) 19:00 新潟市民芸術文化会館スタジオA 大滝俊 ピアノソロコンサート 2019 

マズルカ Op.17 No.4 Op.33 No.4/ショパン
マズルカ Op.50 No.1 Op.50 No.2/シマノフスキ
ロマンチックな情景 より マズルカ レチタティーボ/グラナドス
スペイン舞曲 第9番「マズルカ」/ 〃
演奏会用アレグロ/ 〃
ピアノソナタ 第23番「熱情」/ベートーヴェン

大滝俊(Pf)

仕事を終えて、りゅーとぴあへ。開演40分前に到着。
感想は「晴れやかな音色(ねいろ)、卓越した技巧、豊かな音楽性を兼ね備えたピアノの響きに聞き入る」です。
まずはショパンの「マズルカ」が2曲。白き光背を背負い、淡く柔らかな煌めきを放ち、幾分鈍く輝いて、翳りを宿し、緩く弾(はず)んで、喜びを覗かせる「作品17の4」。素早く渦を巻き、くっきりと哀しみを滲ませて、波紋を広げ、愁いを匂わせて、軽やかに舞い踊る「作品33の4」。美しく巧みに音楽を描き出して、聴衆を魅了しました。
続いてシマノフスキの、これも「マズルカ」から2曲。コロコロと氷片が転がり、暖かく駆け出して、灰色の絶壁を陰翳(いんえい)を帯びて登る「作品50の1」。明るく速く跳ね、石ころを弾(はじ)き飛ばして、厳しく鞭(むち)を入れ、力強く疾走する「作品50の2」。知的好奇心を擽(くすぐ)り、新しき印象を刻んで、快活に通り過ぎました。
次はグラナドスが4曲、微かな痛みを伴った嬉しさで、水溜まりを蹴り、晴れやかな青空に、濃厚な悲しみを映して、明るさを取り戻し、近くの池の水を掻き回す「ロマンチックな情景」からの「マズルカ」と一人でぽつりと呟き(つぶや)き、皆を呼んで燥(はしゃ)いで、去った後に残る寂しさを味わう同じ曲集からの「レチタティーボ」。陽光を浴びて耀き、楽しげに飛び跳ね、可愛く踊りを披露して、白い壁に降り注ぐ日光を映して、喜びが湧き出でる「スペイン舞曲 第9番『マズルカ』」。軽快に泡立つ水面(みなも)を滑走し、滑らかに速く、涼やかさを届け、柔らかく細やかに震えて、小高い丘を縦横に駆け巡る「演奏会用アレグロ」。温暖で快適な気候を感じさせ、遥かなる半島への憧れを描き出しました。
休憩を挟んで後半はベートーヴェンの「ピアノソナタ 第23番『熱情』」。暗く深い淵を覗き込み、微かな希望を発見して、小さな鼓動を感じ、哀しみを細かく切り分けて、幾つもの段差が有る道程(みちのり)を上下し、心の奥底に潜む翳りを燃やして、広く厚い草原を駆け抜け、辺り一面を焼き尽くす第1楽章。ゆっくりと節度を持って揺らぎ、青春の甘き香りを匂い立たせて、柑橘のさわやかさで彩り、細やかな布切れを絡め合って、光の帯を次へ繋ぐ第2楽章。一瞬の間合いを見計らって、鋭く切り込み、重く速く木枯らしを吹かせ、海面を波立たせて、枯葉を舞い散らせ、幾重にも押し寄せる津波が坂を下って、全てを押し流す第3楽章。深遠な音楽の鼓動を生きいきと蘇らせました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールが2曲。そこはかとない寂しさを、美しくも哀しい彩りで飾るショパンの「雨だれ」。左手一本用に編曲され、甘やかな切なさを綴る「アルハンブラ宮殿の思い出」。じんわりと聴衆の心に訴えて、賑々しく終演となりました。
ポーランド生まれの舞曲に拘(こだわ)った前半、昨年からの宿題らしい後半、どちらも楽しく、興味深く聞かせて頂いたことに感謝して、喜ばしい気分で家路を急ぎました。
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ジャン・クリストフ=ショレー&マシュー・ミッシェル

2019年10月25日(金) 19:30 Jazz Flash ジャン・クリストフ=ショレー&マシュー・ミッシェル

曲目のアナウンスなし。

マシュー・ミッシェル(Fgh)
ジャン・クリストフ=ショレー(Pf)

