鈴木賢太 ピアノ・リサイタル

2018年4月15日(日) 14:00 だいしホール 鈴木賢太 ピアノ・リサイタル

版画/ドビュッシー
 第1曲「塔」
 第2曲「グラナダの夕暮れ」
 第3曲「雨の庭」
ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 Op.53 「ヴァルトシュタイン」/ベートーヴェン
 第1楽章 Allegro con brio
 第2楽章 Introduzione Adagio molt
 第3楽章 Rondo Allegretto moderate-Prestissimo
ソナチネ/ラヴェル
 第1楽章 Modere
 第2楽章 Mouvt de Menuet
 第3楽章 Anime
ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 Op.57 「熱情」/ベートーヴェン
 第1楽章 Allegro assai-Piu Allegro
 第2楽章 Andante con moto
 第3楽章 Allegro ma non tropo-Presto

鈴木賢太(Pf)

みなとトンネルを4往復走って、昼食を摂り、少し休憩してから、だいしホールへ。開演20分前に到着。
感想は、「浮遊する仏蘭西と、厳格なる独逸の対比に聞き耳を立てる」です。
まずはドビュッシーの「版画」より。銀色の光沢を持つ霧から、煌めきが浮かび上がり、大量の氷片がぎっしりと詰め込まれて、五月雨(さみだれ)が降り注ぐ「塔」。小さい輝きが霞みながら行進し、ゆっくりと歩む足音と交差する「グラナダの夕暮れ」。水面(すいめん)を掻き混ぜ、その身を水中へと投じ、早鐘(はやがね)を打ち鳴らして、激しく軒(のき)を打つ「雨の庭」。淡く鮮烈な色彩を描きました。続いてベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ 『ヴァルトシュタイン』」。前進する鼓動が未来への希望を描き、優しく晴れやかな灯(あか)りを点(とも)して、時に翳りを宿し、水飛沫(みずしぶき)を上げ、鉄路の揺れを取り戻し、陽光をいっぱいに浴びて弾(はじ)けるアレグロ。穏やかに広がる共振に満ち溢れ、時折立ち止まりながら、羽根を休め、活力を大気へ放ち、やがて手薬煉(てぐすね)を引いて、我が身へと収束させるアダージョ。ばらばらと波立ち、喜びの色で染め上げ、荒れ狂う困難と全力で闘い、持てる力を大きく解放して、大きく上下にうねりを与え、素早く銃弾を撃ち込んで、その場を駆け抜け、勇気を湧き立てて、速足で走り去るロンド。絶え間ない律動で、溌剌とした生命力を奏でました。
休憩を挟んで後半はラヴェルの「ソナチネ」から。弾(はじ)ける水滴が舞い、水面(みなも)をかき回して、硝子の破片を撒き散らし、一旦は落ち着く素振りを見せるも、再び勢いを取り戻して、鏡を蹴破(けやぶ)る第1楽章。淡々と光を放ち、煌めきを鏤(ちりば)める第2楽章。脈々と沸き出でる泉が現れ、細やかに速く耀き、速度を緩めて花びらを散らせ、一目散に駆け出す第3楽章。透き通る彩りで、涼やかな構図を描写しました。プログラム最後はベートーヴェンの「熱情」。秘めた悲しみを低く呟(つぶや)き、アツい想いに点火して、大きく炎上させ、力任(ちからまか)せに、強く擦り付けて、銃弾を連射し、彩りを塗り変えて、漣(さざなみ)を溢れ出させ、儚い憧れを求めて、怒りを喜びへと昇華し、上空から絨毯爆撃で焼き払い、大きく旋回して、静謐(せいひつ)に降下するアレグロ。落ち着いた素振りで振舞い、光の柱を真っ直ぐに放ち、歩を進めて、幅を詰め、細やかに振り分けて、欠片(かけら)を撒き散らし、くるくると廻って、落ち着いた速度へと戻るアンダンテ。暗雲が立ち込め、嵐を呼び込んで、轟音で飛行し、哀しみが渦を巻いて、影を混ぜ合わせ、ぐるぐると回りを巻き込んで、小振りに収め、稲光(いなびかり)を放って、激しく急き込むプレスト。過激なる情動で筐体を共鳴させ、精悍なる筋力で鍵盤を駆け巡って、内包する滾(たぎ)りを空間へ解き放ちました。
会場からは大きな拍手が送られ、それに応えてのアンコールは「悲愴」ソナタの第2楽章。満ち満ちた興奮を鎮め、にぎにぎしく終演となりました。
性格の異なる楽曲を2つずつ並べ、それぞれの特徴を鮮やかに奏でた手腕を楽しめたことに感謝して、次の会場へと急ぎました。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する