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清水西谷(SHIMIZU NISHIYA) LIVE IN NIIGATA

2018年10月26日(金) 19:00 新潟市民芸術文化会館スタジオA 清水西谷(SHIMIZU NISHIYA) LIVE IN NIIGATA

白鳥/サン=サーンス
二重奏曲より/グリエール
タイスの瞑想曲/マスネ
Command A/清水泰明
「牧人ひつじを」の主題によるパラフレーズ/西谷牧人
パッサカリア/ヘンデル ハルヴォルセン編
KODO/清水泰明
Frost Flower/ 〃
不思議な人/ 〃
Crepe Diem/ 〃
HANA/ 〃
Terminus/ 〃
15/西谷牧人
KOHAKU/ 〃
優駿-Field of Hope-/ 〃

清水泰明(Vn)
西谷牧人(Vc)

仕事を終えて、りゅーとぴあへ。開演40分前に到着。
感想は、「古(いにしえ)の調べを楽しむコンサートと、今この瞬間に生まれ出ずる輝きを体感するライブを一晩で堪能する」です。
まずはサン=サーンスの「白鳥」をバッハの「無伴奏チェロ組曲 第1番」の「プレリュード」で伴奏する試みからスタート。膨(ふく)よかに湧き出づる泉の上を、優雅に舞う曲線が艶(つや)めきを描き、ゆったりとした安らぎが辺り一面を包みました。続いてグリエールの「二重奏曲」より5曲。途切れ途切れに光彩を曳き、翳りを宿した明るさで支えて、溢れる水流を一気に飲み込む「前奏曲」。可愛げに小躍りし、逞しく伸び上がって、教会の伽藍に聖歌を響かせる「ガヴォット」。ゆったりと柔らかく、太い筆で行書し、その巨体を海上へ浮き上がらせる「揺り籠」。速足で進み、澄まし顔で、緩やかにステップを踏む「間奏曲」。細やかな波立ちで揺れ、高貴な質感を際立たせて、高みから舞い降りる「カンツォネッタ」。付かず離れず、絡み合い、引き立て合って、妙なる奏でを届けました。次はマスネの「タイスの瞑想曲」。珠玉の耀きを長く引き伸ばし、冷気を含んだ甘やかさでまったりと捏(こ)ねて、迫りくる暗雲を通り抜け、穏やかに羽根を休めました。ここでヴァイオリニスト作曲の無伴奏曲「Command A」。紙片を撒き散らし、不安定な激しさで駆け抜けて、吹き荒(すさ)ぶ粉雪の中を、真っ逆さまに錐揉み飛行しました。さらにチェリストが作った「『牧人ひつじを』の主題によるパラフレーズ」では、長閑(のどか)な日差しの草原で歌い、明るく弾(はず)みながら、まろやかに刻み、たっぷりと水を含んで、俯(うつむ)いて口ごもり、コク深く豊かに絹糸を巻取りながら、ゆっくりとした足取りから徐々に加速して、低くうねり、薄絹の衣を幾重にも纏(まと)って、田園の揺蕩(たゆた)いを香らせました。前半最後はヘンデルの「パッサカリア」をハルヴォルセンが二重奏曲に編み直したもの。勢いを持って哀しみが走り去り、アツい気持ちを漲(みなぎ)らせて小刻みに震え、果敢に荒海へと漕ぎ出して、切なさを振り切り、平穏なひとときに心を休めて、弾(はじ)ける泡立ちで飾り、襲い来る嵐に敢然と立ち向かって、一心不乱に前へ前へと突進しました。
休憩を挟んで後半はこのデュオのオリジナル曲で構成されるステージ。最初はアルバム・タイトルでもある「KODO」から。木枯らしが絡み合い、大らかにときめいて、遙かなる山並みを登り、若き血潮を燃やしました。続いて「Frost Flower」。愁いに満ちた散歩道を行き、切なさの上澄みを塗り込めて、染み渡る悲しみで魅了しました。さらに「不思議な人」では、優しさを伝え、慰めを与えて、懐旧の情を呼び起こし、せせらぎで水飛沫を上げて、のんびりとした雄大さを綴りました。繁華街での出来事にインスパイアされた「Crepe Diem」になると、大らかでせせこましい会話が飛び交い、大陸の広大さをコミカルに表して、急ぎ足で賑わいを記(しる)しました。続く曲目は「HANA」。暖かな風が頬を掠(かす)め、舞い散る輝きが優しく抱きしめて、儚(はかな)くも希望に満ちた想いが胸を熱くしました。そして「Terminus」。温もりを湛えた影を纏(まと)い、移ろう憂(うれ)いを郷愁へと変えて、打ち寄せる波濤を一心に受け止めました。
作曲者が変わってまずは「15」。言い知れぬ不安を抱えて街を彷徨い、それゆえに粋がって振る舞うものたちを模し、ふらつく足取りで小洒落た風情を気取り、大きな振り幅で弧を描きました。次の曲目は「KOHAKU」。遙かなる山脈に映える青空を映し、聳(そび)え立つ頂上に掛かる雲海を照らすと、叶うことのない憧れを夢見て、心の傷を癒やしました。プログラム最後は「優駿」。砕ける波浪が累々と重なり、悠々と大空へ翼を拡げて、まっすぐに光の帯が貫き、律動を伴って、勢い良く翔け昇りました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えて「KODO」がアンコールされ、にぎにぎしく終演となりました。
古典への敬意を払いつつ、21世紀の現在を生きる音楽の在り方の一例を身を持って示し、なおかつエンターテイメントを忘れずに、大きな音楽の喜びを届けて頂いたことに感謝して、快い気分で家路を急ぎました。
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