仕事を終え、一旦帰宅し、夕食を済ませてから、Jazz Flashへ。開演20分前に到着。
感想は「快いフリューゲルホーンとピアノのデュオを楽しむ」です。
1曲目は、ゆっくりと明るく暖かに響く息吹が、穏やかに煌めく波立ちに乗って、くすんだ耀きで緩やかに弾(はず)みました。
続く2曲目では、角張った氷がはらはらと散って、抑え気味の哀しみを滲ませ、乾いた叙情を薫らせて、魚醤の旨みを宿し、翳りを長く引き摺りました。
3曲目では軽やかに舞い踊り、張り詰めた氷の海を、穏やかに航路を切り開いて、静々と進みました。
4曲目になると、快く微睡みへと誘(いざな)い、大らかに波濤(はとう)が押し寄せて、幾重にもその姿を重ねました。
前半最後は、しめやかに竪琴を鳴らし、ピンと張られた長き綱の上を、均衡を取りながら歩み、蕩(とろ)けるように茨の棘(とげ)を揺らし、柔らかに渦巻きました。
休憩を挟んで後半の6曲目は、晴れやかに視界が開け、くぐもるように輝く流線型が、楽しげに揺蕩(たゆた)い、曇り空の下(もと)、ゆっくりと滑走しました。
7曲目では、紫煙を燻(くゆ)らせ、焦げたような匂いを漂わせて、鋼鉄の馬に騎乗し、夜明けの光を背に、粛々(しゅくしゅく)と砂地を踏み締めました・
8曲目になると、哀愁を匂い立たせ、琥珀色の耀きを渋く煌めかせ、柔らかに歌いました。
セットリストの最後では、はらはらと水滴を散らし、徐々に氷塊(ひょうかい)を溶かして、未明の暗がりから、微かな陽光が照らす道程(みちのり)を示しました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールが1曲、涼やかで穏やかに奏でられ、賑々しく終演となりました。
フリューゲルホーンとピアノが作り出す、穏やかで美しい世界に包まれて、快い一時(ひととき)を楽しめたことに感謝して、喜ばしい気分で帰路に就きました。

フランソワ・サルク & 成嶋志保 チェロ&ピアノ デュオ・リサイタル

2019年10月23日(水) 19:00 だいしホール フランソワ・サルク & 成嶋志保 チェロ&ピアノ デュオ・リサイタル

『ロマンス』イ長調 作品69/フォーレ
チェロ・ソナタ/プーランク
 第1楽章 アレグロ:テンポ・ディ・マルチア
 第2楽章 カヴァティーナ
 第3楽章 バラビル
 第4楽章 フィナーレ
『オーボエとピアノのための3つのロマンス』作品94/シューマン
 第1曲 「速すぎず」
 第2曲 「素朴に、心から」
 第3曲 「速すぎず」
チェロ・ソナタ 第2番 ニ長調 作品58/メンデルスゾーン
 第1楽章 アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ
 第2楽章 アレグレット・スケルツァンド
 第3楽章 アダージョ
 第4楽章 モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェ

フランソワ・サルク(Vc)
成嶋志保(Pf)

菅谷の不動尊へお詣りし、昼食を摂って、一旦帰宅し、少し休憩をして、所用を片付けてから、だいしホールへ。開演20分前に到着。
感想は「明るさの中に翳りを含むチェロと、それを優しくもしっかりと支えるピアノを楽しむ」です。
まずはフォーレの「ロマンス」から。甘やかで、コク深く流星が尾を引き、溢れ出る情熱で一杯に満たして、穏やかに地表へと降下しました。
続いてプーランクの「チェロ・ソナタ」。鋭利な光を発して、勢い良く耀き、強靱な撥条(ばね)を効かせて、歯切れ良く弾(はず)むと、ゆっくりと白き光に照らされ、薄き糖衣に包まれて、吹き出す蒸気で動輪を回し、天鵞絨(びろーど)の肌触りで撫で回して、浮雲の群れの中を、緩やかに舞うアレグロ。柔らかで優しく呟き、冷気が満ち満ちる部屋に座り、吐き出す白い息を長く伸ばして、懸命に舟を漕ぎ、急な角度の階段を駆け上って、ゴリゴリと鬩(せめ)ぎ合い、水面(みなも)に浮かぶ氷を擦り抜けて、穏やかに航跡を残すカヴァティーナ。軽快に飛び跳ね、鏡面の床をつるつると滑走して、しゃぼん玉を飛ばし、力を込めて切り刻むと、静寂を揺らし、熱量を解き放って、帆船を滑らせ、長き綱を曳いて、水泡(すいほう)を弾(はじ)けさせるバラビル。運命(さだめ)に抗(あらが)い、か細い羽音を響かせて、細やかに波立ち、硬質の叫びを繋げて、辺りを駆けずり回り、襲い来る苦難と果敢に格闘するフィナーレ。あっけらかんとした明るさに裏打ちされた喜びや哀しみを、絶妙の匙加減(さじかげん)で彩って、聞き手の裏をかき、新たなる驚きを届けました。
休憩を挟んで後半はシューマンの「オーボエとピアノのための3つのロマンス」。切なさを含んだ甘さを綴り、匂い立つ浪漫を薫らせて、低く艶やかに、光と影を映す第1曲。翳りを帯びた明るさを紡ぎ、滔々(とうとう)と流れる小川のせせらぎを模して、急ぎ足で太き綱を編み上げ、馥郁(ふくいく)とした葡萄酒の香りを醸し出して、澄み渡る青空に、溢れ出る想いを認(したた)める第2曲。愁いの表情で物思いに耽(ふけ)り、荒波がうねる海岸を急(せ)き込むように駆け抜け、涼やかに包み込む煌めきを纏(まと)って、アツき情熱を胸に、足早に走り去る第3曲。美しき歌心を、巧みな技と、燃えるような心情をもって、見事に描き出しました。
プログラム最後はメンデルスゾーンの「チェロ・ソナタ 第2番」。一気呵成(いっきかせい)に切り込み、速く柔らかに刻んで、青春の躍動を漲(みなぎ)らせると、先を行く走者を追い上げ、肩の力を抜いて、響(ひび)きを弾ませ、視界を大きく広げて、前のめりに疾走するアレグロ。頼りなげながらも可愛く歩き、砂利道を滑らかに滑走して、曇り空の下を進み、厳しくも優しく振る舞って、琥珀色(こはくいろ)の糸を繋ぎ、力を込めて、軽やかに舞い踊るアレグレット。ゆっくりと波頭(なみがしら)が押し寄せ、安らぎの時を齎(もたら)して、忍び寄る陰翳(いんえい)を楽しみ、沈思黙考して、ゆらゆらと波間に浮かび、深き艶めきを輝かすアダージョ。間髪を入れずに打ち込み、速く快活に揺らして、うねるように駆け登り、立ち上る積乱雲の中を、悠然と翼をはためかせ、艶やかな肌触りで引き伸ばして、派手やかに大団円へ突き進むモルト・アレグロ。健やかに育てられた若者の凛々しさと、思慮深い年長者の落ち着きを併せ持つ珠玉の逸品を、鮮やかな手腕で、聴衆へと届けました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールが2曲。ラフマニノフの「ヴォカリーズ」が、甘やかな哀愁を奏で、エルガーの「エレジー」が、胸に迫る憂愁を伝えて、賑々しく終演となりました。
素晴らしい技巧と、溢れ出る音楽性で、たっぷりと聴衆を魅了して頂いたことに感謝して、喜ばしい気分で家路を急ぎました。

