ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ全曲演奏会第1回

2017年7月22日(土) 18:30 だいしホール ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ全曲演奏会第1回

ベートーヴェン
ヴァイオリン・ソナタ
 第1番 ニ長調 op.12-1 アントニ・サリエリに献呈
  第1楽章:Allegro con brio
  第2楽章:Tema con Variazioni Ⅰ-Ⅳ:Andante con moto
  第3楽章:Rondo.Allegro
  第6番 イ長調 op.30-1 ロシア皇帝アレクサンドル一世に献呈
  第1楽章:Allegro
  第2楽章:Adagio molt espressivo
  第3楽章:Allegretto con Variazioni Ⅰ-Ⅳ
第2番 イ長調 op.12-2 アントニ・サリエリに献呈
  第1楽章:Allegro vivace
  第2楽章:Andante,piu tosto allegretto
  第3楽章:Allegro picevole
 第7番 ハ短調 op.30-2 ロシア皇帝アレクサンドル一世に献呈
  第1楽章:Allegro con brio
  第2楽章:Adagio cantabile
  第3楽章:Scherzo.Allegro
  第4楽章:Finale.Allegro

廣川抄子(Vn)
石井朋子(Pf)

音楽文化会館より戻り、ブログを1本上げて、だいしホールへ。開演30分前に到着。
感想は、「精緻なるベートーヴェンの演奏に、作曲家が見せた深化を追体験する」です。
まずは「ヴァイオリン・ソナタ 第1番」。弓が一閃し、鍵盤の一撃と共に、絹糸の一筋と珠玉の数々がよどみなく流れ、追いかけ合い、交錯する第1楽章。穏やかに歩き出し、打鍵の奏でが最初に主導すると、入れ替わって運弓が刻んで先へと急ぎ、舜抜(しゅんぱつ)で爆(は)ぜ、ゆっくりと伸ばして、表情を変える第2楽章。明るく弾(はず)み、一瞬の輝きを見せて、大きく振りかぶり、小さく構えて、楽想を変幻させる第3楽章。簡潔で端正な面持ちを持って、軽やかに振る舞いました。続いて「第6番」。洗練の装いで濃厚に光りを描き、感情の振幅を幅広く表し、繊細に細動して、変化の様を見せつけるアレグロ。ゆったりと艶(つや)やかに音色(ねいろ)の帯を引き、芳醇に跳ねるアダージョ。勢いを増して競い、足早に絡み合い、ゆったりと並走し、諧謔を模し、闇を受け入れて、優しく耀きを取り戻すアレグレット。響きの豊穣を鮮やかに描き出しました。
休憩を挟んで後半は「第2番」から。忙しなく羽音を震わせ、コロコロと玉石(ぎょくせき)を転がし、光沢のある音の帯を伸ばして、力を込めて推し進める第1楽章。乾いた悲しみで薄っすらと表面を塗り分け、まったりと蕩(とろ)ける第2楽章。気分を浮き立たせ、柔らかい刃(やいば)で鍔迫(つばぜ)り合いする第3楽章。己を主張し、表現を大胆に切り結んで、強い想いを一歩先へ進めました。プログラム最後は「第7番」。一天にわかに掻き曇り、雷鳴が低く轟いて、悲愴な決意を貫き、束の間の晴れを楽しんで、決死の覚悟で力闘するアレグロ。物静かに慰め、まろやかに寄り添うアダージョ。微細な毛羽立ちで弾(はず)み、輝ける彩りで飾るスケルツォ。暗から明へ色相を変え、気忙(きぜわ)しく動き回り、高く低く波立ち、結末へと追い立てるフィナーレ。気懸りな想いを露わにし、翳りを纏(まと)って、宿命と対峙する様をくっきりと記(しる)しました。
客席からは大きな拍手が贈られ、困難な課題に正面から向き合って、素晴らしい成果を挙げた2人に大いなる称賛を送りました。
3年がかりで執り行われる今回の挑戦が、さらに大きな結果を残すことに期待して、喜ばしい気分で、帰路に付きました。
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