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トリオ・ペンナ 第八回演奏会 トリオソナタの愉しみⅧ

2019年9月13日(金) 19:00 新潟市民芸術文化会館スタジオA トリオ・ペンナ 第八回演奏会 トリオソナタの愉しみⅧ

「逃れよ、悲しい心よ」によるソナタ/マリーニ
「ラ・プロスペリーナ」によるソナタ Op.4-26/ウッチェリーニ
トリオソナタ ニ長調 Op.2-2 BuxWV260/ブクステフーデ
トリオソナタ イ長調 op.4-6/ルクレール
トリオソナタ ホ短調 op.5-2/ロカテッリ
2つのメヌエット イ短調/パーセル
エア&メヌエット ニ短調/ 〃
トリオソナタ ヘ長調 Z810/ 〃
トリオソナタ ト短調 op.5-5/ヘンデル

トリオ・ペンナ
 廣川抄子(Vn)
 佐々木友子(Vn,Va)
 笠原恒則(Cemb)

仕事を終え、りゅーとぴあへ。駐車場の混雑のため、少し時間がかかり、開演25分前に到着。
感想は、「鮮やかで優雅な宮廷音楽に聞き入る」です。
まずはマリーニの「逃れよ、悲しい心よ」によるソナタから。ゆっくりと俯(うつむ)いて、憂(うれ)いの表情を浮かべ、足取りを速め、競い合い、追い掛けあって、高みへ登ると、駆け足で刻み、地を這う翳りを耀きで覆(おお)い、速度を落として、寂しげに着地して、くっきりと彫り深く、古き調べを蘇らせました。
続いてウッチェリーニの「『ラ・プロスペリーナ』によるソナタ」。二筋の川が穏やかに滔々と流れ、哀しげな光で照らされると、鋭い稲妻が旋風を呼び込みました。一瞬の沈黙の後、軽やかに跳ね、楽しげに弾(はず)んで、ゆっくりと羽根を休めました。
次はヴァイオリン、ヴィオラ、通奏低音でのブクステフーデの「トリオソナタ ニ長調 」。澄んだ薄明かりに包まれ、ゆったりと浮かび上がると、光の波が細やかに震え、それを支える太く長い枝が伸びやかに絡み、その軛(くびき)を解き放って、大空へと舞い上がりました。そして暗い雲間を速歩(はやあし)で駆け抜け、低い山の尾根へ降り立ち、交互に先を競って、コク深く香り立ちました。さらに悲しき影が急ぎ足で過ぎ去り、幾重にも折り重なって、愁いの彩りを添えると、弓なりに反り返り、軽やかに飛び起きて、競(せ)り合いながら、先を競(きそ)いました。そして最後にゆっくりと美しく、柔らかでまろやかに舞い、光と影が交錯して、輝きと熱量を波立たせました。
前半の締めはルクレールの「トリオソナタ イ長調」。か細くも強靱な絹糸が、上品な甘さを匂わせ、ゆっくりと艶(つや)やかに引き伸ばされて、愉しげに飛び跳ねて、活気に満ちた童(わらべ)の如く、元気よく速度を上げて、無邪気に戯れました。一息置いて、明るく仲良く、艶めきを振りまいて、遠く近く追憶を呼び覚まし、暗闇を抜けて、輝きを取り戻しました。さらにくるくると糸車を回し、折り重なるように、帆布を織り上げて、涼やかに力強く、運命の糸を紡ぎました。
休憩を挟んで後半はロカテッリの「トリオソナタ ホ短調」から。悲しみを強く塗り込め、硬質な弾力で長く引き延ばし、細かく刻みを入れて、大らかさと細やかさを対比しました。そして冷ややかに差す光線を受け、捩(よじ)れた紐が複雑に絡まり合って、渋く耀く表情を浮かべると、次第に速度を上げ、深い哀しみを背に、力を込めて、目標を追い掛けました。
ここでチェンバロ独奏でパーセルを2曲。細やかな銀箔がはらはらと舞い散り、差し込む日の光を乱反射させ、一瞬のうちに奥の間に身を隠し、尖った針の煌めきを映す「2つのメヌエット」。浮き上がり、沈み込む波を模し、冷え冷えとした晴れ間を縫って、泡雪が降り注ぐ「エア&メヌエット」。繊細で鮮やかな音色(ねいろ)を届けました。
次も同じくパーセルで「トリオソナタ ヘ長調」。明るく穢れなき響きで華やぎを運び、ゆっくりと翳りを引き連れて、冬の日の穏やかさを誘(いざな)い、再び光の午後へ駆け出して、温もりと戯れました。そして忍び足で悲しみの糸を解(ほぐ)し、ゆっくりと長く引き伸ばすと、光を放ち、翳りを纏(まと)って、厚く層を成し、しめやかに収めました。
プログラム最後はヘンデルの「トリオソナタ ト短調」。劇的に疾風を吹かせ、悲しみが重くのし掛かって、小雨がしとしとと降り、雨粒がぽたぽたと軒から落ちて、ゆっくりと階段状に下降しました。そして呟きが、幾重にも折り重なり、艶めきを増して、じわりと心根に染み渡り、大空を並ぶように飛翔しました。さらに穏やかな安らぎを伝え、疲れた身体に休息を与えて、静かに抑えると、大海原へ舟を漕ぎ出し、荒波を掻い潜って、嘆きの印(しるし)を高く掲げました。加えて、速く長く悲しみを綴り、一緒に身を重ねて走り出して、力一杯加速しました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは、同じくヘンデルの「トリオソナタ ト長調」から。楽しく弾んで、賑々しく終演となりました。
バロック時代のトリオソナタを特集して、聞かせて頂いたこのコンサートが、素晴らしい実りをもたらして頂いたことに感謝して、喜ばしい気分で家路を急ぎました。
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