東京交響楽団第116回新潟定期演奏会

2019年10月20日(日) 17:00 新潟市民芸術文化会館コンサートホール 東京交響楽団第116回新潟定期演奏会

コンチェルティーノ ~フルートと管弦楽のための/シャミナード
静かな都市 ~トランペットとイングリッシュホルンと弦楽のための/コープランド
ファンタジア ~ソプラノサクソフォン、3つのホルンと弦楽のための/ヴィラ=ロボス
 Ⅰアニメ Ⅱレント Ⅲトレ・アニメ
第1狂詩曲 ~クラリネットと管弦楽のための/ドビュッシー
「アルルの女」/ビゼー
 第1組曲 Ⅰ 前奏曲      Ⅱメヌエット
      Ⅲアダージェット Ⅳカリヨン
 第2組曲 Ⅰ パストラール   Ⅱ間奏曲
      Ⅲメヌエット   Ⅳファランドール

相澤政宏(Fl)
最上峰行(C.a.)
エマニュエル・ヌヴー(Cl)
澤田真人(Tp)
上野耕平(S.Sax)
東京交響楽団
飯森範親(指揮)

蔵織から、りゅーとぴあへ戻り、開演50分前に到着。
感想は「管楽器の多彩なる独奏と懐かしき調べ達の鮮やかな響きに酔いしれる」です。
まずはシャミナードの「コンチェルティーノ」。柔らかく涼やかに光の帯が舞い、ひらひらとはためいて、ふわふわと波立ち、愉しげに弾(はず)んで、軽やかな息吹を刻みました。
続いてコープランドの「静かな都市」。静かで、穏やかな草原に、低く唸る微睡(まどろ)みが流れ、一条(いちじょう)の光の矢が差し込んで、夜明け前の寒さと、照り映える暖かさが耀き出し、大きく広がる原野に満ちる遠い昔の悲しみを懐かしんで、薄き覆(おお)いに包まれた摩天楼群を照らしました。
次はヴィラ=ロボスの「ファンタジア」。決戦の火蓋が切られ、ざわめきの荒野を、輝ける剣(つるぎ)を持って駆け抜け、鋭利な筆跡で揮毫(きごう)して、ふんわりとした響きの雲に包まれ、黄金の航跡を残して、涼やかに滑走するアニメ。渋く甘く波頭(なみがしら)がうねり、体温を奪い去る冷気が揺れて、ねっとりと練り込み、硬質の光がひらひらと、白き霜柱を立てるレント。足早に駆け出し、強引に攻め込んで、目まぐるしく駆け巡り、毛羽立つ耀きを長く引き伸ばして、沸き立つ熱情を擦り抜けて、カッコよく飛ばすトレ・アニメ。涼やかでアツい闘いの日々を、鮮やかな筆致(ひっち)で描き出しました。
前半最後はドビュッシーの「第1狂詩曲」。怜悧な線が、細く糸を引き、揺れながら立ち上って、立ち込める霧の中を、ゆっくりと旋回し、一瞬の閃光が辺りを照らすと、渦巻いて飛翔し、ざわめきの最中(さなか)、高く艶やかに駆け上り、忙(せわ)しく追い立てて、鮮やかに着地しました。
休憩を挟んで後半はビゼーの「アルルの女」。まずは第1組曲から。きりりと力強く前進し、柔らかく哀しみを包んで、ざわめきを掻き分け、長閑(のどか)に山道を登り、堂々と踏み締めると、甘やかでまろやかに包み込み、蕩(とろ)けるように、優しく慰め、忍び寄る不安を感じるも、安らかに夢を見る「前奏曲」。凛とした軽やかさで円舞し、弾力的に飛び跳ねて、ゴリゴリと刻み、緩やかに舞い踊って、吹く風を受け流し、可愛げに足踏みすると、小声で囁く「メヌエット」。しめやかに明るく差す午後の日差しを浴びて、まろやかに波立ち、緩やかに揺らめいて、満ち満ちる潮(うしお)が、羽毛の手触りを伝える「アダージェット」。楽しげに打ち鳴らし、派手やかに輪舞して、弾(はす)むように揺れ動くと、哀しげな綿毛を飛ばし、憂愁の調べを奏でて、嬉しさが忍び寄り、喜びに沸き立つ「カリヨン」。淡い春の日差しに、溢れるような歓喜の香りを添えて、美しく仕上げました。
続いて第2組曲。大らかに広がる麦畑に、萌えるような草いきれが満ち満ち、黄金の稲穂が頭(こうべ)を垂れて、吹き抜ける秋風を受け止めると、哀愁の香りが、鼓動を伴って匂い立ち、羽根飾りのある帽子を被って、にこやかに舞い踊る「パストラーレ」。分厚く層を成す山肌が押し迫り、暗く影を落として、喜びの耀きを包み込むと、柔らかに、優しく、甘やかな調べが溶け合って、まろやかでたっぷりと、快く癒し、心のままに振る舞って、溢れ出るときめきを一杯に謳歌する「間奏曲」。美しき宝石を鏤(ちりば)め、金の糸を紡いで、纏(まと)わり付く水玉を擦り抜け、力強く踏み出して、絡み合う流線型が長く尾を引く「メヌエット」。勇ましく行進し、細やかに刻んで、軽やかに弾(はず)み、勢いを増して飛び跳ねて、薄(うっす)らと翳りを纏(まと)い、凱歌と鼓動が競い合って、堂々とした大団円を迎える「ファランドール」。鮮やかに彩られた名場面を、感動的に再現しました。
客席からは大きな拍手が贈られ、素晴らしい演奏を讃えました。
普段オーケストラで活躍する管楽器奏者達の練達の技が冴える独奏を楽しみ、懐かしく親しみのある名旋律の花束を極上の仕上がりで聞けたことに感謝して、快い気分で家路を急ぎました。

