神尾真由子&ミロスラフ・クルティシェフ デュオ・リサイタル

2018年4月29日(日) 14:00 新潟市民芸術文化会館コンサートホール 神尾真由子&ミロスラフ・クルティシェフ デュオ・リサイタル

ヴァイオリン・ソナタ 第28番(第21番)ホ短調 KV304(300c)/モーツァルト
 Ⅰ.Allegro
 Ⅱ.Tempo di Menuetto
ヴァイオリン・ソナタ イ長調/フランク
 Ⅰ.Allegretto ben moderato
 Ⅱ.Allergo
 Ⅲ.Recitativo-Fantasia(Ben moderato)
 Ⅳ.Allegretto poco mosso
ヴァイオリンとピアノのための4つの小品 Op.7/ウェーベルン
 Ⅰ.Sehr langsam
 Ⅱ.Rasch
 Ⅲ.Sehr langsam
 Ⅳ.Bewegt
ヴァーティカル・ソーツⅡ/フェルドマン
ヴァーティカル・タイム・スタディーⅢ/細川俊夫
「浜辺のアインシュタイン」より ニー・プレイ2/グラス
鏡の中の鏡/ペルト
「ポーギーとベス」/ガーシュイン ハイフェッツ編
 Ⅰ.サマータイム
 Ⅱ.女は気まぐれ
 Ⅲ.あの人は逝ってしまった
 Ⅳ.そんなことはどうでもいいさ
 Ⅴ.ベスよ、お前はおれのもの
 Ⅵ.ブルースのテンポで 

神尾真由子(Vn)
ミロスラフ・クルティシェフ(Pf)

音楽文化会館を出て、コンチェルトさんへより、喫茶室を借りて、昼食を済ませ、ブログの準備をして、再びりゅーとぴあへ。開演30分前に到着、のつもりが、チケットを忘れてきたことに気付き、慌てて自宅へダッシュ。チケットを取り、自転車を飛ばして、ぎりぎりで、滑り込みセーフ。
気を取り直しての感想は、「古典、浪漫派、そして現代音楽を素晴らしいヴァイオリンとピアノで大いに堪能する」です。
まずはモーツァルトの「ヴァイオリン・ソナタ 第28番」。翳りを帯び、愁いを纏(まと)って、穏やかに歩み出し、明るさを増して、まろやかに弾(はず)み、可憐(かれん)に輝いて、迫りくる闇をかわし、片足跳びで、石蹴りをする第1楽章。淡い切なさで舞い、細い絹糸を張り詰めて、温かな日差しを受け、微(かす)かな甘やかさを溶かして、うっすらと表面を哀しみで覆う第2楽章。端正な佇まいで、聴衆へと届けました。続いてフランクの「ヴァイオリン・ソナタ」。俯(うつむ)いて、少し憂鬱そうに振舞い、ゆっくりと立ち上がって、脈々と紋様(もんよう)を紡ぎ、苦みを表面に塗りこめて、粘りけのある波立ちで飾るアレグレット。一天にわかに掻き曇り、迫りくる嵐の予感に慄(おのの)き、一旦は収まるものの、訥々(とつとつ)と語り出し、大らかに揺れて、暗い鱗粉を塗り込め、荒れる海へ漕ぎ出すアレグロ。淡い揺らめきが見え隠れし、か細い艶やかさを光らせて、頂きへ登り詰め、川面(かわも)を浮き沈みさせて、巡る調べで貫くレチタティーボ・ファンタジア。長閑(のどか)な陽光を浴び、艶めき輝く一条の光線が差し込んで、ゆらゆらと彷徨(さまよ)い、力を思い切り解放して、輝きを重ねる2度目のアレグレット。少しくすんだ明るさで、しなやかに演じ切りました。
休憩を挟んで後半はウェーベルンの「ヴァイオリンとピアノのための4つの小品」。深海に光る海藻が揺れ、急ぎ足で駆け抜ける第1楽章。金色の昆虫の細き肢(あし)が空中で乱反射する第2楽章。耀く欠片(かけら)を散り散りに撒き散らし、そっと囁く第3楽章。飛び飛びにばらけ、凍(こお)った氷片を破裂させる第4楽章。微細な美を点描しました。続いてフェルドマンの「ヴァーティカル・ソーツⅡ」。静寂の中に浮遊する響きがゆらりと傾き、透き通った鐘の音が隙間を埋めて、空間を満たしました。次は細川俊夫の「ヴァーティカル・タイム・スタディーⅢ」。戦慄の時を過ごし、細切(こまぎ)れの破片が舞い散って、導火線を張り、鮮やかな擦(こす)れを際立たせ、分解写真を断続して、力任せに投影しました。さらにグラスの「浜辺のアインシュタイン」より「ニー・プレイ2」。ジグザクに進む螺旋が伸び上がり、ふと立ち止まって、角を曲がり、色相を変えて、隘路(あいろ)を辿(たど)りました。さらにペルトの「鏡の中の鏡」。優しく揺蕩(たゆた)う梵鐘が立ちすくみ、穏やかに身を伸ばして、結晶を繭玉で包みました。プログラム最後はガーシュインの曲をハイフェッツが編み直した「ポーギーとベス」。遣る瀬無い想いを、グラスに付いた水滴のような清涼さで紡ぐ「サマータイム」。力尽くで荒馬を諫(いさ)める「女は気まぐれ」。うっすらとした悲しみを酒場の喧噪に忍ばせる「あの人は逝ってしまった」。酔っぱらって、駆け出し、軽くステップを踏む「そんなことはどうでもいいさ」。日差しが差し込み、のんびりと乾いた砂漠の暑さを伝える「ベスよ、お前はおれのもの」。楽しげに踊り、速足で横揺れして、嬉しさを解放する「ブルースのテンポで」。親しみのある軽さで、愉しさと悲しみを奏でました。
会場からは大きな拍手が送られ、それに応えてのアンコールが2曲。ハチャトゥリアンの「剣の舞」を激しく、テニックの「ホラ・スタッカート」を軽快に飛ばして、にぎにぎしく終演となりました。
分かりやすい演目と、とっつきにくそうな曲を並べて、そのどちらも極上の仕上がりで聞く喜びを提供してくれるデュオに出会えたことに感謝して、快く上気した足取りで、ホワイエへと向かいました。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する