第一部
【音楽】
・《季鏡》尺八とコンピュータのための('17-'18) 準新作/福島諭
福島麗秋(尺八) 福島諭(Live Electronics)
・ 即興
金森穣(ダンス) 福島諭(Live Electronics)
第二部
【立体】
・高橋悠+高橋香苗 新作
鑑賞と解説
第三部
【映像】
・福島諭「Replace the Gliding Body」
・遠藤龍「Replace the Gliding Body」
10km走って、昼食を摂り、少し休憩してから、ギャラリー蔵織へ。開演35分前に到着。
感想は、「様々なメディアを駆使した表現の多様性を楽しむ」です。
まずは【音楽】編から。最初は「《季鏡》尺八とコンピュータのための」。深山幽谷に漂う玄妙なる風を感じ、洞窟の壁を伝(つた)う響きの導きが吹き過ぎると、中空に拡がる光の波紋が微細に揺らぎ、彩りの糸が滲(にじ)み出しながら、平面を成し、暖かき息吹が、清涼なる分身を伴って、四方(よも)の空間を満たし、絡まりながら、収束へと向かいました。続いてエレクトリック・ギターとライブ・エレクトロニクスによる即興演奏とダンスによる上演。帯電した雨粒が散発的に降り出し、次第にその姿を変容させて舞い散り、豊かな体積を獲得すると、それに寄り添うように肉体が微動を始め、緩やかに曲線を描いて、枝葉を繁茂させ、大きく伸び上がりました。光彩の粒子が銀河の広がりを模して、遍(あまね)くその場を包むと、魂の叫びを曝(さら)け出し、襲い掛かる磁気嵐と正面から対峙し、真摯に格闘して、災厄を遠ざけ、光速を超えて、穏やかに収まりました。
第2部は会場2階での【立体】の展示の鑑賞。月の満ち欠けを通常の色とネガポジを反転させた状態を連続して並べ、そのバックグラウンドに正弦波を2つ、少しずらして発音させ、時にうねりを生じさせて、特有の空間を作り上げていました。さらに同じ素材を角柱に入れ、光の加減を加えて、独自の作品に仕立てました。
休憩を挟んで第3部は【映像】作品が2つ。どちらも「Replace Gliding Body」のタイトルで、1作目は風景を切り取り、斜めに細分化し、またイメージの降雪をだぶらせて、日常からの異化を映すもの。2つ目は夜の闇に灯る様々な照明の狭間(はざま)を足音を立てて歩き、やがて作者の身体と交錯する様子を描いて、テーマへと接近するもの。どちらも見慣れた光景から、いつもとは違う意味が沁み出すことを教えてくれました。
最後にスペシャルゲストの舞踊家を除く全員でのカーテンコールに惜しみない拍手を贈り、にぎにぎしく終演となりました。
住み慣れた日常から、ふと迷い込んだ不思議な空間を体験できる素晴らしい催しを提供して頂いたことに感謝して、快い気分で家路を急ぎました。
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