ブライト・アイズのやさしいクラシック

2019年10月20日14:00 ギャラリー蔵織 ブライト・アイズのやさしいクラシック

1st.set
 セレナーデ/シューベルト
 ガボット/ゴセック
 トロイメライ/シューマン
 亜麻色の髪の乙女/ドビュッシー
 タイスの瞑想曲/マスネ
2nd.set
 オブリヴィオン/ピアソラ
 「タンゴの歴史」より「カフェ 1930」/ 〃
 リベルタンゴ/ 〃
3rd.set
 グリーンスリーブス/イングランド民謡
 スイートメモリー/大村雅朗
 紫陽花/莉燦馮
 星に願いを/ハーライン
 POKOCA/マシャド
 PE DE MOLQUE/ 〃

ブライトアイズ
 伊佐瞳(Bcl)
 武石明(Gt)

りゅーとぴあを出て、軽食を摂り、ギャラリー蔵織へ。開演30分前に到着。
感想は「バス・クラリネットとギターのデュオによる快く、楽しいライブを堪能する」です。
1st.setは親しみ易いクラシックの名曲を。まずはシューベルトの「セレナーデ」から。ゆっくりと優しく浪漫の薫りを漂わせて、煌めきと安らぎを届けました。続いてゴセックの「ガボット」。明るく弾(はず)み、戯(おど)けるように、可愛らしく足踏みしました。次はシューマンの「トロイメライ」。甘やかに夢見心地に誘(いざな)い、微睡みへと足を踏み入れました。4曲目はドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」。蕩(とろ)けるような柔らかさでしなやかに揺れ、安らぎの海底(みなぞこ)へ、ゆっくりと沈み込みました。1st.set最後はますの「タイスの瞑想曲」。爽やかな水色に塗り分け、優しく甘く、華やぎを伝えました。
休憩を挟んで2nd.setはピアソラ特集。匂い立つ愁いの表情で、切なさの糸車を回す「オブリヴィオン」。気怠(けだる)い憂愁を薫らせ、重い巨体をゆっくりと動かして、晴れやかで長閑(のどか)な田園を歌う「カフェ 1930」。軽快に躍動し、哀愁の調べを奏でて、速歩(はやあし)で駆け抜ける「リベルタンゴ」。薄明かりに照らされた哀しみで彩りました。
2回目の休憩後の3rd.setは「グリーンスリーブス」から。柔らかく、何処か懐かしい響きで郷愁を誘(さそ)い、喜びを掻き鳴らしました。続いて松田聖子の「スイートメモリー」。思い出を懐かしみ、ちょっぴり拗(す)ねて、切なさを綴りました。次はギターデュオをこの編成で演奏する「紫陽花」。青春の一コマを回想し、田園の記憶を取り戻して、儚くも美しい日々を懐かしみました。さらにディズニーから「星に願いを」。ゆったりと煌めきを灯し、聖なる夜の静けさを映しました。プログラム最後はマシャドの「ブラジル組曲」から2曲。夜半に、灯火(ともしび)の下で、ステップを踏み、踵(きびす)を返す「POKOCA」。速く軽やかに舞い、楽しげに弾(はず)む「PE DE MOLQUE」。賑やかな舞踊への愛を奏でました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは「見上げてごらん夜の星を」。しっとりと心を打って、賑々しく終演となりました。
他に類見ない編成で明るく楽しいライブを届けて頂いたことに感謝して、喜ばしい気分で、再びりゅーとぴあへ向かいました。

