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岩渕仁美 クラリネットリサイタル

2017年3月20日(月) 19:00 りゅーとぴあスタジオA 岩渕仁美 クラリネットリサイタル

亜麻色の髪の乙女/ドビュッシー 星野正 編
クラリネットのための第一狂詩曲/ドビュッシー
クラリネット協奏曲第二番/ウェーバー
ファンタジー/ヴィトマン
巡礼の年 第一年「スイス」よりジュネーヴの鐘/リスト
クラリネット協奏曲/モーツァルト

岩渕仁美(Cl)
品田真彦(Pf)

仕事を終えて、りゅーとぴあへ。開演45分前に到着。
感想は、「若き奏者の挑戦する姿に感銘を受ける」です。
まずはドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」。まっすぐな息吹が彩りを集めて、光の枝を伸ばし、細く淡く揺蕩(たゆた)って、美しい素描を描きました。続いて同じ作曲家の「クラリネットのための第一狂詩曲」。薄墨の影を揺らし、色彩を纏(まと)い、濁り水の中から、その身を飛び立たせ、七色の偏光が乱れ散って、長い航跡を残しました。前半最後はウェーバーの「クラリネット協奏曲第二番」。折り目正しく弾(はず)んだ鍵盤を受け継いで、斜め上段から切り込み、明るく愉しげに振舞い、細やかに渦を巻いて走り去る第1楽章。ゆったりと力強く、愁いを漂わせて、柔らかに愛(いと)おしむ第2楽章。ごつごつと刻むピアノを背に、煌めく樹脂の輝きを伴って、軽快に跳ねまわる第3楽章。高く低く共鳴し、響きの糸を絡み合わせて、協奏を形作りました。
休憩を挟んで後半は、バリバリの現代曲でヴィトマンの「ファンタジー」。泡立つ呼吸、そそり立つ気柱、駆け上がる息遣いが、速く遅く、自在に形を変えて、孤高の佇まいを描写しました。ここで伴奏者によるピアノ独奏でリストの「巡礼の年 第一年『スイス』よりジュネーヴの鐘」。氷の欠片(かけら)を浮かべ、穏やかに動き出し、水面に波紋を拡げて、山頂へと駆け上り、花びらを散らせて、静かに収束しました。プログラム最後はモーツァルトの「クラリネット協奏曲」。乾いた音色(ねいろ)で、本質を浮かび上がらせる鍵盤が、主役を待ち受ける舞台を設営し、それに応えるようにしなやかに登場する独奏楽器。滑(なめ)らかに筆を使い、瑞々(みずみず)しく綴って、快い触感を残すアレグロ。まったりとした深みを伝え、儚(はかな)げな切なさで縁取るアダージョ。心躍(こころおど)る足取りで踏み出し、楽しげにときめいて、鮮やかに舞い踊るロンド。ぴたりと寄り添い、時に挑発して、天才の傑作を見事に演じ切りました。
会場からは大きな拍手が贈られ、この果敢な挑戦を大いに讃えて、にぎにぎしく終演となりました。
協奏曲2曲を含む重圧のかかるプログラムを、持ち前の推進力でがっちりと仕上げ、聴衆への素晴らしい贈り物とした公演に立ち会えたことに感謝して、会場を後にしました。
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