横田聡子・坂井加納デュオリサイタル 「あなたが決める、珠玉の調べ」

2017年5月26日(金) 19:00 りゅーとぴあスタジオA 横田聡子・坂井加納デュオリサイタル 「あなたが決める、珠玉の調べ」


第1部
愛しい絆よ/ガスパリーニ
あなたへの愛を捨てることは/ 〃
私を泣かせてください/ヘンデル
ピアノソナタイ長調 K.331/モーツァルト
 第一楽章 アンダンテ・グラツィオーソ イ長調
 第二楽章 メヌエット イ長調
 第三楽章 トルコ風に イ短調
荒城の月/土井晩翠 詞 滝廉太郎 曲
花/武島羽衣 詞 滝廉太郎 曲
第2部 
リクエスト・ベスト10
砂山/北原白秋 詞 中山晋平 曲
故郷/高野辰之 詞 岡野貞一 曲
浜辺の歌/林古渓 詞 成田為三 曲
初恋/石川啄木 詞 越谷達之助 曲
月の光/ドビュッシー
アラベスク/ 〃
亜麻色の髪の乙女/ 〃
ノクターン 嬰ハ短調「遺作」/ショパン
革命/ 〃
私のお父様/プッチーニ
歌劇「シャモニーのリンダ」より「この心の光」/ドニゼッティ

横田聡子(S)
坂井加納(Pf)

仕事を終えて、りゅーとぴあへ。開演20分前に到着。
感想は、「ソプラノの張りのある清らかさとピアノの響きの豊穣を楽しむ」です。
まずはガスパリーニが2曲。「愛しい絆よ」が淡々と、明るめに歩みを進めて、通り過ぎると、「あなたへの愛を捨てることは」を翳りがちに想いを訴えて、細身の躰を揺らしました。続いてヘンデルの「私を泣かせてください」。煉瓦色の鍵盤に乗って、涼しげに立ち上がり、穏やかに芯の強さを描き出しました。ここでピアノ独奏で、モーツァルトの「ピアノソナタ トルコ行進曲付」。一つ一つ大切に弾(ひ)かれる打鍵が暖かかな灯をともし、無邪気に駆け回る第一楽章。鋭く切り込み、光る宝石を低く裏打ちする第二楽章。勢いよく走り出し、細かく歩数を稼いで、勇んで進む第三楽章。珠玉の音色(ねいろ)を届けました。ソプラノが戻って日本の歌曲が2つ。「荒城の月」を篝火(かがりび)に映(は)える薄衣(うすぎぬ)を纏(まと)い、気高く歌い上げると、「花」を足早に、春の光を映(うつ)して、爽快に仕上げました。
休憩を挟んで第2部は開演前に募ったアンケートからベストテンを決め、それをその場で演奏するスリリングな企画。まずは第10位の「砂山」から。ゴツゴツした岩場をしなやかに舞って、寂しさを彩りました。第9位は「故郷」。爽やかで伸びやかに懐かしさを誘いました。続く第8位は「浜辺の歌」。柔らかで晴れやかに風を吹かせました。次の第7位は「初恋」。弾力のある柔らかさで支える鍵盤を背に品格ある切なさを描きました。第6位からはピアノの曲が並び、まずはドビュッシーの「月の光」。儚(はかな)く浮かび上がり、深く潜り、煌めきをチラつかせて、彼方へ消え去りました。続いて同じ作曲家の「アラベスク」。さざ波を機織(はたお)り、甘やかに組み上げて、速足で行き過ぎました。さらに「亜麻色の髪の乙女」では、甘酸っぱい想いに響きの縁取りで飾って、胸に沁みる憧れを共鳴させました。第3位と第2位はショパン。「ノクターン 遺作」では、切々と悲しみを鏤(ちりば)め、ふっと希望を取り戻して、再び淵の底へと沈みました。そして「革命」。嵐の海へ、眦(まなじり)を決して漕ぎ出し、うねる荒波を毅然と乗り越えて、大きく歩を進めました。ベストテン第1位はプッチーニの「私のお父様」。美しさを集め、蕩(とろ)けるような揺らぎをいっぱいに満たして、ふんわりと着地しました。
企画が一段落して、プログラム最後は、ドニゼッティの「シャモニーのリンダ」より「この心の光」。喜びをゆったりと拡げ、幸せを撒き散らして、結末へと駆け出しました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールは選外の曲から3曲。「港」が朗らかに、「椰子の実」が遠くに想いを馳せて、「夏の思い出」を爽やかに奏でて、にぎにぎしく終演となりました。
演奏者の思いと聴衆の要望を擦り合わせ、少しでも良い時間を作ろうとするこのコンサートは、新しい可能性を探る貴重な試みであるとともに、しあわせなひとときを運んでくれる大切な機会となっていることに感謝し、家路を急ぎました。
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