東響ロビーコンサート ~ 弦楽アンサンブル~

2019年10月20日 12:30 新潟市民芸術文化会館コンサートホール・ホワイエ 東響ロビーコンサート ~ 弦楽アンサンブル~

テルツェット ハ長調 作品74/ドヴォルザーク
 第1楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ
 第2楽章:ラルゲット
 第3楽章:スケルツォ:ヴィヴァーチェ
 第4楽章:テーマ・コン・ヴァリアツィオーニ
セレナーデ へ長調 作品12/コダーイ
 第1楽章:アレグラメンテ
 第2楽章:レント・マ・ノン・トロッポ
 第3楽章:ヴィーヴォ

土屋杏子、河裾あずさ(Vn)
多井千洋(Va)

10km走って、身支度を整え、りゅーとぴあへ。開演30分前に到着。
感想は「3本の弦楽器が作り出す美しく、熱情の籠もった快演を十二分に楽しむ」です。
まずはドヴォルザークの「テルツェット」。艶やかで、優しい絹糸を巧みに紡ぎ、緩急を付けて、揺れるように刻み、薄(うっす)らとした影を宿して、たっぷりと奏でる第1楽章。ゆっくりとまろやかに油脂を伸ばし、足早に跳ねて、美しい流線型を長く伸ばす第2楽章。鋭利な棘(とげ)を生やし、突っ張るように弾(はず)み、弾(はじ)けるように爪弾くと、ゆっくりとたおやかに歌い、ざわめきの波間を、大らかに舟を漕ぐ第3楽章。胎動の予感を内に秘めて、穏やかに立ち上がり、急(せ)き立てるように、足早に翳りを刻み、大海原に押し寄せる幾つもの波濤のように、飛沫(しぶき)をはらはらと散らせて、崩れ去り、明るく優雅な艶めきを放って、さざめきの中に光の矢を射貫き、耀きながら、一心に駆け抜ける第4楽章。素晴らしき技巧と、溢れる音楽への愛で、見事な三重奏を届けました。
続いてコダーイの「セレナーデ」。黄金に照り映える稲穂の香りを祝い、弾(はず)むようにない踊って、艶やかに伸びる長き綱で結び、波立つ水面(みなも)の上を、丸き水玉が舞い踊るアレグラメンテ。渋く光る波間を、憂鬱な呟きが飛び交い、雄牛の鳴き声が、細く長く引き伸ばされ、柔らかく刻んで、光の糸を巻き取り、互い違いに主役を交代するレント。高速で起動を滑走し、茶色い響を豊かに波立たせ、小さな渦を幾重にも巻き上げて、真っ直ぐな流れを作り、階段の上へ舞い上がって、速度を上げて震え、凍(こご)えるような風を吹かせて、一気に加速するヴィーヴォ。新しき響きに、懐かしさを塗(まぶ)して、透明な覆(おお)い掛けて、音響の彫刻を彫り上げました。
会場からは大きな拍手が贈られ、素晴らしい演奏を讃えました。
弦楽器三挺が作り出す、気合いの入った、見事な造形を目の当たりにできた奇跡に感謝して、次の会場へと急ぎました。

新潟室内合奏団第80回演奏会

2019年10月19日(土) 18:45 新潟市民芸術文化会館コンサートホール 新潟室内合奏団第80回演奏会

歌劇「ウィリアム・テル」序曲/ロッシーニ
 Ⅰ夜明け     :アンダンテ
 Ⅱ嵐       :アレグロ
 Ⅲ静寂(牧歌)    : アンダンテ
 Ⅳスイス軍の行進 :アレグロ・ヴィヴァーチェ
交響曲第31番 ニ長調「パリ交響曲」K.297/モーツァルト
 第1楽章:アレグロ・アッサイ
 第2楽章:アンダンティーノ
 第3楽章:アレグロ
ギター協奏曲/ヴィラ=ロボス
 第1楽章:アップレチーゾ
 第2楽章:アンダンティーノ・エ・アンダンテ
 第3楽章:アレグレット・ノン・トロッポ
屋根の上の牛 Op.58/ミヨー

藤元高輝(Gt)
新潟室内合奏団
本多優之(指揮)

