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川口聖加ソプラノリサイタル2018

2018年11月8日(木) 19:15 新潟市民芸術文化会館スタジオA 川口聖加ソプラノリサイタル2018

蝶と花/ユーゴー 詞 フォーレ 曲
リディア/ド=リル 詞 フォーレ 曲
愛の歌/シルヴェストル 詞 詞 フォーレ 曲
歌を教える妖精/ 〃
私の可愛いお人形/セヴラック
アレルヤ/マリエトン 詞 シャミナード 曲
宝石箱/ニヴェール シャミナード 曲
怠け者の月/ビュシー 詞 シャミナード 曲
秋/シャミナード 
歌曲集<子供部屋>/ムソルグスキー
 乳母といっしょに
 すみっこ
 かぶとむし
 人形遊び
 おやすみの前のお祈り
 子猫マトロス
 木馬
<子供のためのアルバム>より/シューマン
 眠りの精/クレトケ 詞
 蝶々/ファラースレーベン 詞
 てんとうむし/民衆火曜詩集<子供の不思議な角笛>より 詞
 雪の鈴/リュケット 詞
 春だ/メーリケ 詞
献呈/シューマン リスト編
<子供の不思議な角笛>より/マーラー
 誰がこの小唄を思いついたの?
 ラインの伝説
風の子供/竹久夢二 詞 中田喜直 曲
小さい秋見つけた/サトウハチロー 詞 中田喜直 曲
おやすみ/三木露風 詞 中田喜直 曲
ねむの木の子守唄/皇太后妃美智子殿下 山本正美 曲

川口聖加(S)
マリーン・ファンニューケルケン(Pf)

仕事を終えて、りゅーとぴあへ。開演50分前に到着。
感想は、「生命力漲(みなぎ)る様々な彩りの歌を楽しむ」です。
まずはフォーレが4曲。春の日差しを受けて、軽やかに円舞し、嬉しさで弾(はず)む「蝶と花」。穏やかに歩みを進め、甘やかに香る希望を照らす「リディア」。元気よく跳ね回り、明るさを押し出す「愛の歌」。水飛沫(みずしぶき)を上げ、歯切れよく、伸びやかに喜びを放つ「歌を教える妖精」。ふんわりと優美な輝きを届けました。続いてセヴラックの「私の可愛いお人形」。ゆっくりと優しく氷を溶かし、艷(つや)やかで、涼やかに憧れを奏でました。次はシャミナードが3曲。素肌の美しさを際立たせ、笑顔で嬉しさを訴える「アレルヤ」。あどけない華麗さを残し、楽しげに波打つ「宝石箱」。ゆるやかに切なさが舞い、水面(みなも)を掻き回して、上空へと飛翔する「怠け者の月」。自然体な構えから湧き出(い)でる歌声が辺りの空気を和ませました。
ここでピアノソロでの同じ作曲家の「秋」。光を放つ波濤が幾重にも重なり、激しさを解き放ち、打ち付ける雨の音に抗(うらが)い、穏やかに降下して、さざめきを乱反射させました。
前半最後はムソルグスキーの「歌曲集<子供部屋>」を演奏者の日本語訳で。ごつごつとした岩場に足を踏み入れ、忍び寄る恐れに怯え、一条の光を楽しんで、ぶつ切りの感情を露わにする「乳母といっしょに」。足早に追い掛けっこをして、可愛い素振りで許しを請(こ)い、さめざめと泣きじゃくる「すみっこ」。いたずらっぽく振る舞い、恐ろしい影に震え、困惑の表情で弾(はず)む「かぶとむし」。速度を落とし、抜き足差し足で前へ進み、淡々とした彩りで塗り替えて、ふんわりと揺蕩(たゆた)う「人形遊び」。無邪気に笑みを浮かべ、懸命に願いを唱えて、何気ない可笑しみを漂わす「おやすみの前のお祈り」。速足で駆け抜け、一旦速度を落として、辺りを見渡し、癇癪(かんしゃく)を起こして泣き出し、疲れて眠り込む「子猫マトロス」。愉しげに浮き立ち、一瞬の脈動を弾(はじ)けさせて、切れ切れに水を注ぎ、優しさを胸に嘆きを抱え込む「木馬」。様々な表情を使い分け、土の香りと、ほんのりと匂う野生を浮かび上がらせて、個性的な調べを届けました。
休憩を挟んで後半はシューマンの「<子供のためのアルバム>」より。青春の息吹を沸き立たせ、氷片が背景を飾って、細やかに刻む「眠りの精」。歯切れよく、喜びを溢れさせ、生命の躍動を伝える「蝶々」。想いを込め、早口で語り掛けて、すっきりと仕上げる「てんとうむし」。夢見るように思いは馳せ、穏やかに氷の炎を燃え上がらせる「雪の鈴」。清流を泳ぎ去る銀鱗が跳躍し、高みで煌めきを見せて、鮮やかに着水する「春だ」。浪漫の風合いが明るさを彩って、爽やかで濃厚な風を吹かせました。
変わって鍵盤の独奏でリスト編曲の「献呈」。涼やかに歌い、氷塊が包み込んで、若さを結晶させ、打ち寄せるさざなみを映しました。
そしてマーラー。ウキウキと春の野を行く楽しさを撒き散らし、実りの秋の豊穣を胸に駆け出す「誰がこの小唄を思いついたの?」。瑞々(みずみず)しい煌めきを溢れさせ、爽やかに艶めきを伝えて、くるりとスカートの裾を翻(ひるがえ)す「ラインの伝説」。「子供の不思議な角笛」からの2編をしなやかに演じました。ここからは日本の曲が3曲。透き通る涼やかさで、さらりと通り過ぎる「風の子供」。温もりを暖め、山の端(は)に鳴る鐘を遠くに聞いて、寂しさを綴る「小さい秋見つけた」。押し寄せる波を受け、翳りを纏(まと)って、山道を粛々と登る「おやすみ」。中田喜直が作り出す世界を十全に蘇らせました。そして最後は「ねむの木の子守唄」。哀しさを喜びへと変え、優しさで包んで、揺り籠を揺らしました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは、動画サイトで7万回も再生された「落葉松(からまつ)」。清らかな安らぎを届けて、にぎにぎしく終演となりました。
2年に1回行われるこのコンサートは、山梨や遥か欧州の風を新潟に持ってきていただける貴重な機会であり、今後も永く継続されることを祈念して、喜ばしい気分で、家路を急ぎました。
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