前橋汀子 無伴奏オールバッハプログラム

2017年7月21日(金) 19:00 新潟市音楽文化会館 前橋汀子 無伴奏オールバッハプログラム

無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV1001/バッハ
 第1楽章 アダージョ Adagio
 第2楽章 フーガ:アレグロ Fugue:Allegro
 第3楽章 シチリアーナ Siciliana
 第4楽章 プレスト Presto 
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調 BWV1005/ 〃
 第1楽章 アダージョ Adagio
 第2楽章 フーガ・アラ・ブラーヴェ Fuga alla breve
 第3楽章 ラルゴ largo
 第4楽章 アレグロ・アッサイ Allegro assai
無判奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV1006/ 〃
 第1楽章 プレリュード(前奏曲) Prelude
 第2楽章 ルール Loure
 第3楽章 ガヴォットとロンド Gavotte en rondeau
 第4楽章 メヌエットⅠ MenuettoⅠ
 第5楽章 メヌエットⅡ MenuettoⅡ
 第6楽章 ブーレ Bourree
 第7楽章 ジーガ Gigue
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004/ 〃
 第1楽章 アルマンダ Allemande
 第2楽章 コレンテ Courante
 第3楽章 サラバンダ Sarabande
 第4楽章 ジーガ Gigue
 第5楽章 シャコンヌ Ciaccona

前橋汀子(Vn)

夏休み3日目ということで、小千谷で日帰り温泉とへぎそばを堪能して、新潟へ戻り、支度を整えて、音楽文化会館へ。開演15分前に到着。
感想は、「バッハによる四篇の無伴奏曲をずっしりと喜びを持って受け止める」です。
まずは「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番」。振りかぶった弓から、響きの閃光が放たれ、一筋の線を描くアダージョ。細やかに刻まれ、処々で枝分かれして、一つに収まるフーガ。穏やかな息遣いで、二つの彩りを映すラルゴ。太く認(したた)められ、脈々と波打ち、力強く紡ぐプレスト。序盤から確固たる構築を見せました。続いて「ソナタ第3番」。重なり合う声が生まれ、やがて収斂して長く伸びるプレリュード。楽しげな歌が幾重にも絡み合い、微細にもつれ合って、姿態を変化させるフーガ・アラ・ブラーヴェ。物静かな佇まいで、か細く悲しみを滲ませるラルゴ。忙(せわ)しく羽音を呻(うな)らせ、綿々と糸を繋ぐアレグロ・アッサイ。さらに精緻に造形を組み上げました。
休憩を挟んで後半は「パルティータ第3番」から。涼やかに駆け出し、滑らかに滑走するプレリュード。ゆっくりと氷の刃(やいば)を抜き、しなやかに構えるルール。軽やかに跳ね、次々と切り札を差し出すガヴォットとロンド。柔らかな鋼(はがね)の棹が典雅に舞い、軽快に弾(はず)むメヌエットⅠとⅡ。艶(つや)やかに筆記され、端正に綴るブーレ。足早に駆け込み、華々しく競うジーガ。豊かな表情を取り戻し、生きいきとした振舞いで記(しる)しました。プログラム最後は、「パルティータ第2番」。嶮しい面持で語り、次第に明るさが見え隠れするアルマンダ。暗い影を落としながらも、頻繁に跳ねるコレンテ。抑えた調子ながら深い愁いを見せて嘆くサラバンダ。翳りを纏(まと)いながらも、懸命に加速するジーガ。大上段に構え、悲劇と格闘する様を一つ一つ詳細に描写するシャコンヌ。迫りくる宿命と真っ向から対峙して力闘する局面を、抽象の器に盛って、見事に描き分けました。
会場からは大きな拍手が贈られ、それに応えてのアンコールが2曲。同じくバッハの「パルティータ第1番」から「サラバンダ」と、パガニーニの「キャプリス13番」がさらりと届けられて、にぎにぎしく終演となりました。
バッハの無伴奏ソナタとパルティータを4曲というヘヴィーなプログラムをものともせず、聴衆を興奮の渦に巻き込んだこの演奏会が長く伝えられることになることを信じて、感動のうちに家路を急ぎました。
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