仕事を終えて、りゅーとぴあへ。開演20分前に到着。
感想は「鮮やかなギターとそれを懸命に支える管弦楽を楽しむ」です。
まずはロッシーニの「歌劇『ウィリアム・テル』序曲」から。葡萄色の甘い切なさを認(したた)める「夜明け」。先走る雨粒が落ち、風邪が徐々に強まって、雷鳴が轟き、荒天の激しさを綴る「嵐」。柔らかく絡み合い、甘やかに歌う「静寂(牧歌)」。軽やかに飛ばし、跳ねるように騎乗して、速歩(はやあし)で駆け抜ける「スイス軍の行進」。四幅の絵画を、その特徴を捉えて、しなやかに描き分けました。
次は「交響曲第31番『パリ交響曲』」。太陽が照り映え、生きいきと刻んで、耀きの翼で天翔(あまかけ)るアレグロ・アッサイ。優雅で涼しげに舞い、薄衣(うすぎぬ)を翻(ひるがえ)して、緩やかに昼下がりの快い気怠(けだる)さを楽しむアンダンティーノ。足早に駆け出し、さらさらとそよぎ、翳りを纏って弾(はず)み、華やかに花火を打ち上げるアレグロ。すっきりと鮮やかに天才の所業を再現しました。
休憩を挟んで後半はヴィラ=ロボスの「ギター協奏曲」から。暗い闇の中から煌めきが、細やかに耀き出し、熱帯の蒸し暑さを纏(まと)って、懐かしさを淡く香らせ、ゆらりと揺れて、そこはかとない冷気を放つ第1楽章。もやもやと湿り気を帯びた暖かさで包み、まろやかな流線型がすぐ横を通り過ぎて、幾重にも枝分かれし、愁いの調べを奏でる第2楽章。鮮やかな彩りと多彩な彫刻を施して、響の細密画を仕上げるカデンツァ。涼しさと噎(む)せ返るよな熱気を孕(はら)み、暗闇を突き抜ける一条(ひとすじ)の光明が、うねりながらも前進し、絡み付く藻屑(もくず)を払いながら、懸命に掻き分けて、曇り空から陽光の下へと、もがきながらも抜け出す第3楽章。素晴らしい音楽性と冴え渡る技巧で聴衆を魅了しました。
鳴りやまない拍手に応えて、同じ作曲家の「ショーロス 第1番」がカッコよく演奏されて、興奮を静めました。
舞台準備が行われ、プログラム最後はミヨーの「屋根の上の牛」。賑やかで陽気に囃し、ちょっと惚けた合いの手を入れて、うらぶれた下町の喧騒を映し、祝祭の華やかさと、その裏に潜む寂しさを綯い交ぜにして、降り積もる黄砂に塗(まみ)れ、夜の街のけばけばしさと、楽しげな宴(うたげ)を模して、底抜けの明るさで彩りました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは前半で演奏した「パリ交響曲」の"パリ初稿版"の第2楽章。晴れやかに奏でられて、賑々しく終演となりました。
記念すべき80回目の演奏会が、素晴らしい独奏者を迎え、パリに拘(こだわ)ったプログラムで華やかに行われたことに感謝して、喜ばしい気分で家路を急ぎました。

新潟イタリア協会オープンセミナー サロンコンサート ~PLAZA VOCE の愉しみ~

2019年10月18日(金) 18:30 ホテルイタリア軒地下1階「PLAZA VOCE」 新潟イタリア協会オープンセミナー サロンコンサート ~PLAZA VOCE の愉しみ~

私の太陽/カプア
オペラ「ジャンニ・スキッキ」より"私のお父さん"/プッチーニ
まことの安らぎはこの世にはなく/ヴィヴァルディ
オペラ「リゴレット」より"慕わしき方のお名前は"/ヴェルディ
オペラ「ロミオとジュリエット」より"夢に生きたい"/グノー
モンタギュー家とキャピュレット家/プロコフィエフ
映画「ロミオとジュリエット」より"愛のテーマ"/ロータ
アナカプリの丘/ドビュッシー
踊り/ロッシーニ
映画「ニューシネマパラダイス」より"もし"/モリコーネ
エステ荘の噴水/リスト
オペラ「トスカ」より"歌に生き恋に生き"/プッチーニ

山下尚子(S)
ルトゥルミー・谷口玲理(Pf)

仕事を終え、車を駐車場へ入れて、イタリア軒へ。開演10分前に到着。
感想は「イタリア各地を巡る旅の途上でその地に関連する曲を聞く趣向を楽しむ」です。
まずは「私の太陽(オー・ソレ・ミヨ)」から。爽やかな陽光が降り注ぐ広場を闊歩し、楽しげに振る舞って、長き旗を翻(ひるがえ)しました。
続いてプッチーニの「オペラ『ジャンニ・スキッキ』」より「私のお父さん」。ゆっくりと甘やかに暖かさを醸し出し、明るき哀しみを語りました。
次はヴィヴァルディの「まことの安らぎはこの世にはなく」。教会に響く聖なる祈りがしめやかに綴られ、薄き翳りが忍び寄って、艶めきで彩りました。
4曲目はヴェルディの「オペラ『リゴレット』」より「慕わしき方のお名前は」。夢見るように憧れを歌い、喜びを噛み締めて、可愛い足取りで舞い踊りました。
ここからは「ロミオとジュリエット」のコーナー。まずはグノーのオペラから「夢に生きたい」。賑やかに囃し、楽しげに弾(はず)んで、一旦は影へと沈むも、嬉しそうに燥(はしゃぎ)ました。
続くはピアノのソロでプロコフィエフの「モンタギュー家とキャピュレット家」。重き足取りで入場し、ごつごつとした鋭利さを放って、闘いの準備を済ませると、寂しそうに呟き、光る水滴を纏(まと)って耀き、若き英雄を迎え入れ、対決の場へと臨(のぞ)みました。
次は「映画『ロミオとジュリエット』」より「愛のテーマ」。うっとりと雰囲気に酔い、優しく氷の欠片(かけら)を舞い散らせて、切なさを歌い上げました。
再び鍵盤の独奏で、ドビュッシーの「アナカプリの丘」。ゆっくりと細やかに水を跳ね、重く深く沈み込んで、快い鼓動を伝えました。
さらにロッシーニの「踊り」では、忙(せわ)しげに追い立て、早口でまくし立てて、華麗にステップを踏んで、勇敢な闘牛士を迎えました。
続いて「映画『ニューシネマパラダイス』」の音楽にイタリア語の歌詞を付けた「もし」。薄明かりにつつまれた朝の窓辺に、淡き夢見心地の微睡(まどろ)みが醸し出され、甘やかに細き糸を紡ぎました。
次なるはピアノが奏でるリストの「エステ荘の噴水」。淀みなく溢れ出す湧き水の流れが潤いで満たし、きらきらと光を反射して、水玉が弾(はじ)け、波立ちが同心円を描いて広がり、変わりゆく水の戯れを映しました。
プログラム最後はプッチーニの「オペラ『トスカ』」より「歌に生き恋に生き」。立ち上るか細き光が、悲しみを宿し、やがて大きく膨らんで、ゆっくりと明るさを取り戻し、喜びを語るも、押し寄せる辛(つら)さに押し潰されて、胸に抱え込んだ切なき想いを懸命に訴えました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは「君と旅立とう」。伸びやかに美しく憧れを奏でて、賑々しく終演となりました。
イタリアの各地をスライドで紹介し、その地にまつわる曲目を届けて、彼の地をグッと身近に感じさせて頂いたことに感謝して、喜ばしい気分で家路を急ぎました。

