有元利夫版画展 ギャラリーコンサート バロック音楽の夕べ

2017年6月9日(金) 18:30 ギャラリー蔵織 有元利夫版画展 ギャラリーコンサート バロック音楽の夕べ

7つの音楽(有元利夫の銅版画集に寄せて) より/田鎖大志郎
 トッカータ~ポロネーズ~エア~ミュゼット
ロンド/有元利夫
忠実な羊飼い より/シェドヴィユ
 リコーダーソナタ 第6番 第1・第2楽章
グリーンスリーヴスによる変奏曲/作者不詳
ブランロッシュ氏のトンボー/L.クープラン
フェルディナント4世を悼むラメント/フローベルガー
夜が暗いなら/ピサドール
ウィロビー卿のご帰館/ダウランド
パイパー船長のパヴァン/ 〃
倦み疲れたわが命よ/ 〃
かくも我を蔑み(パッサカリアによるアリア)/フレスコバルディ

風間左智(S)
白澤亨(Lute,Gamb,Vihuela)
笠原恒則(Spinet)

仕事を終えて、蔵織へ。開演20分前に到着。
感想は、「妙なる版画に囲まれて、旧(ふる)き調べに酔う」です。
まずはこの展覧会についての主催者の説明があり、作者と音楽の関係も語られました。
演奏に移り、最初は展示の作品に因んで、田鎖大志郎の「7つの音楽」より4曲。銀糸が鍵盤の上を穏やかに跳ねるトッカータ。悲しみを湛(たた)えた声で塗り替えるポロネーズ。薄く透ける翅(はね)を思わせるエア。刻まれる足音と長く伸びる息吹の間を軽やかに舞うミュゼット。作品の持つ世界へ聴衆を引き込みました。続いて画家の作った「ロンド」。寂しさの漂う明るさで映し、痛みを纏(まと)って、けなげに光りを放ちました。次は作家が好んだシェドヴィユの「忠実な羊飼い」より「リコーダーソナタ 第6番」の第1・第2楽章。連綿と緋色の筆跡で綴り、翳りのうちに、細やかな鍔迫(つばぜ)り合いを演じました。リュートで旋律をさらりと奏でた後、リコーダーで始まる「グリーンスリーヴスによる変奏曲」。鄙びた日差しの中、様々な枝葉を編みながら、茨(いばら)の道を歩みました。スピネット独奏で2曲。穢(けが)れなき安らぎで包み、透き通る優しさで癒す「ブランロッシュ氏のトンボー」。仄(ほの)かに甘い慰めを香らせ、清明な響きで浄化する「フェルディナント4世を悼むラメント」。静けさの裡(うち)に安寧(あんねい)を届けました。
歌が戻って、ピサドールの「夜が暗いなら」。抑制された悲嘆が、暖かい爪弾きに乗って、闇を照らしました。続いてリュートとスピネットでダウランドの「ウィロビー卿のご帰館」。無数の絃(いと)が絡まり合って、金色の刺繍を織り上げました。スピネットのソロで「パイパー船長のパヴァン」。氷砂糖の欠片(かけら)が舞い、微(かす)かな耀きを紡ぎ出しました。歌、ヴィオラ・ダ・ガンバが加わって「倦み疲れたわが命よ」。深く暗い淵から歩み出し、持てる力を振り絞って、懸命に嘆きを投げかけました。プログラム最後は「かくも我を蔑み(パッサカリアによるアリア)」。不安の表情で問いかけ、戸惑いを見せて俯(うつむ)き、やがて喜びが沸き上がり、弄(もてあそ)ぶように弾(はず)んで、しめやかに収まりました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールはパーセルの「夕べの祈り」。平明にふんわりと包んで、和やかな終演となりました。
精妙なる絵画の展示される中、その世界を彷彿(ほうふつ)とさせる音楽に浸(ひた)り、聴衆に幸せな気分を運んだこの演奏会が、かけがえのないひとときを齎(もたら)したことに感動して、喜ばしい気分で、帰路に付きました。
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