ワンコインご縁コンサート ランチタイムコンサート 「ヴァイオリンとマリンバ」

2019年10月17日(木) 11:15 新潟市北区文化会館ホール ワンコインご縁コンサート ランチタイムコンサート 「ヴァイオリンとマリンバ」

愛の挨拶/エルガー
チェントーネ・ディ・ソナタ Ⅰ/パガニーニ
リズム・ソング/スマドベッグ
小さい秋見つけた/中田喜直
月の沙漠/佐々木すぐる
涙そうそう/BEGIN
「トゥクマンの歌」より/ヒナステラ
 Ⅲ.Vida,Vidita,Vidala
「ブエノスアイレス組曲」より/プホール
 Ⅰ.Pompeya
「タンゴの歴史」より/ピアソラ
 Ⅰ.Bordel 1900
チャルダッシュ/モンティ

佐々木友子(Vn)
倉澤桃子(Marmb)

朝食を済ませ、身支度をして、バイパスを一路北区文化会館へ。開演40分前に到着。
感想は「親しみのある曲と新しい音楽との組み合わせが造り出す楽しい時間を味わう」です。
まずはエルガーの「愛の挨拶」から。柔らかく包み込む泡立ちに乗せて、艶やかな曲線が美しく流れ、鮮やかに冒頭を飾りました。
続いてパガニーニの「チェントーネ・ディ・ソナタ Ⅰ」。重厚に運命(さだめ)を刻み、哀しみの彩りを綴って、忍び寄る影を背に、細やかに弾(はず)み、たっぷりと歌って、結末へと駆け抜ける第1楽章。優雅で滑らかに滑走し、柔らかく刻んで、楽しげに舟を漕ぐ第2楽章。凄技に喜びを載せて、愛の鼓動を伝えました。
次はマリンバのソロでスマドベッグの「リズム・ソング」。ゆっくりと寄せる波が、微睡(まどろ)みを誘(いざな)い、響きの帷(とばり)が辺りを包み込んで、緩やかに揺らぎを生み出し、降り注ぐ淡雪で飾りました。
ここからは日本の曲を3つ。寂しさを艶めきに変えて、暖炉に燃える炎で彩る「小さい秋見つけた」。煌々と輝く光の線を紡ぎ、切なく足取りを進めて、悲しみの階段を登る「月の沙漠」。優しく懐かしい調べが、明るい陽光に映え、募る思いを切々と語る「涙そうそう」。親しみのある旋律で、聴衆の心を掴みました。
さらに南半球からの音楽を3曲。最初はヴァイオリンと大太鼓で、ヒナステラの「トゥクマンの歌」より「Vida,Vidita,Vidala」。しっかりと大地を踏み締め、薄明かりの中を静々と歩み、神聖な儀式のように、玉串(たまぐし)を捧げました。
続いてプホールの「ブエノスアイレス組曲」より「Pompeya」。光を宿す哀しみの覆(おお)いを纏(まと)い、勢い良く蛇行して、ゆっくりと線画を描き、足取りを速めて、彼方へと走り去りました。
次はピアソラの「タンゴの歴史」より「Bordel 1900」。調子よく掛け合い、鮮やかにステップを踏んで、愁いの表情で踊り、軽やかに弾(はず)んで、麝香(じゃこう)の香りを届けました。
ちょっと雰囲気を変えて、聴衆参加のコーナーが設けられ、「幸せなら手をたたこう」に合わせて、”手をたたき”、”足を鳴らし”、”肩をたたいて”、”指を鳴らす”をメロディに合わせて、一斉に行って、一体感を醸成しました。
そしてプログラム最後はモンティの「チャルダッシュ」。嫋々(じょうじょう)と放浪の民の哀しみを奏で、切なさを込めて歌い、大上段に弓を振り下ろすと、一転足早に駆け出し、技の切れを披露し、冴え渡る煌めきで耳目(じもく)を集めて、軽快に飛ばしました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールはモーツァルトの「トルコ行進曲」。光と影を交差させ、楽しげに弾(はず)んで、賑々しく終演となりました。
ランチタイムの一時(ひととき)を親しみのある曲達に、新しい驚きを加味して、聴衆を楽しませて頂いたことに感謝して、喜ばしい気分で帰路に就きました。

藤元高輝 ギターリサイタル

2019年10月16日(水) 19:00 ギャラリー蔵織 藤元高輝 ギターリサイタル

魔笛の主題による変奏曲/ソル
「プレリュード、フーガとアレグロ」よりプレリュード/J.S.バッハ
タンゴ/アルベニス
ゴヤのマハ/グラナドス
悪魔の奇想曲/テデスコ
美と狐・藤元高輝
「12のうた」より/武満徹
 ロンドンデリーのうた
 オーバー・ザ・レインボー
フォリオス/ 〃
幻想曲第7番Op.30/ソル
グラン・ホタ/タレガ

藤元高輝(Gt)

仕事を終え、ギャラリー蔵織へ。開演30前に到着。
感想は「溢れ出るアツい音楽とそれをがっちりと支える超絶技巧にたっぷりと酔いしれる」です。
まずはソルの「魔笛の主題による変奏曲」から。忍び寄る夜の帷(とばり)を切り開いて、明るく軽やかに、無邪気で快い鼓動が弾(はず)み出し、細やかに刻み、さらに速度を増すと、穏やかに舞い降り、ゆっくりと影を纏(まと)って、しめやかに沈み込みました。一転爽やかな陽光が差し込み、ぱらぱらと小雨(こさめ)が降り注んで、豊かに響き合い、軽々と駆け抜けて、勢い良く弾(はじ)けました。
続いてバッハの「プレリュード」。乾いた悲しみが光を受けて、細やかに紡がれ、時の糸車をカタカタと回して、光の帆布を精巧に編み上げました。
次はアルベニスの「タンゴ」。甘く、何処か懐かしい調べが、降り注ぐ日の光を受けて、潮風に吹かれ、ゆったりと踊り出しました。
4曲目はグラナドスの「ゴヤのマハ」。ゆっくりと愁いを奏で、胸の痛みを懸命に堪(こら)え、光と影を強く弱く対比させて、甘やかな苦悩をさらりと描きました。
さらにテデスコの「悪魔の奇想曲」では、暗く燃える炎が一瞬の耀きを発し、甘く切ない歌が地中海の風を受けて、速く繊細に織り上げられ、さらに速度を上げて畳み込み、晴れやかに跳ね飛んで、切なく羽根を休め、美しくはらはらと花片(はなびら)を散らして、アツく目覚ましい早業で、勢い良く駆け抜けました。
前半最後は自作の「美と狐」。都会の喧噪を激しく断ち切り、細かくも大胆に揺れ、明暗をくるくると変化させ、色彩の位相を目まぐるしく遷移して、硬く柔らかく粘度を変え、速く遅く身をくねらせて、骨を削り、捕まえたつもりがするりと逃げ出して、暗黒大陸の自鳴琴を模しました。
休憩を挟んで後半は武満徹の「12のうた」より2曲。たっぷりと切なさを湛(たた)え、心に沁みる清冽さで魂を揺さぶる「ロンドンデリーのうた」。遥かなる憧れを想い、過ぎ去りし幸せをじっくりと噛み締めて、大らかに波打つ心の揺れを味わう「オーバー・ザ・レインボウ」。親しみのある旋律を鮮やかに飾り付けて、安らぎと快い味わいを届けました。
続いて同じ作曲家の「フォリオス」。深海に揺らめく海月(くらげ)が薄い影を残し、不規則に蛇行する第1曲。速歩(はやあし)で小刻みに遊歩し、不穏な翳りを張り巡らす第2曲。灰色の熱情を燃やし、一転醒めた顔付きで健やかに語る第3曲。白く透明で薄い膜に包まれた印象的な世界を届けました。
次はソルの「第7幻想曲」。灯りを落とした部屋で呟き、扉を開けて光溢れる居間へと抜け出して、哀しさを宿して弾(はず)み、柔らかく、切なく語り、素早く精巧に刻んで、壁際へ追い詰め、ゆるりと明るく希望を奏で、速い海流に乗って、暖かく波を受け、ウキウキと跳ね飛び、歯切れ良く区切りを入れて、力強く悲しみを振り切りました。
プログラム最後はタレガの「グラン・ホタ」。哀しみを囁き、熱情を込めて走り出し、明るさを取り戻して、多彩の音色(ねいろ)の絵の具を塗り分け、アツく、血気盛んに舞い踊りました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールが4曲。ヴィラ=ロボスの「ギター協奏曲」のカデンツァが華やかに、「タンゴ・アン・スカイ」がカッコよく爽快に、ヴィラ=ロボスの「ショーロス」を明るくも切なく、タレガの曲を軽やかに奏でて、賑々しく終演となりました。
世界的に活躍する素晴らしいギタリストを、親密な空間で間近に体感できたことに、大きな感動を頂いて、快い気分で家路を急ぎました。